咲来「……ふん、まあ気が向いた時にな」 黒保根「なんか一方的に精神病患者を助ける事を強要してるみたいで悪いな。ただ、少なくとも俺はそんな傲慢な人間だからさ、それくらいしか言えない訳だ」 咲来「お前らも大変なんだな」 黒保根「そうだな。……こういう時人間不信はやりにくいな」 咲来「どういう事だ?」 黒保根「人間不信は簡単に言えば人間を信じられない。だからこそ自分中心の思考になるんだ。そして思考が極端になって自虐ネタとかも安易に使えない訳だ」 咲来「要はマイナスになるような冗談も言えない訳か。相当やりにくいな」 妄想癖、人間不信、傲慢、思考が極端……現実逃避みたいな感じか? いや、
黒保根「いやぁ凄かったぜ。久々に楽しいデュエマが出来たぜ」 咲来「こっちも良い時間の有効活用が出来たよ」 黒保根「そりゃ良かった。やっぱりさ、カードゲームって良いよな」 咲来「?」 黒保根「ある人も言ってたけど、カードゲームって簡単なコミュニケーションツールだと俺は思ってる。俺は精神病患者だから人との関係なんてほぼ皆無なんだけど、カードゲームやってる時は精神病患者とか関係無く人と関わる事が出来るんだ」 咲来「確かにそうだな。俺も黒保根とデュエマしていた時は精神病患者とかあまり気にしてなかった」 黒保根「それにさっきも言ったが、人間はいい加減な生き物だと知っていても理解まではしてない
咲来「一回目は勝ち。続いてガチンコジャッジだ」 「「ガチンコジャッジ!」」 咲来 逆転王女プリン 5 黒保根 ヴァルハラナイツ 7 咲来「ガチンコジャッジには負けたが、これで俺の勝利はほぼ決まった。逆転王女プリンの効果でガチンコジャッジで捲れた時場のクリーチャーをタップかアンタップ出来る。俺はR.S.F.K.をアンタップして効果でシールドを1枚ブレイク」 黒保根「ニンジャストライク1、光牙忍ライデン召喚。R.S.F.K.をタップ……だが」 咲来「この攻撃は止められない。R.S.F.K.でトドメ!」 勝者、咲来
咲来「俺のターン!呪文ドンドン吸い込むナウ発動。デッキの上から5枚見てヒラメキプログラムを手札に加える。そしてヒラメキプログラムを発動!」 咲来「ヒラメキプログラムの効果で薔薇の使者を破壊。そして薔薇の使者より1コスト高いクリーチャーをデッキの上から出るまで捲る。出るクリーチャーはR.S.F.K.だ」 咲来「R.S.F.K.を場に出し破壊された薔薇の使者の効果発動!このクリーチャーが場から離れた時マナのカード2枚をデッキの上に置く。俺は上からカツキングMAXと逆転王女プリンになるように置く」 黒保根「……まさか」 咲来「さて、ショータイムだ。R.S.F.K.で攻撃。ガチンコジャッジだ!
咲来「……俺のターン」 相手の場にはヴァルハラナイツとアウゼス、そして他のメタクリーチャー。更にセイントキャッスルで全てブロッカーになってやがる。 咲来「永遠のリュウセイカイザー召喚してターンエンドだ」 黒保根「俺のターン。リュウセイカイザーの効果を利用させて貰うよ。サグラダファミリアとシュライバーをタップして召喚」 咲来「サグラダファミリアをタップして召喚だと!?」 これでは呪文のシールドトリガーが使えない。 黒保根「ヴァルハラナイツの効果で永遠のリュウセイカイザータップ。そしてヴァルハラナイツでシールドをWブレイク。アウゼスの効果でリュウセイカイザーを破壊」 ドンドン吸い込む
黒保根「俺のターン。破壊も出来るけどドロンゴーが怖いな。まずはタイムトリッパーをマナへやってシュライバーを召喚」 咲来「また面倒くさいやつを……」 黒保根「ヴァルハラナイツの効果でカツキングMAXを指定。そしてシュライバーの効果で光以外の呪文のコストを2増やす。更にベルリンとディオーネを召喚!エンドだ」 咲来「ハンデスはまだしもスピードアタッカーが殺されるか……俺のターン。カツキングMAXの効果でマナからミツルギブーストを召喚。効果でマナへ送りディオーネを破壊。ターンエンド」 黒保根「俺のターン。やっぱカツキングMAXだな。アウゼス召喚。更にセイントキャッスルを要塞化。ヴァルハラナイツ
