このコンテストは受付を終了しました

次に読みたいファンタジーコンテスト 「宮廷/王族/継承」
講評者の三村美衣氏からのコメント ===== 「宮廷/王族/継承」というテーマから、何をどう継ぐのか、王家や貴族に生まれたものは、生まれつき何を持ち、何を背負い、そして何を失っているのか。そういった着眼点から描かれた架空歴史小説のエントリーが多かった。しかし、架空の歴史というだけでは、ファンタジーとしては物足りない。人間ドラマだけに拘泥するのではなく、人の想いだけではどうにもならない大きなうねり、人間の利害関係を超越するような圧倒的な敵、世界のバランスを変える力、といった部分にファンタジーならではの超自然要素を持ち込めば、よりドラマチックな物語を生み出せるはずだ。ぜひとも参考にジョージ・R・R・マーティン『氷と炎の歌』をお読みいただきたい。  さて入賞の三作は甲乙つけ難い出来ながら、ファンタジーでしか描くことのできない王の義務と継承を描いたナマケモノ「鯨狩り」を大賞に選んだ。リーダビリティの高い作品ではないが、短い中に、壮大な世界観が見事に打ち出されている。 ===== 受賞作品への選評や見どころを一部掲載! また、エブリスタのメディアmonokakiにて、講評者の三村美衣氏よる創作ハウツー「新しいファンタジーの教科書」を連載中です! 第9回「王位争奪、政略結婚、絢爛華美な宮廷ファンタジー」も、ぜひ読んでみてください。 ※選評は登録されたメールアドレスへ近日中にお送りします。 ※SNSアカウントで会員登録されている場合、エブリスタトップページ上部「現在、このアカウントは仮登録の状態です。本登録はこちら」より、メールアドレスの設定をお願い致します。

大賞

空を鯨が飛び交い、海のなくなった地上には、人を天の庭から地上へと運んだ木造の方舟が建ち並ぶ。この世界では、人々は鯨から資源を得、そして死後は黄金の鯨によって天の庭へと運ばれる。だから、黄金の鯨を殺した英雄は、死後も天に召されることなく、その魂は永遠に地上を守護すると言われている。ところがその黄金の鯨が姫を見初めた。幼馴染で鯨狩りのナナソルは、姫を奪われまいと、鯨の群れに闘いを挑んだ……。短い作品だが、豊かなイマジネーションと壮大な世界が凝縮されており、まるで神話の絵物語をみているようで、美しさと荒々しさに圧倒される。読後、思わず鯨の姿を求めて空を見上げてしまった。

準大賞

東の国の姫をのせたラクダの隊商が王宮の門前に到着し、居並ぶ王や貴妃たちの前に現れたのは、醜く陰気な少女だった。以来、東の姫は、誰からも顧みられることなく、後宮でひっそりと暮らしていた。ところがある日、後宮付きの楽師は、姫が優れた歌い手であることを知る。天賦の才を持ちながら人前では決して歌わない姫と、去勢によって人工的に声質を作った楽師。孤独なふたりの心は音楽を介してつながり、絆を深めて行くが、両国の間にはきな臭い空気が流れ始めていた……。中央アジアの砂漠の国を舞台に、政略結婚で後宮入した醜い姫の悲劇的な運命を描いたドラマチックな架空歴史小説。後宮つきの宦官とカストラートを併せた設定が面白く、視覚と聴覚の両方に訴える描写で読者を物語世界に引き込み、最後まで一気呵成に読ませる。

