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次に読みたいファンタジーコンテスト「学園ファンタジー」
講評者の三村美衣氏からのコメント =====  学園ものは、学園という空間の閉鎖性によって支えられている。ホグワーツのような辺境の城、蓬莱学園のような孤島にせずとも、人々が持つ学び舎に対する聖域意識が、社会との間に壁を作る。では学校が社会の軛から逃れているかというと、当然ながらそうはいかない。学校という狭い空間に押し込められた社会的ヒエラルキーもあれば、容姿や能力や嗜好によってスクールカーストが形成される。  それでも学園であれば、一発逆転や、壁を崩壊させるようなチャンスも作ることができる。今回はそういった部分も踏まえ、「学園」というテーマ性を重視してセレクトした。  現代を舞台にする場合、学校の閉鎖性はSNSの普及によって崩れつつあるが、同時に新たな閉鎖系を生み出してもいる。そこらへんを意識していないと、今の学校の風景にはなりにくい。また、異世界の魔法学校を、ゴシック調の城に設定している人が多かったが、学校は巨大な船や飛行船の中にあってもいいし、扉によって接続された無数の場所でもよい。学校という空間や、人間ドラマの舞台としての面白さを使いながら、イマジネーションを広げて行くことはまだまだ可能だ。 ===== 受賞作品への選評や見どころを一部掲載! また、エブリスタのメディアmonokakiにて、講評者の三村美衣氏よる創作ハウツー「新しいファンタジーの教科書」を連載中です! 第7回「ファンタジー書きの新学期:魔法学園への入学」も、ぜひ読んでみてください。 ※選評は登録されたメールアドレスへ近日中にお送りします。 ※SNSアカウントで会員登録されている場合、エブリスタトップページ上部「現在、このアカウントは仮登録の状態です。本登録はこちら」より、メールアドレスの設定をお願い致します。

大賞

新聞部に入った香帆は、部長の小宵と共に学校の七不思議の企画を立てた。ところが取材をはじめてもいないのに、幼馴染の聖が聞きつけ、記事内容について探りを入れてきた。どうやら所属するオカルト研究会の差し金らしいのだが、そもそもオカルト嫌いだったはずの聖がなぜオカルト研究会なんかに入部したのか? 七不思議記事なら協力してもいいはずのオカルト研がなぜ新聞部を牽制するような真似をするのか。聖の行動を訝る香帆は、やがて、聖のクラスである1年E組の生徒全員が、それも今年だけではなく代々の1年E組の全員がオカルト研究会に所属していることを知る。いったい1年E組とは何なのか、この学校ではいったい何が起きているというのか……。新聞部の学校の七不思議調査が、やがて学校が秘める驚くべき秘密を暴き、異界とのバトルへと発展する展開が斬新。

準大賞

僻地の村から、憧れの魔法学校に進学したカーラだが、彼女が振り分けられたクラスは、魔法科ではなくなんと工業科だった。落ちこぼれの工業科と魔法科の生徒たちにばかにされながらも、魔法のコントロール能力に秀でたカーラは学内の花形である箒競技部にスカウトされ、注目とやっかみを一身に集めることに! 華々しい箒競技部に抜擢される話を並行させることで、工業科の地味な修行を丁寧に描く展開が上手! 偏見やいじめに負けず、魔法道具を作る職人的ものづくりの楽しさに目覚めていく少女の成長に期待!

入賞

お絵かきや塗り絵で描いたものをこの世界に呼び出す「召喚魔法」を教える幼稚園で、ある日、お話が大好きなひとりの少年が、一冊の本の絵を描いた。ところが召喚された本のページは真っ白、物語を召喚するには白紙を埋めなければならない。少年はクラスメートたちが召喚獣と旅をする冒険物語を描きはじめる。子どもたちが協力しあって、動物や道具や乗り物の絵を描き、魔法で呼び出しながら冒険の旅を作りあげていく。子供らしい自由な発想から物語が膨らみ転がる、物語生成のライブ感が楽しい。