黒保根「俺のターン。破壊も出来るけどドロンゴーが怖いな。まずはタイムトリッパーをマナへやってシュライバーを召喚」 咲来「また面倒くさいやつを……」 黒保根「ヴァルハラナイツの効果でカツキングMAXを指定。そしてシュライバーの効果で光以外の呪文のコストを2増やす。更にベルリンとディオーネを召喚!エンドだ」 咲来「ハンデスはまだしもスピードアタッカーが殺されるか……俺のターン。カツキングMAXの効果でマナからミツルギブーストを召喚。効果でマナへ送りディオーネを破壊。ターンエンド」 黒保根「俺のターン。やっぱカツキングMAXだな。アウゼスとサグラダファミリア召喚。ヴァルハラナイツでカツキング
咲来「三回目勝ち、続いて四回目!」 「「ガチンコジャッジ!」」 咲来 永遠リュウセイ 8 黒保根 セブ・コアクマン 4 咲来「四回目勝ち、続いて五回目!」 「「ガチンコジャッジ!」」 咲来 ガチンコルーレット 3 黒保根 サイレントスパーク 6 咲来「流石にそうは問屋は降ろさないか。効果でシールドを4枚ブレイク!」 黒保根「トリガーは無いぜ」 咲来「そして本体でシールドをブレイク」 黒保根「ヴァルハラナイツでブロックだぜ」 咲来「だろうな。R.S.F.K.は破壊されターンエンド」
咲来「俺のターン。俺は湯あたり地獄をマナへ。カツキングMAXの効果でマナからR.S.F.K.を召喚」 黒保根「デッキの構築的にそれが咲来のエースクリーチャーか」 咲来「R.S.F.K.の攻撃。効果でガチンコジャッジだ!」 「「ガチンコジャッジ!」」 咲来 獰猛なる大地 8 黒保根 ハヤブサマル 3 咲来「一回目は勝ち、続いてガチンコジャッジだ」 「「ガチンコジャッジ!」」 咲来 R.S.F.K. 7 黒保根 ヴァルハラナイツ 7 咲来「二回目勝ち、続いて三回目!」 「「ガチンコジャッジ!」」 咲来 プロメテウス 5 黒保根 解体人形ジェニー 4
黒保根「俺のターン。サイレントスパークをマナへやってロードリエス召喚。効果で1枚ドローしてエンドだぜ」 咲来「俺のターン。俺はカツキングMAX召喚。効果でロードリエスを破壊!ターンエンドだ」 黒保根「ちっ、俺のターン。俺はシークレットクロックタワーをマナへやって7マナ、支配の精霊龍ヴァルハラナイツ召喚!」 咲来「ヴァルハラナイツだと!?」 黒保根「ヴァルハラナイツの効果、このクリーチャーもしくは光のコスト3のクリーチャーが場に出た時相手のクリーチャー1体をタップする。俺はカツキングMAXをタップするぜ!」 黒保根「後、ヴァルハラナイツの効果でタップしたクリーチャーは次の相手ターンのは
黒保根「俺のターン。ミョウガをマナへやってセブ・コアクマン召喚。効果でデッキの上から3枚表向きにする」 ロードリエス アウゼス ディオーネ 黒保根「ディオーネを墓地に送ってロードリエスとアウゼスを手札に加えるぜ。エンドだ」 咲来「俺のターン。逆転王女プリンをマナへ、プロメテウス召喚。効果でカツキングMAXとドンドン吸い込むナウをマナへ送りマナのカツキングMAXを回収してターンエンドだ」 黒保根「俺のターン。サグラダファミリアをマナへやってロードリエス召喚。効果で1枚ドローするぜ。エンドだ」 咲来「俺のターン……タイムトリッパーがいなければカツキングMAX出せたが。無法のレイジクリスタ
黒保根「先攻は俺からだぜ。ロードリエスマナへやってエンドだ」 咲来「俺のターン。プロメテウスをマナへ、ターンエンド」 黒保根「俺のターン。アウゼスをマナへやってエンド」 咲来「俺のターン。R.S.F.K.マナへ。ジャスミン召喚。効果で破壊してヴィブロスヘブンマナへ。ターンエンド」 黒保根「俺のターン。光牙忍ライデンマナへやってタイムトリッパー召喚。エンドだ」 咲来「ウザいカードを……俺のターン。ライフプランをマナへ、呪文フェアリーライフ発動。逆転王女プリンをマナへ、ターンエンド」