入賞

該当なし

佳作

王の足の大きさで「長さ」の基準単位が決まる世界。王が代わるたびに、世界の基準となるはずの度量衡の単位が変化することが不合理だと考えた観測者ユークリッドは、揺らぐことのない新たな単位を求め、弟子に世界の大きさを測定するように命じた。数学魔法ジオメトリーの使い手であるアリスは、世界の大きさを測定し、世界を王から開放することができるのだろうか……。数学魔法と、旅の目的の設定が、秀逸。
王位継承問題は、王子たちにとってゼロサム・ゲームなのか、それとも……。王が重篤な病に伏せ、王宮は、賢明な長男、武人の次男、優しい三男の誰が王位を継ぐかという問題に揺れる。どんでん返しの心地良さ、後味の良さが魅力。
強制参加のくじ引きで王妃が決定される国で、200456分の1の強運を引き当ててしまったヒロイン。しかし彼女は職業婦人として身を立てたいのであって、貴族などになりたくはなかった。王妃となることを逃れる手立ては、婚約者がいることを証明するしかないのだが……。パワフルなヒロインと、彼女に一目惚れしたイケメン騎士のキャラが楽しい、シンデレラストーリー。
自分が何者かも知らず、ずっと牢獄に閉じ込められ、ひとりの女性によって教育された男。ある日、牢獄が崩れ、彼は初めて外の世界へと踏み出すのだが……。鉄仮面伝説などを連想させるオーソドックスな展開だが、ネーミングによって独自性を獲得している。
募集概要
ファンタジー書評家「三村美衣氏」&物書きのためのメディア「monokaki」とコラボしてお送りする 「次に読みたいファンタジーコンテスト」 面白いファンタジーとは何かを探求しつつ、新しいファンタジー作品をどんどん発掘していきます!
募集テーマ
第10回目のテーマは「宮廷/王族/継承」です。
・ある日、王族が全員殺された。ただ一人、殺した張本人である王子を除いて。 ・子が出来ない王に拾われた赤ん坊。やがて王位を継承するが、王は王でも魔王だった! ・後宮に迎えられた庶民の少女は、そこで出会った姫に惹かれてしまい……。
宮廷/王族/継承の要素が入っていれば、どのような世界/時代設定のファンタジー小説でも応募可能です。 ページをめくる手が止まらなくなるような、ワクワクするファンタジー小説をお待ちしています。 また、あわせてエブリスタのメディアmonokakiにて、三村さんによる創作ハウツー「新しいファンタジーの教科書」を連載中! 第9回は「王位争奪、政略結婚、絢爛華美な宮廷ファンタジー」です。 「『宮廷/王族/継承』を描く時のアプローチの仕方とは?」「オリジナリティとリアリティのある物語の展開のさせ方とは?」といった、具体的なお悩みに答えます。 めざせ、テンプレ脱出!ぜひこちらも参考にしてください。
講評者プロフィール
三村美衣 ファンタジー、SF、ライトノベルの書評家として、長年の経験を持ち、数々のファンタジー・SFの小説賞の審査員を歴任。 現在も、創元ファンタジイ新人賞の最終選考を務める。 第一線で活躍する中で、次世代のファンタジー作品の誕生を待ちわびている。 著書『ライトノベル☆めった斬り』(太田書房/共著)、『SFベスト201』(新書館/共著)など。 2018年10月より、monokakiにて、ファンタジー小説の具体的な書き方を指南する「新しいファンタジーの教科書」を連載。
スケジュール
・募集期間: 2019年6月3日(月)12:00:00 ~ 2019年8月4日(日)27: 59: 59 ・最終結果発表: 2019年10月上旬予定
賞
大賞 1作品 ・賞金5万円 ・三村美衣氏からの選評 準大賞 1作品 ・賞金3万円 ・三村美衣氏からの選評 入賞 1作品 ・賞金2万円 ・三村美衣氏からの選評 佳作 数作品 ・三村美衣氏からの選評 ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタ公式SNS等で配信、紹介等される可能性があります。
応募要項
・文字数は5,000文字以上 ・連載中の作品も応募OK! ・すでに完結している作品 並びに エブリスタ内の公式コンテスト及び他サービス等の投稿コンテストで落選した作品を、募集内容に沿うように再構成してご応募いただくことも可能です。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。

コンテストの注意事項(必読)