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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第221回「歌う」
 歌は古来より存在する意思伝達手段。何気ない日常の中で口ずさんだり、呪詛的な意味合いを持たせたり、言葉では伝えられない想いを音に乗せたり……書き手の発想次第で、どのようなジャンルにも活かせるだけに、題材も読み口も様々でした。  テーマが取り組みやすいためか、全体的にクオリティは安定していたものの、ありきたりな構成になってしまっている作品も多く見受けられました。テーマを話づくりのきっかけにしつつ、作品を通して伝えたいメッセージやゴールを定め、読者の感情を揺さぶるポイントをぜひ意識してみてください。

大賞

地元のジャズフェスに出ると言う母に対し、思春期真っ只中の隆史の胸中は複雑で……。思春期特有の反抗心と母への想いが絶妙なリアリティで、主人公の優しさを際立たせると同時に、共感性を高めています。大阪のとある家族の日常がユーモアたっぷりに描かれており、楽しいだけでなく、母が出場を決めた理由が明かされるシーンでは、思わず目頭が熱くなりました。笑えて泣けて心がぽかぽかする、素敵な青春人情劇です。

準大賞

東北の小さな孤島で姉が行方をくらました。千秋は夫と共に、その島へ姉を捜しに行くのだが――。失踪した姉の足跡を辿る過程を、ハラハラドキドキしながら追いかけました。やがて伝承が現実とリンクしていく様子は、恐ろしさよりも儚さややるせなさで胸が締め付けられます。設定や読者の興味の導線がしっかりしており、気付けば一気読みしている、完成度の高い一作です。

入賞

親友に陥れられ、深海の研究所にAIと共に引きこもる川口はある日、不思議な音を探知して――。ゆるりとした空気の中、主人公とAIの会話がテンポよく進むのが心地良いです。主人公の状況はかなり悲惨なはずなのですが、良い意味でそれを感じさせず、するする読めました。かと思えば終盤はまさかの展開に驚かされ、AIの恐ろしさと人間くささが交じり合う、なんとも味わい深いラストが強く印象に残ります。

佳作

賊に襲われた人気オペラ歌手のマテオは、助けてくれた女性に恋をするのだが――。美しい声を保つために去勢した主人公が運命の女性に出会い、彼女を追い求める過程がドラマティックに描かれています。目が見えない中、微かな情報と感覚を頼りに人捜しをする様子にドキドキしました。テンポよくどんどん場面が変わっていき、勢いのある展開で読者を飽きさせません。
兄のように慕う幼馴染と、大好きな親友との結婚式で、余興として歌うことになった主人公。そこに至るまでの感情の変遷が丁寧に語られ、彼女がどんな気持ちでそこに立ち歌っているのかを思うと、胸が締め付けられるようでした。気持ちに区切りをつけた彼女のこれからが幸せであることを願ってやみません。青春の痛みとせつなさがぎゅっと詰め込まれていました。
何らかの理由で塔に閉じ込められた少年が、狭い世界の中で様々な物を享受しては奪われ……を繰り返していく。それでも奪われる度に今あるものを見つめ直し、感謝する。彼の常識外の感受性に驚かされると共に、深く考えさせられます。少しずつ語りがなめらかになっていくのも、主人公の成長とリンクする演出としてわかりやすかったです。
旅先で出会ったセイレーンが日本まで追いかけてきた。海里は彼女と一緒に生きることにするのだが――。互いに惹かれ合い、唯一無二となった人と怪異の関係性が、せつなく描かれています。セイレーンを題材にした作品は多数ありましたが、設定が一捻りしてあり、物語としての満足感が高かったです。彼らの関係の始まりにもう少し物語としての説得力があると、なお良かったやも。
歌乞い一族の長の娘でありながら耳が聞こえず、歌を歌えないナンナは虐げられていて――。異質な者として虐げられるナンナが、自分だけの歌を見つけていく展開に心が躍ります。特に娘に対して複雑な感情を抱えた父親が印象的に描かれていました。しかしナンナを殺そうとすらした親戚たちが、何事もなかったように振る舞う様子にモヤモヤしたので、短くても謝罪する描写はほしかったです。

超短編賞

該当なし

続きが読みたい賞

突然いなくなった彩海を捜すため研究職についた八雲だが、資金援助が打ち切られそうになり――。失踪した幼馴染を追い求める主人公の真っ直ぐさが、ぐいぐい物語を引っ張っています。発想や流れは突飛ではありますが、青春SFストーリーの魅力は十分に感じられました。登場人物たちのこれからの関係や電波の謎を含め、この先も読んでみたいです。

トンデモ賞

突然視界に現れたかと思えば、歌って踊り出す猫と鳥。一体何が始まるんだとワクワクし、その勢いを保ったまま最後まで読み進められました。主人公が何かを言ったらしい、ということは序盤からわかりますが、まさかの展開に思わず笑ってしまい、同時にちょっとしたスカッと感も味わえます。ラストは彼らに頼らず歌い出す主人公に拍手したくなりました。

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2024年4月24日(水) 12:00:00 ~ 2024年5月26日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2024年7月中旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位20作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位20作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第221弾です。 今回のテーマは、「歌う」です。 どこかに必ず「歌う」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・カラオケで部屋を間違えたら、影の薄いクラスの男子がいた。え、すごい歌上手くない!? ・人気歌手である姉の歌声は、本当は私のもの。替え玉に疲れた私は、行方をくらませることにした。 ・歌で竜を鎮める巫女の一族に生まれながら、ひどい音痴な私は、虐げられていて……。
時代も国も超えて人の心に根付く、歌という文化。聴くと思わず歌いたくなる曲が、誰しも一つはあるのではないでしょうか。 そんな「歌う」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
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応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第222回のテーマは「のびる」です。 本コンテストと平行する形で2024年5月8日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第222回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト