（注意）本当に重大なネタバレしかないので、読者の皆様、読了前にここを覗いてはいけません。読んだ？　本当に読んだ？　ではよろしくお願いします（涙涙涙） 　ATP完結。Ⅲでは船長、そしてエアロンとメルジ

「ATPは、ⅠよりⅡの方が面白いまである」…… 　あれはⅡを拝読中のことでした。失礼になるかもしれないとビクビクしつつ、Twitterかどこかでそう発言したことがあります。 　本当は「絶対そうだ」と確

　すごい作品を読んでいる。そう気付いたのは、序盤、走るトラックにしがみついて耐えるグウィードのシーンを読んだ時でした。 　トラックのどこって、下なんですよ……。少しでも力を抜けば大根おろしになってしま

　WEBで無料公開されている戦国物の時代小説、それも全く中弛みせず、常に面白いまま毎日更新され続ける……そんな作品が読みたい。 　麗しく清らかな少年同士の幸せな恋に触れたい。あるいはそれが破れる悲しさ

　麗しくも荘厳な教会の空気、建築様式。祈るため、あるいは美しいものを目にするため、絶えず訪れる人々の姿。 　たちまち読者を物語の世界へ引き込むきめ細やかな描写は、実際に多くの国を訪れ、本物をご覧になっ

物語は現在編と過去編によって織り成されていきます。そのほとんどは、主人公のひとり、妻・多香江の視点で進みます。 忙しい仕事も育児も、煩わしい近所付き合いもなく、さらには楽しく打ち込む趣味さえもなさそ

（終始ネタバレしかありません！未読の方は何卒ご注意ください！） 「徒花」「カムチャッカの娘」に続く、仁科さんの歴史長編第３弾！ フィクションの要素が強いドラマチックな「徒花」、徹底した写実的描写がハ

機械にも認証してもらえないほど手のひらが冷たい同僚、春野さん。冷たいのは体温だけでなく、態度や言葉遣いまで常にぶっきらぼうです。 こんな男とは極力関わりたくない……と言いつつ、なんと毎朝手を握って体温

（終始ネタバレしかありません！未読の方は何卒ご注意ください！） 氷の大地カムチャッカ。ひとりの軍人が、故国ロシアに裏切られてすべてを失い、あてもなく彷徨うシーンから物語は始まります。 雪と氷。曇天と波

タイムリープというものすごく特殊な状況の中、藍ちゃんが必死に行ったこと。強引なほど優里ちゃんに寄り添ったり、どうでもいいことを夜中までいっぱい話したり、思えばいつでもやろうと思えばやれるような、とても

最初のエピソードで定型を示しつつほっこりほろりとさせたあと、次のエピソードで「！？」とさせ、そして３つ目のエピソードで種明かし……。隙のないお見事な構成でした。 キャラクターひとりひとりの人間味を、人

主人公の職業や、涙が様々な宝石になるという世界観、特別なオリジナリティがあってとても素敵でした。主人公の差し出すハンカチの色、ハンカチと涙に込められた人々の思いが、物語を場面ごとにきれいに色づけてくれ

なんでもないように振る舞いながら、実は日々繊細に渦巻いている主人公の内面が丁寧に細やかに表現されています。そのスタンスが最初の数行を読んだだけでわかり、そして最後まで貫かれていました。 主人公の心理描