夕暮れ観覧車。 あめさんの短編集をランダムにめくっていました。その中の一編がこれでした。 　　橙、群青、紫が迷子みたいに混ざり合います。 ラストシーンの文面です。この描写に全てが象徴されているよう

僭越ながらレビューさせて頂きます。 先ずは全体の感想ですが、二人称が違和感なく頭の中に入ってきました。難しい手法で、違和感がある作品を幾つも見てきましたが、この作品はそれを全く感じない作品となってい

作品を読み終えてから表紙の観覧車を見ると、最初に見た時とは違った印象を与えてくれます。 二人称は書くのが難しいのですが、かなり綺麗に三人の心情がまとめられていました。 娘さんの心情だけなら辛く

読み始めた瞬間から、ふっと独特の空気に包まれました。 物悲しい冒頭なのに、さらっとした肌触りで読み進めて行けてしまうのが不思議です。 彼に振り回されてしまった家族、そしてそんな彼に希望を与えられた青年

一切描写らしい描写はなく、全て、インタビュー形式と言えば良いでしょうか？　その流れだけで構成されていますが、一言で素晴らしいと思いました。 人のコメントだけでしっかりと光景が浮かびますし、それぞれの

男とはなんて不器用な生き物だろう。 家族は大切。 でも、夢も大切なのだ。 夢中になると、優先順位を間違えてしまう。 「なんとかなるだろ」と、本気で考えてしまう。 全く、いつまでたってもガキみたい

一人の男に対して、三者三様の視点で語られる物語。 それらは全て、各々が見た、たった一側面の部分のみ。 幼い時に感じた父への温もりと励ましのサックスの音色と、哀しみと憎しみを残して去ったという側面。 あ

難しい、自分の中に複雑な気持ちがいっぱいになりました、その多くは自分の修行不足につきます、もっとこの物語を理解したいと思いました。 娘さんが可哀想だと思いました、でもお父さんも可哀想だと思い始めました

この作品、まるごと感性の世界。 表紙イラストと同じ、どこまでも柔らかく優しく美しく、そして切ない。 一人の男性……あえて主人公と明記します。彼の人生を、三人の立場の違う男女が語る二人称の作品。

透徹した夕暮れの空を眺めているように、心にしみわたる物語です。 才能ですかね。 三者三様の視点からある人物を通して語られる過去、それが胸に迫ります。 泣いてしまうから気持ちをフラットに保っていました