咲来「……ん、今何時だ?」 俺は時計を見る。とっくに大会の受付は終わっていた。 黒保根「なんか予定でもあるのか?」 咲来「……いや、大会始まっちまったから特に無いな」 黒保根「大会?何の大会だぜ?」 咲来「デュエマって言うカードゲームのだよ」 黒保根「おぉ!お前もデュエマやってるのか!?」 咲来「お前もなのか?」 黒保根「あぁ!……そうだ。お詫びにデュエマ俺が相手するよ」 咲来「良いのか?お前も予定は無いのか?」 黒保根「特に予定は無いぜ。それに俺あんまりデュエマ相手する人いなくて困ってたくらいだぜ」 まあデータが取れるならやって損は無いだろう。 咲来「そうか、ならやろ
咲来「……ふん、まあ気が向いた時にな」 黒保根「なんか一方的に精神病患者を助ける事を強要してるみたいで悪いな。ただ、少なくとも俺はそんな傲慢な人間だからさ、それくらいしか言えない訳だ」 咲来「お前らも大変なんだな」 黒保根「そうだな。……こういう時人間不信はやりにくいな」 咲来「どういう事だ?」 黒保根「人間不信は簡単に言えば人間を信じられない。だからこそ自分中心の思考になるんだ。そして思考が極端になって自虐ネタとかも安易に使えない訳だ」 咲来「要はマイナスになるような冗談も言えない訳か。相当やりにくいな」 妄想癖、人間不信、傲慢、思考が極端……現実逃避みたいな感じか? いや、
咲来「それは誉め言葉として受け取っておくよ。それにしても精神病患者とは初めて会うが意外に普通なんだな。一部以外」 黒保根「お前精神病患者に対してどんなイメージ持ってるんだよ。俺らだって立派な人間なんだぜ?見下すのは勝手だがせめてそれが偏見だと自覚してほしいぜ」 咲来「それは失礼。でもさっきの世迷い言は引くレベルだぞ」 黒保根「お前精神病患者はメンタル弱いんだからそんな事言うもんじゃないぜ。精神病患者の治療目的である安定を乱そうとするな」 咲来「……それは悪かった」 黒保根「まあ責めるつもりは無いぜ。お前はただ知らなかっただけだからな。ただ場合によっては知らなかったで済まない事もある」
咲来「……テロ起こした割にはそこの建物平和ですね」 黒保根「……え?」 黒保根「………あ、そうか。思い込みか」 咲来「妄想癖の人ですか」 黒保根「まあ否定はしない。そのために病院通ってるし」 咲来「大変ですね。さぞ苦労してるんですね」 黒保根「そんな嘘っぱちな言葉並べなくて良いぜ。お前の下手な営業スマイルは全然意味を成してない」 咲来「!?……へぇ、大抵の奴はコロッと騙されるんだがな」 黒保根「まあ人間不信の俺からしたら他人は皆敵に見えるからな。善人面してる奴ほど裏の顔を持ってるもんだ」 咲来「妄想癖に人間不信。完全に精神病患者って奴か」 黒保根「大抵の奴は精神病患者ってだ
大会まで後30分ほど。余裕は無いがまあ間に合うだろう。 するとある建物から周りをキョロキョロする挙動不審の男が出てきた。明らかに万引きをしてきたような雰囲気だ。 その男をガン見していたせいか挙動不審の男は俺に気付くと全力疾走でこちらにやってきた。 「そこのお前!」 咲来「え?」 俺は思わず他人のふりをした。正直関わりたくない。 「なんでお前はそこの心療内科で俺がテロを起こした事を知っている!?」 やべぇ、完全にアレの人だ。主に中学二年生辺りの奴だ。
咲来「ふぅ」 唐突だが俺は今からデュエマの大会に行くことになった。目的は以前やねから預かったデッキのデータ収集だ。 こんなネタデッキをそんな執念的に強くする必要は無いが、悲しいことに俺達はガチデッキを作る金が無いのだ。言わば社会的弱者の宿命なのだ。 やねから言わせれば「ネタで勝てれば気持ち良い」らしい。 まあ俺に言わせれば「ネタの方が性に合ってる」なんだが。端から見ればぬくぬくと温室で生きてきた人間丸出しだ。 結論を言わせれば、結局は手持ちという物に万全という概念など無く不完全の手持ちで勝てる奴が強者なのだ。 なんて誰かが言っていた言葉を俺は吐いた。
「……鹿角」 「なんだ?」 「あの高山という奴は警戒したほうがいい」 「なんで?」 「表情が胡散臭い」 「そんな一方的な……」 「それに……いや、ただの憶測だ。気にしなくていい」 「そういう事言われると後で俺が酷い目に遭いそうなんだが」 「まあ警戒はしとけ」 「はいはい」 俺からしたら垂れ目がちょっと不気味なニヤケ面な人畜無害にしか見えないが、こいつにはどう写ったのだろうか?