佳作

魔法を持ち帰って一旗揚げる。そんな野望を持って、海を渡ってきたアビコ家は、息子のアヤセを伝説の魔女が開校したと伝わる魔法学校に入学させた。ところが、魔法はすでに斜陽で、さらにその知識を持ち帰ったとしても、アヤセの生まれ故郷には魔法を発動させるマナがとうに枯渇しているという。どうしようもない事実にやる気をなくし授業をサボるアヤセ。そんな彼を心配して、ひとりの女子生徒があらわれ……。おせっかいな女子と不貞腐れ男子の会話がスケールアップする語り口の巧みさもさることながら、最後にボーイ・ミーツ・ガールとして心にすとんと落ちる展開が見事。
美人姉妹の転校生がやってくる。その日の朝、クラスは職員室で見かけたという転校生の噂でもちきりだった。しかし、実際にタケルのクラスに転入してきた愛は、美人とはほど遠い、髪はボサボサで愛想のない地味な女子生徒だった。ところがふとしたことで、タケルは愛が家ではまるで妖精のように溌剌として愛らしい姿をしていることを知る。いったい彼女はなぜ……。吉野の里を舞台に展開する、ボーイ・ミーツ・ガールな伝奇小説。
悪魔の魂を封印した封魔傀儡を遣って戦う魔女を育成するソロモン女学院の最終テストが始まった。全国から集まった少女たちは、その場でチームを組んで傀儡を操って戦うのだが……。女学校を舞台にした熱血ロボットバトルもの。ソロモン王の72柱を使った封魔傀儡の設定が面白く、ビジュアルイメージも豊か。ソロモン王の72柱が登場するのだとすればまだまだ物語はとば口に立ったところか。今後の展開に期待。

募集概要

ファンタジー書評家「三村美衣氏」&物書きのためのメディア「monokaki」とコラボしてお送りする 「次に読みたいファンタジーコンテスト」 面白いファンタジーとは何かを探求しつつ、新しいファンタジー作品をどんどん発掘していきます! 【募集テーマ】 第八回目のテーマは「学園ファンタジー」です。 ★学校の威信を賭けた魔術交流戦。代表に選ばれたのは、天才少女…の使い魔!? ★錬金術師の卵は学園のアイドルを振り向かせるため、惚れ薬の錬成に挑む! ★「このクラスに一人、妖怪がいます」黒板に書かれた告発の真偽、そして真意とは? 「学園ファンタジー」であれば、どのような世界/時代設定のファンタジー小説でも応募可能です。 ページをめくる手が止まらなくなるような、ワクワクするファンタジー小説をお待ちしています。 また、あわせてエブリスタのメディアmonokakiにて、三村さんによる創作ハウツー「新しいファンタジーの教科書」を連載中! 第7回は「ファンタジー書きの新学期:魔法学園への入学」です。 「学園ものを書く上で、まず決めるべきこと」「魔法学園以外も作れる!?異色学園もの」などなど、豊富な具体例とともに紹介していきます。 めざせ、テンプレ脱出!ぜひこちらも参考にしてください。

講評者プロフィール

三村美衣 ファンタジー、SF、ライトノベルの書評家として、長年の経験を持ち、数々のファンタジー・SFの小説賞の審査員を歴任。 現在も、創元ファンタジイ新人賞の最終選考を務める。 第一線で活躍する中で、次世代のファンタジー作品の誕生を待ちわびている。 著書『ライトノベル☆めった斬り』(太田書房/共著)、『SFベスト201』(新書館/共著)など。 2018年10月より、monokakiにて、ファンタジー小説の具体的な書き方を指南する「新しいファンタジーの教科書」を連載。

スケジュール

・募集期間: 2019年4月1日(月)17:00:00 ~ 2019年6月2日(日)23: 59: 59 ・最終結果発表: 2019年8月上旬予定

大賞 1作品 ・賞金5万円 ・三村美衣氏からの選評 準大賞 1作品 ・賞金3万円 ・三村美衣氏からの選評 入賞 1作品 ・賞金2万円 ・三村美衣氏からの選評 佳作数作品 ・三村美衣氏からの選評 ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタ公式SNS等で配信、紹介等される可能性があります。

応募要項

・文字数は5,000文字以上 ・連載中の作品も応募OK! ・すでに完結している作品 並びにエブリスタ内の公式イベント及び他サービス等の投稿イベントで落選した作品を、募集内容に沿うように再構成してご応募いただくことも可能です。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。

コンテストの注意事項(必読)