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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第216回「あなたを消した理由」
 見るからに不穏さが漂うだけあって、静かな雰囲気かつシリアスな作品が多く集まった今回のテーマ。“あなた” “消す” “理由”と物語を工夫できる要素が盛り込まれていたためか、読み応えのある作品を楽しめる回でした。反面、テーマがあまり活かされていないなと感じる作品が多く、難易度は高めだったかもしれません。  そんな中でも特に上位3作品は、テーマをしっかり活かしながら物語としての完成度も高く、思わず唸らされました。

大賞

著名な画家だった父の遺品整理に訪れた主人公は、不可解に粗雑な自画像を見つけて――。謎を追う縦軸と、家族の横軸の物語が絡み合った、非常に完成度の高い絵画ミステリー。気付けば物語に引き込まれ、わくわくしながらページをめくる手が止まりませんでした。絵画の謎が明かされた時、画家であり父であった人物の人生に、きっと思いを馳せたくなるはず。

準大賞

ある男の独白で綴られる、人生と罪の告白。仲睦まじかった3人の幼馴染の関係が歪み、最悪の方向へと転がっていく様が、情感たっぷりに描かれており、読み応え抜群です。ラスト1ページで語られる“あなたを消した理由”に、残された男の複雑すぎる感情が渦巻いており、思わず息をのむほど。重苦しいやるせなさがいつまでも心に残ります。

入賞

友人達のため、バズる動画の撮影・編集に勤しむミカ。ある日、自分も写る側に回りたいと言うと、様子がおかしくなって……? 写真を通して描かれる、高校生の人間関係の違和が痛々しくもリアルでした。そしてハラハラしながら読み進めると、後半にはまさかの展開に。どんでん返しの驚きのみならず、砂粒を嚙んだような違和感が永く続く、大変印象に残る作品でした。

佳作

12年ごとに行われる一族の神事。代々伝わる能を舞う姉の、普段とは違う異様な空気に、妹は不安を覚えて――。神事を取り巻く厳かな空気や緊張感が、巧みな描写で冒頭からひしひしと伝わってきました。因習に何もかも奪われ、一人残された主人公の悲壮な決意が、やるせなくも力強かったです。短編ながら設定の練られた、読み応え抜群の和風ファンタジーでした。 
派遣社員として忙しなく働く中で、自身の感情や理想を消そうとしていたことに気付いた私は、思い切って定時で会社を出た。テーマはあまり活かせていないながら、お仕事ものとして非常に共感度が高かったです。「良い買い物は、相応しい自分になるという約束」という考え方に、目から鱗が落ちました。爽快な吹っ切れ方に、読むと気持ちがリフレッシュできる一作です。
AIとARによって故人を再現し、年月によって成長した姿や思考までも反映するサービス“メモリア”を巡る、ある家族の物語。メモリアの設定を柱として、それを取り巻く家族の歪さ、やるせなさが見事に描かれていました。AIが隆盛する現代、実際にこういったサービスもありうる中で、一つのモデルケースとして見れるようなリアリティがありました。
信頼し愛していた女騎士に殺された赤竜。500年後、少年に生まれ変わった竜は、女騎士への復讐を誓うのだが――。ストーリーの密度が濃く、実際の文字数以上に長く壮大な物語を読んだような気分になりました。少々残酷すぎる描写はありますが、どこまでも純粋に相手を想い合う2人の姿が、せつなく胸に刺さります。
ダムに沈んだ故郷へ墓参りに訪れ、移設された村の資料館に立ち寄った主人公。しかしなぜか、不自然に自分の痕跡が消されていて――。故郷から自分の存在が消されていた上、いきなり殺意を向けられるというスリリングな展開に、ぐっと興味を引かれます。村とダムを巡る様々な思惑が絡み合いながらもうまくまとまっており、重層的で厚みのある物語に仕上がっていました。

超短編賞

非常に攻撃的で不穏な書き出しですが、読み始めと終わりで印象ががらりと変わり、超短編の醍醐味を味わえました。自信に満ち溢れた主人公が今の彼女になるまで、様々な出来事があったのだろうと、想像力が掻き立てられます。スカッとすると共に、文中の“あなた”に込められた優しさに胸が温かくなりました。

続きが読みたい賞

該当なし

トンデモ賞

40年前に亡くなった夫を愛し続け、毎月墓参りに来る老婆。しかしその夫を殺したのは、他ならぬ彼女自身だった――。穏やかながら“何か”をほのめかされる老婆のミステリアスさがフックになっています。短いながら、読み進めるほど露わになる老婆の狂気。一見すると穏やかな人柄も相まって、強烈なインパクトを残してくれました。

優秀作品

ピックアップルーキー

スケジュール
・応募期間:2024年2月14日(水) 12:00:00 ~ 2024年3月17日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2024年5月中旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位20作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位20作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第216弾です。 今回のテーマは、「あなたを消した理由」です。 どこかに必ず「あなたを消した理由」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・解離性同一症を克服した少女は、「あの子を消してしまった」と涙を流し……。 ・「俺、彼女できたんだ」。私はノートに書いた恋のおまじないから、彼の名前を消した。 ・地位も名誉も失い社会的に消えた男に、かつてのいじめられっこは微笑む。「心を殺される気分はどうだい?」
記憶から、あるいは存在すら消してしまいたい。そんな“誰”か、あなたにもいませんか……? そんな「あなたを消した理由」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
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応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第217回のテーマは「おなかが空いた」です。 本コンテストと平行する形で2024年2月28日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第217回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト