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新星ファンタジーコンテスト「対価/代償」
 対価/代償という今回のテーマは重いテーマだけに、扱いが難しいのではと不安もあったのですが、対価や代償にいろいろな方向からアプローチした作品が揃いました。魔王を討伐した勇者に課される代償、魔法や能力を行使するために支払う代償、犯した罪の代償、不老不死を得たり、願いを叶えてもらうために、「なにか」を差し出す。コスト的な安易な感覚ではなく、失うということの切実さや重さを意識した作品が多く、読み応えがあると思います。 『オズワとガタガ』は、時を越えて永遠に支払わなければならない代償とはなにかを、他者に生命を分け与えることで死を手にするドラゴンの存在から逆照射する設定の面白さが目を引き、大賞としました。 (三村美衣)

大賞

猛毒の結晶カズラに足をとられ、死を覚悟した少女を助けたのは、おしゃべりな青年と絶滅したはずのドラゴンの二人組だった! ドラゴンは不老不死だが、定命の生き物に自分の生命を削って分け与えることで死を迎えるという設定が素晴らしく魅力的。彼ら二人が共に旅を続けている理由も今回のテーマに見事に合致している。自由奔放で優しい青年と、苦労性のドラゴンの旅をぜひとも連作にして欲しい。

準大賞

森の奥深くで鶏と暮らす聖女のもとに、イケメン王子さまが現れて……。カントリーな森の一軒家も豪華な王宮も、いかにも少女小説風世界でかわいいのだけど、聖女さまのキャラはちょっとツンデレで、イケメン王子さまの方は自虐的シモネタに走る。ギャップが笑いを誘う。会話のセンスと、たたみかけるギャグが秀逸。国を守るために聖女が支払う対価が明かされた後は二転、三転のドラマチック展開で、軽口の裏にこんなにいろんな思いが隠されていたのかと驚かされる。

入賞

帝の薬師としてお毒味役も努めながら、あらぬ罪を着せられて断絶に追い込まれた一族。そのただ一人の生き残りの少年が、六柱と二人が暮らす山の社に立ち入り、感謝されることで自己を取り戻す癒やし系ファンタジー。平安時代の陰陽師ものとは違う、違和感のある世界設定も奥が深そうでもっと知りたくなる。なによりも、罪家の烙印を押され、人目を避けて師の後ろに控えている少年が、それでも懸命に人に尽くそうとする様子に胸を打たれた。

佳作

勇者に選ばれた者は、魔王を封印するために愛するものたちを生贄に捧げなければならない――。妹、許嫁、父を犠牲にし、自らも異形へと変わり果てながら、魔王と対峙する王子の姿が鬼気迫る。世界の平和は勇者の犠牲の上に成立している。しかし全てを失ってしまった勇者に、その平和がどんな意味を持つというのか。ラストシーンの静けさと、王子の虚無感に心を揺さぶられた。
熊野の山中で神隠しにあい異界に迷い込んでしまった青年が、天狗の少年と共に元の世界に戻る道を探して旅をするロードノベル。特に事件が起きるわけでもないが、道中で出会う異界の人々や風景は、居心地の良い懐かしさと、不思議や珍しさがほどよくブレンドされており、なんとも魅力的。ただ異界の居心地が良すぎて、何が対価で何が代償だったのか、今回のテーマへのアプローチが少々弱いのが難点。
札幌の空に突然鏡のようなものが出現し、そこから現れた竜によって街は壊滅した。それから数年後。高機能な次世代通信端末が開発され、その好景気湧く石狩周辺で、子どもたちの連続失踪事件が発生していた。親友の妹の行方を追うアキは、やがて恐ろしい真実を知る……。ファンタジーとホラーとサスペンスを融合させた異色作。通信端末の便利さと対照的に描かれる、竜の出現によって様変わりした、暗澹たる未来世界の情景が圧倒的。
神託で選ばれた勇者シェイリー。王弟のジルベールらと共に魔王の洞窟にたどり着き、魔王を征伐したその瞬間。彼女は七日後に命を失うという死の呪いをかけられてしまう。オーソドックスな話だが、シェイリーを救おうと奔走するジルベールとのラブストーリーに胸を打たれる。生真面目なジルベールと、計算高いけど憎めない感じの兄王との対比が面白く、魔王を斃してから後を描いた短い作品ながら、旅立ちの際の王の表情や、魔王討伐の旅がどんなだったかなど、ここに至る長い物語が見えるようだ。
募集概要
「新星ファンタジーコンテスト」 ファンタジー書評家「三村美衣」氏とエブリスタが再びタッグを組み、新星のようにきらめくファンタジー小説を発掘します! 受賞作には三村美衣氏からの選評と、個別にアドバイスをお送りします。 あなたのファンタジー作品をより輝かせるため、この機会をぜひお役立てください!
スケジュール
・募集期間:2021年5月7日(金) 12:00:00 ~ 2021年7月4日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2021年9月中旬頃予定
募集テーマ
第1回目のテーマは「対価/代償」です。
・魂を捧げる覚悟で悪魔と契約。けど要求されたのは、身の回りのお世話をすること!? ・年に一人の犠牲で成り立つ世界。幼馴染が生贄に選ばれた少年は、世界の変革を決意する。 ・客がその時必要なものを売る不思議な道具屋。ただし必要なのはカネではなく、思い出だという……。
対価/代償の要素を含んでいれば、どのような世界/時代設定のファンタジー小説でも応募可能です。 思わず最後まで一気読みさせられる、そんな引力を持ったファンタジー小説をお待ちしています!
賞
大賞 1作品 ・賞金5万円 ・三村美衣氏からの選評 準大賞 1作品 ・賞金3万円 ・三村美衣氏からの選評 入賞 1作品 ・賞金2万円 ・三村美衣氏からの選評 佳作 数作品 ・三村美衣氏からの選評 ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタ公式SNS等で配信、紹介等される可能性があります。
講評者プロフィール
三村美衣 ファンタジー、SF、ライトノベルの書評家として、長年の経験を持ち、数々のファンタジー・SF小説賞の審査員を歴任。 創元ファンタジイ新人賞の最終選考も務めた。 第一線で活躍する中で、次世代のファンタジー作品の誕生を待ちわびている。 著書『ライトノベル☆めった斬り』(太田書房/共著)、『SFベスト201』(新書館/共著)、『大人だって読みたい少女小説ガイド』(時事通信社/共著)など。 2018年10月~2019年12月、monokakiにてファンタジー小説の具体的な書き方を指南する「新しいファンタジーの教科書」を連載。好評を博した。
応募要項
・ファンタジー要素を含む作品であること。 ・文字数は5,000文字以上。 ・20,000文字までの内容で選考を行います。 ・連載中の作品も応募OK! ・すでに完結している作品、並びにエブリスタ内の公式コンテスト及び他サービス等の投稿コンテストで落選した作品を、募集内容に沿うように再構成してご応募いただくことも可能です。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。
注意事項
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