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講評者の三村美衣氏からのコメント ===== みんな性格が良いのか、闇というテーマを持て余し、扱いかねている作品が多かった。闇はどこにでも、誰の中にでもある。闇をみつめ、ファンタジーならではのスーパーナチュラルな仕掛けでその闇を増幅して解き放つ。ファンタジーの本領は、探求と救済と癒やしだ。一般文学とも、ホラーとも違う、そんなファンタジーならではの方法で闇/病を描いた作品を中心に選んだ。 大賞の三谷銀屋『青闇妖影鬼談』は、第5回「和風ファンタジー」で佳作となった『
赤目のおろく
』の続編。筆に磨きがかかってケレン味たっぷりで、前作以上に読者を楽しませる作品に仕上がっている。また惜しくも賞にはもれたが、地方都市を舞台に公務員の陰陽師と拝み屋のコンビが事件を解決する、歌峰由子『
巴市の日々
』、迷い込んだ異世界のどこか暴力的で混沌とした空気感が秀逸な世一杏奈『
カゲルの街
』、魔女の呪いを解く方法を探す旅を描いた藤城ゆえ『
リストレイント・マーメイド
』も面白く読ませていただいた。 ===== 受賞作品への選評や見どころを一部掲載! また、エブリスタのメディアmonokakiにて、講評者の三村美衣氏よる創作ハウツー「新しいファンタジーの教科書」を連載中です! 第8回「
ダークヒーローからゴシックロマンまで 闇/病み小説
」も、ぜひ読んでみてください。 ※選評は登録されたメールアドレスへ近日中にお送りします。 ※SNSアカウントで会員登録されている場合、エブリスタトップページ上部「現在、このアカウントは仮登録の状態です。本登録はこちら」より、メールアドレスの設定をお願い致します。
大賞
青闇妖影鬼談
妖花の森に迷い込んだ死神と人間が共に協力し合い、謎のあやかしと対峙する、時代小説風の和風怪奇ファンタジー。
三谷銀屋
2019/5/19 更新
ファンタジー
完結
3時間21分 (120,202文字)
閻魔大王配下の死神たちが次々行方不明になる一方で、江戸郊外の漁村では立て続けに死者が帰ってくる黄泉返り現象が相次いでいた……。亡者を操る妖しに、大切なものを連れ去られた死神と人間が手を組んで挑む。元死神の「目玉売り」と、居候の死神。人の生き死にに関わりながら三途の川岸で生きる2人の男の青春譚。第5回「和風ファンタジー」で佳作となった『赤目のおろく』のシリーズ第二弾だ。前作も盥で目玉が泳ぐ描写に目を奪われたが、今作も絵的な表現が見事。
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準大賞
該当なし
入賞
わたしね、タピオカから生まれたの
“歌舞伎町で借金を作った樹里は、タピオカにされてしまう”
≋k≋y≋z≋m≋
2019/6/4 更新
青春
完結
13分 (7,759文字)
ホストクラブで借金を作りまくった女の子が、借金のかたにタピオカにされてしまう。不条理な状況が転がっていく様が、あっけらかんと軽妙に病んだ独白で綴られる。ただそれだけの話だし、ブラックな話にもかかわらず、結末にはなんとも言えない開放感がある。新宿の「今」を描いた珠玉の掌編。
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佳作
「spark down」
かくして彼は 世に悪が放たれるのを 傍観していた
まちか
2018/12/6 更新
ファンタジー
完結
13分 (7,567文字)
騎士道精神を貫き、高潔であろうとする騎士。しかし彼が仕える勇者候補は闇に落ちかけており、井戸に毒を仕込み、人を欺き、あらゆる手立てを尽くして他の候補を蹴落とさんと画策する。善なる者の魂が闇に飲まれていく過程をスリリングに描いた短編。
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翡翠の海と黄金の月
これはある国に伝わる、魚の尾っぽを持ったお姫様と、彼女に助けられた王子様のお話です。
夜雨
2019/5/8 更新
ファンタジー
完結
25分 (14,740文字)
船に乗れば難破し、船が無事なら海に落ち、乗船禁止命令が出たら今度はふらふらと海を見に行き深みに足をとられてしまう。そんな海難の相がある王子を救ったのは、銀の髪をしたひとりの人魚だった……。なぜ王子は海にひかれるのか、人魚姫はなぜ王子を女誑しと罵倒するのか、そして人魚姫が語る「はじまりの人魚」とは? おとぎ話を下敷きにした叙情性と、現代的な語り口調の同居が独特の味を生んでいる。
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時計台のガイ・フォークスへ向けて
妻を失った男が出会ったのは、醜悪な心を持った仮面の魔法使いだった。
Yamako.
