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嘘つき




「お前もいい加減、オトコみつけろよ」




勝ち誇った顔をして。



甘い、とろけそうなくらい、にやけた顔で。





私の全部をかっさらっていったイチさんは、





そう、確かに言った



2




わかってるくせに。



それとも、本トはわかってない?






カフェのカウンターで、イチさんにおごってもらったカフェラテを一気に飲み干すと、



「じゃ、帰ります」



私はそう強がって言った






この男の前で私が強がらずに素直になれるのは、






――抱かれている時だけだ。




3




この男。市川一哉(イチカワ カズヤ)は、私の職場の1つ年上の先輩。


私達の関係は、すこぶるややこしい。



イチさんには取引先で年上の彼女がいる。




そして。




私、は。





ただの後輩で、カラダだけの関係。

4







どうしようもなく、この男の身体に溺れてしまった



長い指


猫みたいに、柔らかい髪。



切れ長の綺麗な目に、大きな身体。





何処までも果てしなく続けられる、持久力。





理由はと聞かれて、不埒なコトばかりをあげてしまうほどに、相性がいい。

5





そして、適度に突き放す、この態度。




「送ってやりたいけど、今日はこのあと接待だからな」



ふっ、と笑った顔が憎らしくて。




彼女と会うなら彼女と会うって言えばいいのに。


そういうズルさにも、心を全部もっていかれてる自分が悔しい。





「ご馳走さまでした。」




精一杯の虚勢をはって、私はカフェを一人、後にした



6





悔しい。




あんな男、いくらでも捨ててやるのに。




そんな風に思っても、イチさんは巧みに私を操り、いつの間にか私のまわりにいた男はすべて消えさっていた。




完全に、奴の策にはまっているとしか思えない。


7





威勢をはったわりには、がっくり肩を落として、私はすぐ目の前にあった駅の改札をくぐり抜けた









あー。また。




今夜も一人。



8

春将軍




――春。



三流大学を卒業。

無事に内定の出た会社での、新人研修。






そこで私は、初めてイチさんと顔を合わせた。


今でも忘れてはいない。







あの、無愛想で、イラつく態度は。


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