九藤 朋

命を憶えていて。

生々しい描写に、息が苦しくなるほどでした。 非常時にその人の真の姿が見える。 或いは無邪気に無神経に残酷に。 或いは悲愴に暮れながらも懸命に他者に手を伸ばして。 彼我の違いが、こうも如実に顕著となる。 幼稚な表現で申し訳ありません。 悲しいと感じました。 巷間で知識階級と目される富裕層が、科学的な根拠もなく助けが必要な人の手を払いのける無慈悲。 放射能汚染が感染するなど、いつの時代の世迷言か。 「お位牌は洗浄していないのでは」 だから? 捨てて来いとでも言うのですか。 余りの愚かな言動に、強い憤りを覚えました。 天災も憎いが、そのような人たちも憎い。 悲しい。 同じ人でしょうに。 だから、忘れ
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九藤 朋

美しい誘蛾灯のような作品

長文なのにさらさらと頭に入る、胸に届く。性を超えた愛情と、歴史・政治の苛烈が描かれている。ヴィンスはもう妨げない。ロアは思うように「生きる」。菫色の瞳は、捉えたものを決して逃さないのだろう。恐ろしくも美しい狩人。そして何と吸引力のある作品であることか。まるで煌々と照る誘蛾灯のよう。私の心の翅は縫い留められてしまった。悲しみと遣る瀬無さと、ミステリーやホラーめいた空気をもまといながら物語は進む。やがてヴィンスの人生の旅路には思いもよらない風景が待っている。画家であるパウル・クレーは言った。「私は色彩に囚われてしまった」と。私もまたこの作品に囚われてしまった。
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九藤 朋

降る雪は読み手の心にも淡く積り

兄弟の、もどかしくはかない恋情が胸に迫るようでした。 弟の一途な想いを、兄は優しく大らかに受け止め包み込んでいたのでしょう。 最後の終戦、レイテ島陥落の文字が目に刻印されるようでした。
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九藤 朋

つわものたちの美しく儚い恋と孤独

情景描写や当時の政治情勢の描写は実に鮮やかで、作者の方がこれまで積んだでろう研鑽を彷彿とさせました。 国を背負う男同士の恋。 なぜでしょうね。二人共、人を従える強い立場でありながら、こと恋愛に関してはとても無力なのです。けれどそれがまた、この作品の醍醐味、妙と言えましょう。 二人は今頃、共に月で兎と戯れているのでしょうか……。 美麗な恋物語を、ありがとうございました。
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九藤 朋

美しくやがて切ない宴かな

この作品は既に多くの人の知り、また愛されるところである。妖刀遣いの蘭丸と、陰陽師である亜緒は「左団扇」をかつかつで経営しながら生きている。すれ違う人、人ならざるもの、それら全てがこの左団扇を彩り、そして通り過ぎてゆく。花見の一幕一幕を見送るような心地にも、幻燈を見ているような心地にもさせられる。情景描写、心理描写、時に挟まれるウィットに富んだ作品は、読めば花魁に呼ばれた初心な男のようにふらふら吸い寄せられずにはおられない。物語は後半に進むにつれ人も増え、話も複雑化していくが、それらを見事に纏め上げている。私はこの膨大な屏風絵のような物語、まるで生きているように脈打つそれと、作者に心より敬意を表
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この作品は非公開になりました

九藤 朋

星が綺麗な寒い夜。おでんを食べて温まる。

以前、ある小説で「美味しい料理には人を正気にする力があるんです」という言葉に出逢った。 この作品にぴたりと当てはまる台詞だと思う。 極度の疲労、寒さ。 そこからのお酒とおでん。 まさに地獄から天国・アルプスへ移動した心地であろう。 主人公と除霊体質のハイジ。良いコンビだと思う。 少しずつ、主人公の背負うものが出てくる。 そんな時にもやはり美味しいものが力になるのである。
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