エブリスタ
吉田安寿さん [「M.School」へのレビュー]
2015/5/27
 近未来のファンタジーは、過去を舞台にしたものより世界を構築し易いぶん、しっかりとしたヴィジョンを持って臨まないと、あまりに荒唐無稽すぎたり、逆に陳腐でうすっぺらいものになってしまう恐れがあります。

 この世界では、ミラージュと呼ばれる存在が人間を襲ったりはするものの、その脅威はリアルに中途半端で、国家をあげて駆除したり、人類の危機までは陥っていない、静かな脅威。それだけに、ミラージュで祈來君のように何かを失って傷つく人もいれば、被害もなく我関せずの人もいる。それは現代でも同じですよね。酷い災害があっても、自分が無害だったら「気の毒だな」で終わり。痛くもかゆくもない。そういった現代とのさりげないリンクがお見事。

 世界感やM Schoolが本当にあるんじゃないかな、と思ってしまうような詳細な設定・描写がすばらしいですね。冒頭で述べたとおり、きちんと世界が確立しているのでブレがありません。

 特殊な学校とはいえ、そこは十代の男女が集まるところ。祈來君は過去のできごとで心を閉ざし、もう大切なものを失いたくない!と怯えるゆえに、人を遠ざけ、一人でいようとします。

 しかしね!そこへグイグイ前のめりで攻めてくるミリアちゃん。(笑)天然で底抜けに明るいけど、その背景にはなにやら悲しい過去が見え隠れしており、ただおバカ(失礼)に明るいわけじゃない、というのが解ります。きっと悲しみを乗り越えて今の彼女があるのでしょう。普遍的なテーマである「友情」もさりげなく盛り込んでいらっしゃいます。

 ほかにも2班のみんなはそれぞれに個性が際立っていて、このメンバーで今後どんなことを体験していくんだろう…と思うとワクワクしてしまいます( ´艸`)

 さて、気になったところは二つ。
 
 1つ目は句読点の用い方が一定でないところでしょうか。特に句点がないところが多く、1つの文が完結していないようで、私はなんだか落ち着かない感じがしました。

 2つ目は、擬態語、擬音語をそのまま書いていらしゃるところ。ザワザワとかライターの火をつける音とか、ミリアちゃんが駆けてきてクマのぬいぐるみに飛び込むところ、ですね。どちらかというとシリアスな文体でいらっしゃるので、突然擬音が入ると少し違和感があります。描写で表現された方がよろしいかと思いました。

 独特の世界観が面白かったです。更新がんばってください!

 
コメント(1)

このコメントへの反応

関連リンク