2019/6/9 更新
ファンタジー
完結
10分 (5,925文字)
画家を目指す夫の成功を願い、悪魔と取引をして顔を失った妻。そのことを知った夫は、妻の笑顔を取り戻すために全てを投げ打つ覚悟を決める。短いながら、夫の決意も劇的だし、時計台に棲む魔術師ガイ・フォークスの仮面を被った魔術師の邪悪さも迫力がある。
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愛しのコッペリア
宮殿で暮らす少年には記憶がない。彼を高貴な存在として扱う人々と、その人達を嘘つきだと言う少女。彼はどちらを信じるべきか。
猿捕 茨
2024/10/2 更新
ファンタジー
連載中
3時間26分 (123,518文字)
記憶を失った第二王子は、優しい父王と兄と城の人々に見守られながら、もう一度5歳から人生をやり直そうとしていた。ところがある日、彼の前に彼にしか見えないコッペリアと名乗る邪悪な少女が現れ、優しさには裏があるのだと囁きはじめ……。まだ物語は序盤だが、疑惑の芽を植え付ける幻の少女の存在や、国を襲う謎の流行病など謎も盛りだくさんで先の展開が気になる。
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ファンタジー書評家「三村美衣氏」&物書きのためのメディア「
monokaki
」とコラボしてお送りする
「次に読みたいファンタジーコンテスト」
面白いファンタジーとは何かを探求しつつ、新しいファンタジー作品をどんどん発掘していきます!
第九回目のテーマは「
闇/病み
」です。
★ほとんどの属性魔法が使える主人公。けどなぜか、闇魔法だけ使えなくて… ★暗闇と謎に包まれた地下世界で生きる妖精達の、明るく楽しい毎日を覗いてみよう! ★蔓延する不治の奇病。それはかつての勇者による、復讐の始まりだった。
闇/病みの要素が入っていれば、どのような世界/時代設定のファンタジー小説でも応募可能です。 ページをめくる手が止まらなくなるような、ワクワクするファンタジー小説をお待ちしています。 また、あわせてエブリスタのメディア
monokaki
にて、三村さんによる創作ハウツー「
新しいファンタジーの教科書
」を連載中! 第8回は「
ダークヒーローからゴシックロマンまで 闇/病み小説
」です。 「『闇/病み』を描く時におさえていきたいポイントは?」「『闇/病み』を生成する場所とは?」といった、具体的なお悩みにお答えます。 めざせ、テンプレ脱出!ぜひこちらも参考にしてください。
三村美衣
ファンタジー、SF、ライトノベルの書評家として、長年の経験を持ち、数々のファンタジー・SFの小説賞の審査員を歴任。 現在も、創元ファンタジイ新人賞の最終選考を務める。 第一線で活躍する中で、次世代のファンタジー作品の誕生を待ちわびている。 著書『ライトノベル☆めった斬り』(太田書房/共著)、『SFベスト201』(新書館/共著)など。 2018年10月より、
monokaki
にて、ファンタジー小説の具体的な書き方を指南する「新しいファンタジーの教科書」を連載。
・募集期間: 2019年5月7日(火)12:00:00 ~ 2019年7月7日(日)27: 59: 59 ・最終結果発表: 2019年9月中旬予定
大賞
1作品 ・賞金5万円 ・三村美衣氏からの選評
準大賞
1作品 ・賞金3万円 ・三村美衣氏からの選評
入賞
1作品 ・賞金2万円 ・三村美衣氏からの選評
佳作
数作品 ・三村美衣氏からの選評 ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタ公式SNS等で配信、紹介等される可能性があります。
・文字数は5,000文字以上 ・連載中の作品も応募OK! ・すでに完結している作品 並びに エブリスタ内の公式コンテスト及び他サービス等の投稿コンテストで落選した作品を、募集内容に沿うように再構成してご応募いただくことも可能です。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。
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