娘:? ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ そして、夜宵と鬼の兄妹は・・・。 夜宵:私と関わってから、変わった・・・。そうだね。ニンゲン、私達の住む“館”にいる皆に対しての対応・・・実藤は、少なくともあなたの知る実藤からは変わったわ。 苑歌:そのきっかけが、アンタなんだろ? 夜宵:・・・そうかもしれない。きっかけを与えたのは、私でもある。──だけど、最終的な決定は実藤自身よ。 苑歌:・・・お兄ちゃん、自ら選んだってことか? 実藤:そう、だ。 苑歌:──意味わかんねぇ。それに、反吐が出る話だ──。
娘:お、お姉ちゃん?どうしたの? 瑠衣:(・・・夜宵、来た・・・よね・・・。)
杏凪:ん。もし違ったり、何かあったら戻っておいで。私で良ければ、力を貸すよ・・・って、聞いてないかな?💧‬
杏凪:お?食いついたね。お目当ての子はその子だったりするのかな。 真っ白で長い髪でね、暗い緑色の目をした女の子だよ。少し前に、怪我人の手当てをしに避難所へ行ったところよ。
杏凪:そう?“なんでもない”って言う割には、何かありそうだし、なんだか言いたくないって顔にも見えるけど・・・。 それにしてもあなた、なんだかさっきの子に似てる気がするなぁ。見た目は少し違うけれど。
杏凪:・・・・・・?? 杏凪は困惑したが、一瞬にして切り替えた。 杏凪:ねえあなた、見慣れない顔だね、何か探し物?それとも、誰かに用事? 杏凪は落ち着いて、闇影に問いかけた。
杏凪:──その板材はあの家に使うものだから、纏めて置いて行って。 村人A:はいっ! 村人B:杏凪さん、これってなんですか? 杏凪:それは・・・・・何かしら。分からないのは噴水の近くの机に置いてってくれるかしら。 村人B:わかりました! 杏凪:それと・・・松春くん・・・だったかな? 松春:はい? 杏凪:確か魔法が使えたわよね、行方不明者捜索の手伝いをお願いしたいわ。 松春:わかりました。行ってきます。 杏凪:ありがとう。・・・さて、私は・・・・・・──あら? 杏凪は、闇影の視線に気づいた。
颯来:・・・・・。(美影を探してるのかな・・・でもあの様子だと絶対見つからないよねぇ・・・。だってあの子避難所の中にいるんだし。・・・・・・話しかけた方がいいのかなぁ・・・。) ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 実藤:・・・・・・。 夜宵:一応止血は出来た・・・。でも、これ以上無理しないで・・・! 実藤:ああ・・・。心配かけて悪いな。 苑歌:・・・やっぱり、アンタがお兄ちゃんを唆したんだな。 夜宵:唆す・・・? 苑歌:お兄ちゃんは、誰かの言葉で性格がガラッと変わるようなやつじゃないんだよ。でも、今のお兄ちゃんは変わっちまった。──アンタと関わってからだよ。
苑歌:なんでって言われてもなぁ。お兄ちゃん探しに来たら、お兄ちゃんがニンゲンを助けてるからさ。次期長老候補として、流石にこの話は見逃せないんだよ。 夜宵:だからって、ここまでする必要はないんじゃないの・・・? 苑歌:お兄ちゃんが怪我してたのは、普通に知らなかった、と言い訳する。 夜宵:っ・・・実藤、ゆっくりでいいから、深呼吸して。 実藤:ああ・・・・・、・・・・・。 苑歌:───。
夜宵:・・・そういえば、実藤が見当たらないな。 あと・・・瑠衣は・・・多分室内だと思うけど・・・。 そして、夜宵が避難所に着くと・・・。 夜宵:──っ!実藤!!? 苑歌:・・・アンタの方から来るとはな。 実藤:夜宵・・・!?っ・・・・・。 実藤は、とうとう傷が開いていた。 夜宵:なんで・・・苑歌がいるの・・・・・?
