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次に読みたいファンタジーコンテスト 「時を越えて」

講評者の三村美衣氏からのコメント =====  平成から令和という時代の変わり目を迎えたこともあってか、身近なところでの時代の移り変わりを意識した作品に収穫が多かった。時を超えられても全てが叶うわけではない。バッドではないが、手放しのハッピーエンドでもない、少しほろ苦さの残る結末が、時の無常さと生きることの難しさと喜びを伝えてくれる。入選作3本はまさに、掌から零れ落ちてしまったもの、失いそうなものを、時を超えて守ろうとするオーソドックスな物語だ。  選にはもれたが他にも、ひいろさんの会津藩士の幽霊との出会いを描いた「此ノ絆、君ガ為」、江戸時代にタイムスリップした俳優が役者として成長する「時をつなぐ夢」や、ネコ型エイリアンとの掛け合いが楽しい星ふくろうさんのSF「Scrap Regenerations ー私の仕事は世界を再生するお仕事ですー」なども面白く読ませていただいた。  時間というテーマは、ファンタジーの持つこの世界が無くしてしまったものを求める心ととても相性が良く、さらに仕掛けの斬新さで勝負するわけではないので、どこかで見たような無難な作品に陥りがちだ。なんだかどこかで見たような物語だなと感じたときは、もう一度、書きたい物語において時間というものが持つ意味をじっくりと考え、それを象徴的するような「何か」に託して表現できないか試してみて欲しい。 ===== 受賞作品への選評や見どころを一部掲載! また、エブリスタのメディアmonokakiにて、講評者の三村美衣氏よる創作ハウツー「新しいファンタジーの教科書」を掲載中です! 第14回「絶望感が最大の燃料になる 時を越えるファンタジー」も、ぜひ読んでみてください。 ※選評は登録されたメールアドレスへ近日中にお送りします。 ※SNSアカウントで会員登録されている場合、エブリスタトップページ上部「現在、このアカウントは仮登録の状態です。本登録はこちら」より、メールアドレスの設定をお願い致します。

大賞

不実な恋人と別れ、仕事も辞めて、サンドイッチ店を営む実家に舞い戻ったかの子。自暴自棄になっていた彼女の前に現れたのは、彼女が生まれる前に交通事故で死んだ父親だった……。平成最後の冬を舞台に、昭和最後のクリスマスに死んだ父と、昭和カルチャーに憧れる平成世代の娘が、時の移ろいによって失われたものと、世代を超えて受け継がれていくものを訪ねる様子がユーモアを交えて描かれる。サンドイッチや傘や音楽など様々なアイテムと人を想う心によって、昭和、平成、令和の3つの時代がつながれる。

準大賞

雑誌編集者のトーコが仕事を終えて帰宅、アパートの扉をあけて自室に入ると、そこは見知らぬ男性が暮らす部屋だった。慌てて廊下に飛び出して部屋番号を確認、そこはまちがいなく自分の部屋のはずなのに、中はまったく別の部屋になっている。自分の部屋だと主張する男性の契約書を確認したトーコは、そこが25年前の自分の部屋であることに気づくのだった……。25年の時を隔てた2人は、朝には扉をあけてそれぞれの時代へと通勤し、夜には同じ部屋に戻るという不思議な同居生活を通し、やがてトーコは男性が抱える苦しみ、そして自分との縁を知る。25年の時差がある同居人という設定が面白い、心温まる時間改変ファンタジー。

入賞

はじめてのデートの日に恋人を交通事故で失い、それ以来、未来への希望を失ってしまった僕。そんな僕の元にある日、高校を卒業するなり渡米し、連絡が途絶えていた親友から一通の手紙が届く。そこに書かれていたのは「お前を喜ばせてやることができるかもしれない」という一行だった。帰国したした彼が僕に手渡したのは一個のゴルフボールだった。秘密結社が開発したというそれは、思考を活性化させる装置で、念ずれば時を飛ぶこともできるというのだが……。リリカルに描かれる失われた青春、ユーモラスで投げやりな現実風景、切羽詰まったサスペンスフルな過去改変劇。三様の描写それぞれに引きがあって、物語に引き込まれる。過去を改変し、彼女を救うことはできるのか、今後の展開に期待!

佳作

自宅のお風呂場で雷に撃たれ、1944年の東京にタイムリープし、華族の四角家の居候となった女子高生の風子。敗戦に向かって転がっていく過去の世界で、風子は初めての恋を意識するのだが……。戦時中にタイムリープし、学徒出陣を前にした青年と恋におちるという展開はオーソドックスながら、キャラクター設定が上手く涙だけで終わらない未来につながる結末も好感が持てる。
アルバイト先の喫茶店の休憩時間、うたた寝して目覚めると、そこは2002年の旭川。どうすれば戻れるのか途方に暮れていたら、見知らぬ男が現れ、2019年に連れ戻してくれる。ところがそこは元の世界とは微妙に食い違っており、なんと彼女には婚約者がいるというのだ……。2002年と2019年を往還するたびに少しずつ変化する人間関係が描かれる。旭川という地方都市の描写が巧で、物語のリアリティを支えている。
過度のストレスや疲労を抱える者が、眠りから目覚めなくなる奇病・肉体性過眠症候群。老いることなくただ眠り続けるところから〝眠り姫病〟とも呼ばれるこの病によって、10年間眠っていたアイドルが目覚めた。老いることがないとはいえ、痩せさらばえ、メディアからも家族からも忘れ去られた彼女に残されたものとは……。掌編ながら読者の感情を揺さぶる。
長方形の箱の中に納めた文章を、縦読みと、横読みの長文の二通りに読ませることで、1つの事象を2つの視点から語る。タイポグラフィック小説と言っていいのか、とにかくこの構造が凄まじい。説明なしで自分で発見できれば、感動ものだと思うのだが、読み方を指示されて知って読んでもなお驚きます。いかんせん、構造の凄さに内容が吹き飛んでしまうが、しかし本当にどうやって書いたのだろう。
妻が配達に出たまま帰ってこない。しかし妻は出会った時からずっと、狐の仮面を外したことがないため、顔がわからず捜索願を出すこともできない。そこにある日、妻の娘だという少女が現れる……。奇怪で不条理なシチュエーションと、数学理論を組み合わせて、煙に巻きつつ物語を転がし、その先を知りたいという読者の欲求を掻き立てる。
募集概要
ファンタジー書評家「三村美衣氏」&物書きのためのメディア「monokaki」とコラボしてお送りする 「次に読みたいファンタジーコンテスト」 面白いファンタジーとは何かを探求しつつ、新しいファンタジー作品をどんどん発掘していきます!
募集テーマ
第15回目のテーマは「時を越えて」です。
・強力な魔王を倒す為、勇者は魔法で過去へ。ところが幼い魔王と心を通わせてしまい? ・同じ一日を何度もループ。ようやく抜けたはずが、実はより大きなループの一部に過ぎなくて…… ・博物館のガラスケースの中に現れた美女。実はそこに展示されていたミイラだった!?
「時を越えて」のシチュエーションが入っていれば、どのような世界/時代設定のファンタジー小説でも応募可能です。 ページをめくる手が止まらなくなるような、ワクワクするファンタジー小説をお待ちしています。 また、あわせてエブリスタのメディアmonokakiにて、三村さんによる創作ハウツー「新しいファンタジーの教科書」を連載中! 第14回は「絶望感が最大の燃料になる/時を越えるファンタジー」です。 「タイムトラベルものにおけるアプローチとは?」「タイムパラドックス問題との付き合い方とは?」といった、具体的なお悩みに答えます。 めざせ、テンプレ脱出!ぜひこちらも参考にしてください。
講評者プロフィール
三村美衣 ファンタジー、SF、ライトノベルの書評家として、長年の経験を持ち、数々のファンタジー・SFの小説賞の審査員を歴任。 現在も、創元ファンタジイ新人賞の最終選考を務める。 第一線で活躍する中で、次世代のファンタジー作品の誕生を待ちわびている。 著書『ライトノベル☆めった斬り』(太田書房/共著)、『SFベスト201』(新書館/共著)など。 2018年10月より、monokakiにて、ファンタジー小説の具体的な書き方を指南する「新しいファンタジーの教科書」を連載。
スケジュール
・募集期間: 2019年11月5日(火)12:00:00 ~ 2020年1月5日(日)27: 59: 59 ・最終結果発表: 2020年3月中旬予定
賞
大賞 1作品 ・賞金5万円 ・三村美衣氏からの選評 準大賞 1作品 ・賞金3万円 ・三村美衣氏からの選評 入賞 1作品 ・賞金2万円 ・三村美衣氏からの選評 佳作 数作品 ・三村美衣氏からの選評 ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタ公式SNS等で配信、紹介等される可能性があります。
応募要項
・文字数は5,000文字以上 ・連載中の作品も応募OK! ・すでに完結している作品 並びに エブリスタ内の公式コンテスト及び他サービス等の投稿コンテストで落選した作品を、募集内容に沿うように再構成してご応募いただくことも可能です。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。

コンテストの注意事項(必読)