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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第219回「エイプリルフール」
 本来推奨されない“嘘”という行為が許され、それを楽しむ特別な一日。嘘というキーワードから幅広い発想が集まるかと思いきや、存外ネタ被りが多かったです。一方で嘘そのものの発想はおもしろいものの、オチがいまいち弱く印象に残りにくい作品も多く見られ、発想と構成を両立させる難しさを感じました。  また近年広まった「嘘をついていいのは午前中だけ」という説を物語の仕掛けに使う作品も多く、ある意味時代性を感じさせてくれるお題だったかもしれません。

大賞

裕福な家に生まれるも、若くして余命宣告を受けた道隆。誰もが嫌厭する彼の世話役を、新たな使用人・千代は甲斐甲斐しく続けて……。優しい嘘を続けるために暦をめくらない、というテーマの使い方が見事に作品の芯になっています。互いを想い合う二人の仲はまさしく純愛。いつまでも4月1日が続いてほしいと思わされ、涙がこぼれそうになりました。

準大賞

4月1日になると職場のあちこちで嘘を吐き、混乱を招く。そんな厄介な鼻つまみ者なのにどうにもできない理由にリアリティがあります。工場の業務や人間関係を丁寧に描いているので、こちらまで歯がゆくなりました。因果応報のストーリーがわかりやすく、この後に起こるであろう混乱まで含め、絶妙な後味の悪さが残ります。

入賞

幼馴染の訃報を受けて帰郷した真司を出迎えたのは、死んだと聞かされた幼馴染本人で? さすがに嘘と言っても不謹慎過ぎでは……と感じるものの、最後まで読むときちんと伏線になっているのがわかります。作中に仕込まれた虚実のバランスが上手く、嘘あるいは本当だったと明かされる度にせつなさが加速していくストーリーテリングがお見事でした。

佳作

自宅でストーカーに襲われた美里は、友人の悪戯に違いないと彼を自宅に招き入れて? 緊張感溢れる冒頭から、急転直下のコメディ展開に。すれ違いコント感がテンポよく、少しのハラハラと共に楽しく読み進められました。オチが少々中途半端でもったいなく感じたので、笑いや恐怖に振り切ってもよかったかもしれません。
大事な話があると友人に呼び出された。彼女と別れたという彼を、俺と足立は慰めるのだが……? 現実的に考えると泥沼すぎて「人間怖い」となるところですが、絵面的にはコントのようなシュールさがあり、ちょっと笑えてしまいます。このまま友情が壊れて終わるのか、それとも……と、終始ドキドキ感を味わえました。
森が勤める中古車専門店に、上京した同級生から予約が入った。彼女は“ある噂”のある車を求めているようで――。「乗った人の嘘を真実にしてくれる」という設定と、それを求めて来た忘れられない同級生という設定が強い引きになっています。その後も転々と先の見えない展開に、ハラハラドキドキしながら最後まで読み進められました。
「私、人間じゃないの」そんな些細な彼女の嘘。人間じゃなくても嫌いにならないかという問いに、「なるわけない」と即答するが――。カップルの何気ない日常が、まさかの展開に繋がっていく。短くとも文章が洗練されており、スッと物語に引き込まれました。彼女が思う“人間”と、人間になるための選択がやるせなく、ずしりと重たいものが心に残りました。
突然訪ねて来た友人が「人を殺しちゃった」と告白してきた。話を聞いてみると、相手は義母だと言うのだが――。冒頭のインパクトそのままに、テンポの良い台詞の応酬で読者を飽きさせません。一度は安心させてから急上昇カーブを描く展開はジェットコースターのようで、ラストまで一気読みさせる勢いがありました。オチのつけ方も非常に印象的です。

超短編賞

閉ざされた無人島で起きた殺人事件。超精度を誇る嘘発見器によると、容疑者全員がシロ判定となったのだが――? 2235年という未来の舞台設定とテーマが上手く生かされており、なるほどなと感心させられました。難しいトリックはないものの、超短編ならではの切れ味を楽しめるミステリーです。

続きが読みたい賞

自宅の庭にUFOがやってきた。しかし友人もSNSのフォロワーも、エイプリルフールだからと誰も信じてくれなくて? 地球侵略という物騒な目的でやって来た宇宙人に愛嬌があり、地球存亡の瀬戸際に立たされた主人公の焦燥感とのギャップがおもしろいです。一年後、必ずまた訪れる危機をどう乗り切るのかも気になります。

トンデモ賞

自宅でたこ焼きを作っていたら、そのうちの一つがしゃべり始めて!? 意思を持ったたこ焼きのこてこて関西キャラと、主人公のコンビ感が見事にはまっていました。地球の危機に元カノとの復縁に、と内容が盛りに盛られていますが、支離滅裂にはなっておらず、ちょっと不思議なほっこりストーリーとしてまとめ上げた手腕がお見事。

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2024年3月27日(水) 12:00:00 ~ 2024年4月29日(月) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2024年6月中旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位20作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位20作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第219弾です。 今回のテーマは、「エイプリルフール」です。 どこかに必ず「エイプリルフール」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・幼馴染をからかおうとエイプリルフールに嘘告白をしたら、本気でOKされちゃって!? ・4月1日限定の嘘広告を企画。ユーザーに楽しんでもらうはずが、ある理由から炎上してしまい……。 ・小さな嘘すら罪になる未来。過去の記録からエイプリルフールを知った男は、これを復活させようと画策するが?
広告やゲームなど、祭りのような賑わいを見せる現代のエイプリルフール。あなたはどんな嘘をついたことがありますか? そんな「エイプリルフール」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第220回のテーマは「引越し」です。 本コンテストと平行する形で2024年4月10日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第220回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト