縁の不思議さを感じた。

滑らかな文章が心地よく、最後まですっと読めてしまうが、ひとつひとつのエピソードは大変に重たい。 妻と子供の死。引きこもり。自分の目の前で別の男の子供を出産した女との再婚 決意までに必要だった時間や勇気
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斜め上をいく豊かな発想に脱帽!

本作での作者さまの着想は斜め上を行っていた。 サンタの敵は、なんとあの転売ヤー。 日本の社会問題がよもやよもやサンタと結びつくとは! 短い時間で、アイディアを実によく練られたのはさすがです。 転売ヤー
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大切なことを考えさせてくれる優しい物語

子猫(たぶん)のナツは拾ってくれたコウタにクリスマスプレゼントをしたいのだが、いろいろなかわいらしい勘違いをして、冒険の旅(子猫的に)に出てしまう。 途中で出会う親切なボス猫キャンディや牛がナツに教え
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家族は敵ではない。

本作はアダルトチルドレン、児童虐待という、とても重い内容を含んでいるが、そこにとぼけた夫とメガネを絡ませることでふんわりとした、な優しい物語にすることに成功している。 虐待へ「あと少しだけ」まで追い詰
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髪を切るという行為に三つの人生が交差する

 本作品は人間はいつからでもやり直せるというメッセージが込められた短いけれど心に訴えかけてくるヒューマンドラマだ。  高校生のとき、人生に無関心で享楽的な生活を送って補導されてばかりいた沙紀が、エク
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プロは決してあきらめない

激レア職業「餅巾着職人」は朝から餅巾着の作成に余念がない。 朝のほの暗い台所で、リズミカルに動く指先、種類ごとに巾着が整然と大皿に並んでいく様子––この大皿は粉引かもしくは染付に違いない。餅に拘り揚げ
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10年越しの「もう少し」

同級生に告白するチャンスを逃したミラ。かつての思い人を思いきれないままに10年が経った頃、その彼(清水)から呼び出される。 ここでかっこ悪くなっていてくれたらいいんですが(笑)、当然素敵になっていてパ
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人生へのエール

「自分の夢はどんどん小さくなっていった。」 戦力外通告を受けた主人公が自分のこれまでを振り返って気づく。 小学生のころは全く根拠不明の万能感に支配されているが、次第に他者と自分を比較するようになると、
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瑞々しい青春小説

ご存知の方も多いと思われるが作者さまはプロのシンガーで作詞作曲もされる。詩人の言葉はところどころ、美しく光芒を放っている。 例えば、「屋上はいつも自由に近いところにあるように思えた」という一文、いった
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葛藤と揺らぎ、従属物としての日本の女

ドイツのクリスマスマーケットの美しい光に満ちた情景と、主人公がさまよう道の暗さをたっぷりと楽しんだ。 主人公がドイツ人の恋人との別れを決意したのは、自分が対等ではなく 愛玩動物のように愛されているので
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死でも分かつことができない愛

極めて重厚な作品。 衝撃的な書き出しから捉えられ読み終わるまで離れることができなかったのはわたしだけではあるまい。 逆らえない運命のなかで、1分1秒でも長く一緒にいようと試行錯誤するふたりが愛おしく切
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何のために書くのか

作品を書くことは孤独なことだ。 ひとり黙々とパソコンに向かった先にほのかに見える脱稿の2文字。 その2文字を目指して書き進めていく。 ところが、とかく賞レースに嵌ると、賞のために書くようになりがちだ。
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暖かい家庭、暖かい夫婦

読み始めるとすぐに18世紀のドイツへ連れていかれたような気持ちになる。 待降節、石の冷たさや吐く息の白さ、静かに降臨を待つ街の静かな興奮。その反対に台所では賑やかに女たちが料理をつくる。白い湯気が暖か
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この作品は非公開になりました

美しいSF。真意はどこにあるのか。

 本作は、破綻のない堅牢な世界観のなかに描かれる美しいファンタジーである。  筆者の知識と筆力によって、SF作品を読む時、ついつい突っ込みたくなる部分もわかりやすく丁寧に書かれているので安心して物語世
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道はひとつだけじゃない

失敗してもまたやり直せる。まだやり直せる。 本作は強く訴えかけてくる。 5年目研修で阿蘇へやってきたOLユキが出会った鴨志田という青年は微妙に心を屈折させていた。 ユキは自分が飲み会要員のオンナノコで
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しかけが見事な、次が読みたくなるお仕事小説