高山「あれ?でも一方的な苛めは無いんじゃ……」 鹿角「コイツは例外。だってあの担任の弟だし」 高山「あ、そうか」 枚方「アイツの話は止めろ。虫酸が走る」 鹿角「おっとこの話はここまでにしよう。人の嫌そうな顔は見たくないんでね」 高山「まあそれもそうだね。好みじゃない表情をされても困るしね」 枚方「奇遇だな。俺も苦手な表情をする人間とは関わりたくない」 この会話。気が合っているようで本当は違う気がしてならない。 特に枚方はどこか嫌悪感を表情に出している。 鹿角「じゃあ俺は食べ終わったから先に行くよ」 枚方「あぁ、俺も行く」 高山「2人ともまたね~」 そうして俺と枚方は食堂
高山「まるで世紀末だね。そんな輩を社会に出したら大変な事になりそうだよ。いやむしろ担任を告発したほうがいい気が……」 鹿角「まあ特に俺に実害があるわけじゃないからなぁ」 高山「そう言えばカヅピーは群れてる感じはしないけど苛められないの?」 鹿角「あぁ、それは」 枚方「鹿角。ここに居たのか。俺も隣良いか?あんまり席が空いてないんだ」 鹿角「コイツがクラスで担任に次ぐトップクラスの権威を振るっていて俺がその友達だから誰も手を出さないんだよ」 高山「あ、そうなの?」 枚方「おい鹿角。コイツ誰だ?」 鹿角「高山だ。昨日知り合ったんだ」 高山「高山だよ。転校してきたばかりだけどよろしく
高山「そうなるとちょっとクラスメートが分が悪いかな?ただ作られたシナリオ的な感じはするけどね」 鹿角「といってもうちの担任が揉み消すと思うけどね。うちの担任クラスでひっそりと苛め推進してるし」 高山「教師とは思えない魅力的な教師だね」 鹿角「本人は学園ドラマ見て教師になったって言ってたけど、普通に受けとれば熱血教師に憧れを感じた偽善者に聞こえるけど実際はドラマの陰湿な苛めに興奮を覚えたらしい」 高山「異常な性癖だね。でも打たれ弱そうだ」 鹿角「でも社会的地位も大事だから外側から見たら苛めの無い仲良しクラスに偽装してるみたい。苛めに精通しているせいか苛めを偽装する知識にも精通してるみた
それから昼休みになり、食堂でまた高山と昼食をとっていた。 鹿角「あぁ、そう言えばさ。昨日うちのクラスにも転校生が来たんだが今日は休んだんだよな」 高山「へぇ、他にも転校生がいたんだ」 鹿角「それがさ、どうやら昨日帰宅中に誰かに後ろから襲われて意識不明らしいんだよ」 高山「物騒だね。そんなコミュニケーションの欠片も感じない一方的暴力は僕嫌いかな?」 鹿角「まあ話を聞くとあんまり同情は出来んがな。襲われる前にクラスメートにいちゃもんつけてたらしい」 鹿角「それが自分は金を払えとクラスメートに脅されたとかクラスで苛められたという言い分で逆に脅したらしい。正直自作自演だと分かっていても告発
鹿角「ちなみに俺はこの暇な時間に食堂のメニューを眺めていたんだがフロート蕎麦や味噌拉麺風パスタやミックスドリンク漬け丼なんて物があった」 高山「それは個性的だね。まるで不味いものを開発しようという魂胆があるのかと疑ってしまうレベルだ」 鹿角「今までここの食堂が狂っていた事に気付けなかった自分が怖いわ!」 高山「僕は別に悪くないと思うけどね。インパクトは印象が悪い方が強いし」 鹿角「学生が集う食堂という概念は無視しちゃいかんだろ」 高山「僕は特に昨日食べた生クリームが乗ってる蕎麦を以前ぼったくられた店に勧めたいけどね。それを気にここの食堂を見習って知名度を高めてほしいね」 鹿角「知名