夜宵:・・・・・あれ・・・・・気配が消えた。 (別の)村人:夜宵様!避難所に向かってください! 夜宵:どうしたの?! 村人:避難所から、えぇと・・・あっ!瑠衣さん!瑠衣さんが助けを求めていました!すぐに向かってください! 夜宵:わ、分かった!すぐ行くよ、ありがとう。 そして夜宵は、避難所に向かう。 颯来:(さっきの人影って・・・もしかして・・・。)
怖がりな村人が、闇影に気づく。 村人:・・・!?(ピューっと村人は走って夜宵の所へ来た。) 村人:・・・・・や、夜宵様〜・・・! 夜宵:どうしたんですか?そんなにビクビクして・・・。 村人:む、村に・・・見慣れない人が・・・いて・・・((((;゚Д゚)))))))アワワワ 夜宵:お、落ち着いてください💦大丈夫ですよ。見てきますから・・・。 村人:は、は、はいぃ・・・ヾ(・ω・`;)ノ
娘:・・・・・・(՞ . .՞)︎ 一方、実藤と苑歌の方は──。 実藤:・・・・・腕を上げたな、って言うべきか。 苑歌:そりゃありがたい褒め言葉だ。・・・お兄ちゃん、ちょっと手加減してるんじゃねぇか? 実藤:そりゃそうだ。大切な妹を傷つける訳にはいかない。 苑歌:・・・そうか。アタシは手加減しないからな。 ニンゲンの味方するお兄ちゃんを許せねぇんだよ。だから──アタシは本気だ。・・・もうやってやるつもりでいる。 実藤:苑歌・・・。 苑歌:──だから、全力でやれよ。アタシはそれでいい。 実藤:・・・・・・・・。 実藤は傷が開きそうなため、全力を出せずにいた。
娘:お姉さん(瑠衣)、帰ってきたよ〜?ずっと“んー”ってしてたから、お姉さんも気になってたけど、反応がなかったから・・・。・・・・・お姉さんも何か難しい顔してる・・・。 瑠衣は遠くで少し険しい顔をしていた。
娘:お姉ちゃん? と、美影の袖を引っ張る。
瑠衣:・・・・・、凄く考え込んでるみたい・・・。とりあえず、夜宵か誰かを呼ばないと・・・。 瑠衣は通信機の方へ歩いていった。
 娘:あ!お姉さん・・・! 父親:無事に戻ってこられましたか。良かったです。 男性:遅いからびっくりしたぞ。何があった? 瑠衣:あっ・・・その、えっと・・・人を呼びたくて・・・。 父親:?私も1人呼んだはずですが・・・。 瑠衣:今1人、応戦しています・・・でも、来てくれた人は少し怪我をしていて・・・その状態で戦うとなると、少し危ないから・・・・・。 ・・・・・あれ、美影? 瑠衣は反応がなかった美影に近付いた。
瑠衣:(やっぱり、松春か誰か呼んだ方がいいかな・・・?でも・・・夜宵の方がいい・・・?苑歌が狙ってるっぽいのは夜宵みたいだけど・・・いや、それなら逆に危ない・・・?ど、どうしよう・・・。とりあえず、わたしは一旦皆のところに行こう・・・。それで一旦考え直そう。) 苑歌:───。 実藤:余所見してる暇あるのかよ。 苑歌:アタシは魔力の動きがある程度読めてる。心配する程ではないさ。 実藤:・・・・・・。 瑠衣:た、ただいま・・・。 瑠衣は、無事に美影のところへ戻ってくることが出来た。
瑠衣:・・・・・・・・💦 実藤:・・・・・・。 瑠衣:(あれ?実藤もしかして、わたしのことに気付いて、バトルフィールドみたいなの展開してくれた?わたしの目の前で区切られてるような・・・?) 苑歌:・・・結界作ったみたいだな、お兄ちゃん。そんなにニンゲンを傷付けたくないのか。 実藤:・・・・・・・・・本当は、こんなことする気はねぇんだけど。 瑠衣:(ま、待って?そういえば実藤って、怪我してるとか・・・言ってなかったっけ・・・!?)
苑歌:何をそんなに慌ててるんだ?お兄ちゃん。 実藤:慌ててる、なんて── 苑歌:もしかして、アタシとあのエルフが対峙する可能性を考えて、焦ってんのか?──それとも、避難所にいる、とか? 実藤:避難所にはいない。村の皆と作業中だ。 苑歌:──じゃぁ、アタシはそこに行けばいいだけだな? 実藤:──行かせねぇよ、夜宵のところには。 瑠衣:(ど、どうしよう・・・!!皆、別のところに移動させた方がいいかな・・・?あ、でも結界なら張ってる・・・でも、万が一のために・・・あ、ここは松春にも・・・いや、でも・・・これ以上人を増やす訳には・・・あーどうしよう!!)
 娘:ほ、ほんと・・・? 実藤:苑歌、一旦落ち着いてくれ。・・・それに苑歌、今の状態だと、魔力をいつ使うかもわからない・・・。今は使わないでくれ。 苑歌:避難所のニンゲンが危険だからと? 実藤:・・・そうだ。 苑歌:・・・・・随分落ちぶれたな、お兄ちゃん。・・・そうなるとは思わなかった。 ──やっぱり、あのエルフがお兄ちゃんを唆したんだな。 実藤:っ、やめろ!夜宵は関係ない!!これは俺が選んだことだ! 苑歌:いーや、お兄ちゃんは他人のせいで性格がガラッと変わるようなやつじゃなかった。今までこんなことは無かった。 ──つまり、あの女のせいなんだろ? 実藤:違う!夜宵は本当に関係ないんだ!
苑歌:アタシらは鬼族だ。そして、お兄ちゃんは神童であり、人喰い鬼でもある。そんなお兄ちゃんがニンゲンに肩入れしてるって、長老や他の皆にも知られたら・・・。 実藤:それくらい分かってるんだ。・・・ただ、今の俺は、“鬼族として”じゃなく、“実藤として”ニンゲンの手伝いを── 苑歌:そんなことが許されるわけないんだよ! 実藤瑠衣:──!! 苑歌:なんでお兄ちゃんはわからねぇんだよ!そもそも、鬼族がニンゲンの手伝い?ニンゲンに何かを貢献する?意味わかんねえ!!お兄ちゃんは・・・お兄ちゃんはそんなやつじゃないだろ!!? 苑歌の怒号が、美影達のところまで微かに届く。 娘:お姉ちゃん(美影)、何か
娘:・・・・・・来てほしいなぁ。 苑歌:なんで、ニンゲンに肩入れするんだよ? 実藤:・・・・・・。
娘:お姉ちゃんはきっと来てくれるよ!お姉ちゃん、ツーンってしてたけど、優しかったもんっ! 自信あるようだ。 瑠衣:(・・・・・・にしても、なんだろう、この緊張感・・・今から、兄妹喧嘩が始まりそうな・・・。) 苑歌:なあ、お兄ちゃんは鬼族の神童なんだ。次期長老候補でもある。・・・そんなお兄ちゃんがニンゲンに肩入れしてたら、後に響くぞ? 実藤:それは俺もわかっている。承知の上で、俺はここにいるんだ。 苑歌:──いや、お兄ちゃんは何もわかってない。
  :そんなのはどうでもいいんだ、今は── 瑠衣:・・・実藤? 実藤:・・・・・・・・・・その、か? 実藤の目に写ったのは、瑠衣と、実藤の妹──苑歌(そのか)だった。 実藤:・・・・・なんで、苑歌がここに? 苑歌:それはアタシのセリフだぜ、お兄ちゃん。・・・なんで、ニンゲンの村にいるんだよ。髪色まで変えて、見事にニンゲン達の中に溶け込んでるじゃねぇか。 実藤:・・・・・・。 瑠衣:(そうだ、今の内に皆に・・・。ううん、それか美影だけに・・・?でも、言っておく理由なんて・・・。)
(一方瑠衣達は・・・) 瑠衣:・・・わたしは、それでもいいよ。信用されてなくてもいいよ!だって、それでも皆が笑ってくれるなら!松春が、笑ってくれているなら、それで十分だから・・・!   :松春──?・・・・・アンタの弟か? 瑠衣:・・・なんで、わかったの?   :・・・・・アタシは昔、アンタの弟と対峙したことがある。それで名前を聞いたんだよ。・・・生きてたんだな。 瑠衣:・・・・・・・・。
父親:もう大丈夫だと思う。さっきのお嬢さんも無事で・・・ただ、一触即発の状態だったから、助けを呼んだんだ・・・。
父親:──急ですみません。避難所の方に、どなたか来てくださいませんか。夜宵様やその御一行が来ていただけるとありがたいです。 『分かった。すぐに行くよ。』 娘:・・・お父さん?
瑠衣:・・・欺こうなんて考えてない、わたしは、皆のために頑張ろうとしてるだけ・・・! 父親:(・・・・・一旦戻った方がいいな、静かに行かねば・・・。よし・・・。)   :・・・アンタがそんなに頑張ったところで、無駄なことだ。アンタのことは、信用してない。 瑠衣:そんな、ことは・・・!! 父親:・・・戻って、これた・・・。  娘:お、お父さーん・・・・・!! 小さい子は、父親にしがみつく。 父親は何も言わず、娘を抱えて、通信機のところへ行った。
娘:お、お姉ちゃんだめ!お姉ちゃんはここにいて!お父さんが帰ってくるまで、ここにいて・・・! と、涙目で訴える。 男性:あれなら、自分が行くし・・・。 女性:あなたは安静にしててって言ったじゃん! 男性:ぐ、ぐぬぬ・・・。