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新星ファンタジーコンテスト「平凡/脇役/モブ」
 冒険の旅で傷つき、成長する勇者様ご一行。華々しい活躍の陰には、決められた役割だけを淡々と繰り返すモブキャラの存在がある。これといった能力もなく、出自も平凡、運にもめぐまれず、旅立ちのきっかけすら与えられない。その閉塞感に共感し、日常生活の中に希望や目的を見いだそうとする癒し系の作品が多く集まりました。  多く集まるということはニーズもあるんですが、その分、独自性が必要になります。作品自体が凡百のモブになってしまわないように、設定を練り込み、アイデアを凝らし。出来上がった作品のアピールポイントを作品概要欄のあらすじに盛り込むようにしてみてください。そうやって読者を意識して、読んでもらうために努力をすることで、小説を書く技術は上達します。 (三村美衣)

大賞

大好きなゲーム世界に転生してみたら展開が違っていた、というのはよくあるものの、それが未プレイのリメイク版だというところがミソ。お気に入りの脇キャラに転生したヒロインが、ゲームの真髄を理解していない運営の改悪に抗い、削除されてしまった脇カプの復活とヒロインの冒険成就に向けて奮闘する。推しキャラや推しカプだけでなく、ゲームへの愛がほとばしるプレイヤーの心情がイタいほどよく書けている。運営に対する辛辣な物言いとは裏腹に、彼女が求めているのが素朴でジレジレな幼馴染ルートというギャップも可笑しい。とにかく楽しめる作品です。

準大賞

冒険者の養成所に入ったが、習ったのは初歩的な座学だけであとは筋トレばかり。冒険者登録証は手に入れたものの、無一文で剣も買えず。冒険者になる夢を捨てきれないまま、酒場のウェイターつまりモブキャラに甘んじる青年に、酒場の常連らしき男がこの世界の残念な現実を語り始める……。素性もよくわからない男のシニカルで悪魔的な語りと、夢を手放さない純朴な青年のささやかな抵抗。酒場の中だけで進行する対話劇にもかかわらず、店内の喧騒の向こう側にある冒険者たちの営みやダンジョンの闇が見える。

入賞

皇女様に婿入り予定だった隣国の王子が、なんと結婚式前日に逃亡。皇女は父親にもその事実を伏せ、王宮の窓拭き係の女の子を王子に仕立てあげた……。身代わり、男女逆転、宮廷陰謀劇、身分違いの恋、女子同士の連帯と、エンタメ要素をこれでもかとぶちこんだサービス精神旺盛な展開。窓拭き係と皇女さまがどちらも魅力的で、二人の間に芽生える姉妹愛にも似た友情も心地よい。短編なのがもったいない!

佳作

自由にゲーム世界を動き回れる勇者や戦士とは異なり、ただ存在するだけの“モブキャラ”。背景にも等しいモブキャラにも関わらず、少女に実は感情があり、勇者にほのかな想いを抱いていた……。魔王を倒した誇らしさで村々を回ってみても、同じ言葉しか返してくれない村人たちに、いつかは飽きて電源を落とすしかなくなる。あのなんとも言えない虚しさや寂しさをちょっぴり埋めてくれる作品。モブであっても誰かの心を支える存在になれるというを教えてくれる素敵な短編です。
この世界が乙女ゲームだからって、転生ヒロインだというだけで、恋愛も学業も全て総取りのハッピーエンドが約束されているなんて納得がいかない! ライバルでもなければ、意地悪な同級生ですらない名もなきモブキャラが、ゲーム世界の予定調和に反旗を翻し、懸命に努力を重ねて、成績トップを目指す。攻略対象であるはずのイケメンとのイベントが発生するイレギュラーな展開にも、ブレないモブキャラ少女の理屈っぽさと、ツンツンな様子がかわいい、胸キュンかつ痛快な短編。
モノを「引き寄せ」る異能が使えるにも関わらず、能力があまりに限定的すぎて、スクールカーストの最下層に位置する主人公。イケメン転校生に恋した彼女は、ヒーロー属性のある転校生男子の人気凋落を防ごうと、異能を駆使して陰から手を尽くすのだが……。推しキャラを支えるファンのような、相手の全てを肯定的に捉える片想いだが、マイペースでちょっと図太いヒロインの性格と相まって、ほのぼのかつユーモラスな読み心地。転校生の正体が判明するドタバタを経てのハッピーエンド展開も意外性があって楽しい。
唯一、絵を描くことだけが得意な女子高生が異世界に転生。ゲームでお馴染みの討伐ミッションの手配書を作る調査団の絵描きになる。ギルドお抱えのモンスター調査団という設定が新鮮な秘境冒険もの。討伐するわけではないのでいざとなれば逃げればいいとはいえ、どうやって追い詰めるかというディスカッョンも楽しい。物語はまだ序盤だし、文章も荒削りですが、今後に期待。
募集概要
「新星ファンタジーコンテスト」 ファンタジー書評家「三村美衣」氏とエブリスタが再びタッグを組み、新星のようにきらめくファンタジー小説を発掘します! 受賞作には三村美衣氏からの選評と、個別にアドバイスをお送りします。 あなたのファンタジー作品をより輝かせるため、この機会をぜひお役立てください!
スケジュール
・募集期間:2021年9月6日(月) 12:00:00 ~ 2021年11月7日(日) 27:59:59 ・最終結果発表:2022年1月中旬頃予定
募集テーマ
第3回目のテーマは「平凡/脇役/モブ」です。
・現世で死んだ私が転生したのは、物語の悪役令嬢……の、取り巻きの一人!? ・冒険者に殺されそうになっていた雑魚モンスターの俺。しかし別の冒険者が救けてくれて? ・小さな劇団の売れない役者。やけくそで一万円を賽銭箱に入れると神様と名乗る男が現れ、夢を叶えてやると言い出して……。
平凡/脇役/モブに焦点を当てた内容であれば、どのような世界/時代設定のファンタジー小説でも応募可能です。 思わず最後まで一気読みさせられる、そんな引力を持ったファンタジー小説をお待ちしています!
賞
大賞 1作品 ・賞金5万円 ・三村美衣氏からの選評 準大賞 1作品 ・賞金3万円 ・三村美衣氏からの選評 入賞 1作品 ・賞金2万円 ・三村美衣氏からの選評 佳作 数作品 ・三村美衣氏からの選評 ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタ公式SNS等で配信、紹介等される可能性があります。
講評者プロフィール
三村美衣 ファンタジー、SF、ライトノベルの書評家として、長年の経験を持ち、数々のファンタジー・SF小説賞の審査員を歴任。 創元ファンタジイ新人賞の最終選考も務めた。 第一線で活躍する中で、次世代のファンタジー作品の誕生を待ちわびている。 著書『ライトノベル☆めった斬り』(太田書房/共著)、『SFベスト201』(新書館/共著)、『大人だって読みたい少女小説ガイド』(時事通信社/共著)など。 2018年10月~2019年12月、monokakiにてファンタジー小説の具体的な書き方を指南する「新しいファンタジーの教科書」を連載。好評を博した。
応募要項
・ファンタジー要素を含む作品であること。 ・文字数は5,000文字以上。 ・20,000文字までの内容で選考を行います。 ・連載中の作品も応募OK! ・すでに完結している作品、並びにエブリスタ内の公式コンテスト及び他サービス等の投稿コンテストで落選した作品を、募集内容に沿うように再構成してご応募いただくことも可能です。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他サービス等に応募中の作品は判明した時点で応募が無効となります。
注意事項
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。

コンテストの注意事項(必読)