「おはようカヅピー。なんか食べるの?」 高山だった。何故俺の事をカヅピーと呼ぶのかは不問にするとして、何故ここにいる? 「朝食なら既に自宅で済ませてきたよ。お前は何か食うのか?」 「いや、僕はただの寄り道だよ。これといって何も無いけど」 「そうか。まあゆっくりしていけよ。誰もいないから椅子でベッドを作れるぜ」 「それも魅力的だが、僕としては君とコミュニケーションを取った方が有意義かな」 「俺も高く見られたみたいだが、俺は一般人に近いただの学生だぜ?」 「僕がこの学校に来て最初に会話した相手だしね。そりゃお高く見るよ」 「そりゃ光栄だな」
次の日、俺は飯を食う時間でも無いのに食堂にいた。 特に理由はない。まあ強いて言うなら本を読みに来たのだ。個人的に図書室や教室より食堂の方が本を読む意欲が増すのだ。 きっと食堂はいるだけで食欲を沸き立てる雰囲気があり本を読む意欲も食欲が作用しているのだろう。 もしくは食べ物を食べている時は人間にとって至福の時間である事も関係しているのかもしれない。 といっても、今は本を持ち歩いていないがな。 すると、俺以外いない食堂にひとつの足音が聞こえた。
鹿角「……で、なんでお前は学ランなんだ?」 高山「あぁ、今日僕ここに転校してきたんだけど、ここの制服まだ届かなくて前の高校の制服で来たんだ」 鹿角「いつ頃届くんだよ」 高山「なんだかんだで二週間後かな」 鹿角「結構先だな……」 そう言うと俺はうどんを食べ終え、学ラン男も掛け蕎麦を食べ終えた。 鹿角「そろそろ俺は行くが、お前名前は?」 高山「高山って言うんだ。どこかの前線でありそうなありきたりな名前だよ」 鹿角「俺は鹿角。じゃあまた会ったらその時も話そうぜ」 高山「そうだね。これからもコミュニケーションを取ろうね」 言い終わるとその日は高山と別れ、教室で俺は一時的な睡眠を取る
高山「あはは。ごめん嘘だよ」 鹿角「この野郎……」 高山「気に病んだなら謝るよ。ただ僕は君のお茶目な所が見たかったんだ」 鹿角「……」 高山「あぁそうだ。この出会いの記念に今お互いに食べている物を交換するのはどうかな?結構良心的な提案だと思うんだけど」 鹿角「どこがだよ!やっぱり不味いんじゃねぇか!」
鹿角「……ちょうど良かった。俺も誰かと話したかった所だったんだ。助かるよ」 高山「おっ、奇遇だね。僕たち気が合うのかもね」 そう言うと学ラン男はおぼんに乗せている掛け蕎麦の上に生クリームと七味唐辛子が乗った意味深な物に手をつけた。 鹿角「……それ、美味いか?」 高山「意外にイケるよ。特に生クリームと七味唐辛子がとてもマッチしている」 蕎麦には合わないようだ。 鹿角「そういえばお前学ランだけどなんで?」 高山「むしろ君はなんでブレザー着てるの?」 鹿角「は?」 高山「だって他の皆は学ラン着ているのになんで君だけブレザー着ているのかさっきから疑問だったんだけどね」 俺は椅子から
高山「あぁ!そこ僕の特等席なんだけどなぁ」 その男子はまるで下手な演技をしているようにニヤけていちゃもんをつけてきた。 見た目は白髪で目は垂れていてで口元は常に笑っていそうな雰囲気な学ラン男だった。 特に学ランという部分が気になった。うちの高校はブレザーだから何故こいつは学ランなのだろうと思ったが、まあ実際どうでもよかった。 鹿角「あぁ悪い。すぐ退くよ」 パッと見さっきの転校生よりは人畜無害そうな雰囲気であったため、いちゃもんをつけてきた事に疑問を持ったが、そんなものアテにならないので俺はすぐ立ち去ろうとした。 高山「いや退かなくていいよ。代わりに僕とコミュニケーションをとろうよ!