とても良いと思ったのは人物、とくに冬弥と夏美の造形でした。 冬弥には美女にみえるけれど、ほかのひとたちは嘲笑の対象にしている。一人称ならではの認知のゆがみを逆手にとって夏美を「彼だけの」ヒロインに仕立
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不思議を必然に

競馬の魅力はなんといっても「人馬一体」 騎手と馬とが心を合わせて走り抜けることであろう。 本作では大きく負けたことで、自分にも馬にも不信をもってしまった騎手がひとつひとつ問題を乗り越えて勝ちをつかむ過
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家族のなかの孤独、男の友情を描いた珠玉の掌編

 18歳の孝行は、陽気に我道をいく母親に違和感を抱き、父親とともに食事――父の得意料理ラーメン味玉入――をとることでつながりと安心を得ようとしていた。それは子だからこそ許される甘えに相違ない。 導入部
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声を必要としない理香が「声」を必要とした理由

お洒落で小粋な作風の池田さん、これもお洒落な短編なのだろうと読み始めると、軽快な筆致はそのままに2930文字に理香の28年が丁寧に刻み込まれていた。  弱みを別の方法で解決しようとする賢い女の子だった
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切り詰めた一文一文から匂い立つ恋情

たった4ページの作品にこれほど心奪われるとは。 蕎麦屋の娘と商人の息子。もともとが身分違いの恋ではある。 しがない蕎麦屋の娘おりょうは、父をなくしすがるものがなく身を売った。身上の大きな商家の娘は結婚
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情感溢れるふたりの世界に没頭しました

帰蝶と信長の、いろいろな場面での瑞々しい感情の交流に感動しました。 更新楽しみにお待ちしていますm(_ _)m
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しのき美緒

信念と教育

予備校生にとってクリスマスはほんとにつらい。イルミネーションとかカップルとかプレゼントとかサンダースおじさんとか、全部まとめてなくなってしまえ、と叫び出したい。 クリスマス・イブの夜、志望校判定が悪か
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しのき美緒

小さな家族の成長の物語

「私」がひどく等身大で、きっと感情移入して読む人が多いんじゃないかな、と思ったら、麻生さんがそういうレビューを書いていた。もちろん私もそのひとり。育児書通りにいく育児なんてない、とはわかりながらもあれ
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しのき美緒

十三日の金曜日にはご用心

「十三日の金曜日なら失敗してもダメージが少ない」 ちょっと立ち直れなさそうな出来事も、日が悪かったって諦められる。 この作品を読んだ諸兄諸姉に勇気を与えたに違いない。 来年の今頃には若者の行動規範とな
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運命のふたり

名前がそれぞれ絶妙で、得をしたり損をしたりするふたり。 「戸中居かな」と「三田黒須」 エピソードゼロはふたりが幾つくらいの頃だったんだろうか。 この作品から笑いを取り除くと、純愛が残る。 純愛に笑いを
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しのき美緒

一番勇気を出す日

小夜ちゃん、頑張りました! 読み終わったあと、きっとそう声をかけたくなります。 中学1年の多感な年頃、父のいない家庭、働くことに疲れて浪費に走り子どもたちのことを顧みない母への気持ちを一生懸命に、幼い
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しのき美緒

朝の光のような

とても静かで穏やかな文章は、声に出して読むのにぴったりだと思います。 クリスマス・イブにはぜひ読んであげたい物語。 夜の寝静まった街を、家から家へとおさるのラックがすばしこく生き生きとプレゼントを持っ
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危ういなぁ

華やかでクリスマスらしい恋愛の王道でした。 それでも最後、「はずだ」の連発に、愛佳の気持ちの不安定さを読み取ってしまうのは深読すぎるでしょうか。すなわち不安を力づくで抑え込むように「はずだ」と智也との
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持つべきものは友

わたしも誕生日が夏休み真っ最中なので、なんとなく自分がおざなりに扱われているのではないか、と疑心暗鬼になる主人公の気持ちはよくわかりました。 はじめさんの作品にしては珍しくひねりが加えられてなく、まっ
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目先しか見えない女、待つ男

夫によって自尊感情を破壊されたヒロインが子を大きな黒い山から守ろうとするところからストーリーが始まる。 大きな山は混迷する生活であろうか。子を抱えた女性が田舎で就職する難しさは察して余りある。かつて捨
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