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次に読みたいファンタジーコンテスト 「ほっこり/ほのぼの」
講評者の三村美衣氏からのコメント =====  ファンタジーというスパイスを投入することで、慣れ親しんだ日常が少し別のものに見えてくる。周囲に存在する様々な事物に様々な手触り、匂い、色、味などがあること。食事を美味しくいただき、自然に感謝をし、人の繋がりに暖かさや優しさを見出すことができるようになる。冒険や探求を描いたドラマチックな物語だけではなく、ファンタジーはそういった生活のささやかな感触を際立たせることも得意だ。神社でのおまいりの仕方から、食事のときに手をあわせる、そういった日々の当たり前をよく観察し、そしてその背景に思いを馳せることから、日常のファンタジーは始まっていくような気がする。  さて、大賞に選んだ『花咲く時間 ~ 小春と神様たちのほっこりtea time ~』は、お菓子を介して、人と自然と神様の間にある繋がりを描いた作品。悲しい過去を抱えながらも、ほっこり、ほのぼの感を失わない神と人の強さを楽しんでいただきたい。また、惜しくも選からもれたが、黒い猫『お菓子な話』、とこ『居酒屋赤ちょうちん』、秋野きつ『湯けむり怪異譚「ぶらぶら」』なども、ファンタジーならではのほのぼの感があって大変面白かった。 ===== 受賞作品への選評や見どころを一部掲載! また、エブリスタのメディアmonokakiにて、講評者の三村美衣氏よる創作ハウツー「新しいファンタジーの教科書」を連載中です! 第10回「日常系から大冒険まで ほっこり/ほのぼのファンタジー」も、ぜひ読んでみてください。 ※選評は登録されたメールアドレスへ近日中にお送りします。 ※SNSアカウントで会員登録されている場合、エブリスタトップページ上部「現在、このアカウントは仮登録の状態です。本登録はこちら」より、メールアドレスの設定をお願い致します。

大賞

該当なし

準大賞

魔法の国で育った魔女が、魔女であることを隠しながら人間の世界で働く姿を描いたお仕事小説。人間の世界に憧れる魔女が都会のデパートのエレベーターガールになるというノスタルジックな昭和編と、デパガとしても魔女としてもベテランの域に入り、一流デパートのコンシェルジェとなった現代編の2つの時代が交互に語られる。ヒロインを長命な魔女にすることで、昭和と令和の2つの時代、2つのデパートを舞台に、都市の風景と女性の自立や恋愛がパラレルに描かれるところがミソ。

入賞

髪は銀色と茶色の斑で、さらに生まれつき腰が曲がっているために、村の子供たちから浮いた存在となっていたポト。ポトと姉のマーサを育てた祖父は今際の際に、ポトが王家の後継者であり、書庫の膨大な本の中にその国のことを記した本が隠されていること、そして「その国が王を必要としたとき、お前たちはその国へ行ける」と言い遺して息を引き取った。件の本を探し続けるがなかなか見つからず、飽きたポトが祖父の形見のステッキを、床に広げた本のまわりでくるくるとまわしたところ、突然床が光りだし、一冊の本の上に銀の卵が出現したのだった……。村で育った少年が見いだされ、王となり、国を導く。最近ではめっきり珍しくなった、オーソドックスな貴種流離譚ビルドゥングスロマン型異世界ファンタジー。古典的なだけではなく、20歳を迎えずに大半の人が死んでしまう子供ばかりの国の秘密を絡めるなど工夫もあっておもしろい。

佳作

作家の男性と、座敷わらしとの交流を描いた短編。座敷わらしが見えるタイプながら、ちょっとひねくれ者な主人公が、次第に座敷わらしの純朴さや優しさにほだされていく経過が楽しい。そして時代の変化にさらされて滅びようとしている座敷わらしの運命が切ない。よくある話ながら、座敷わらしが図書館で借りてきた本のタイトルでぐっときて入選!
ささやかな日常系魔法の使い方が上手だなと思ったら、準大賞に選んだ『魔女と百貨店』を書いた方でした。こちらは喫茶店の店主が魔法使い。ただなぜか記憶喪失で、いろいろな記憶がまだらになっているという設定。まだ全体は見えないながら、混乱っぷりと薬草の使い方が面白く、こちらも今後の展開に期待したい。
朝、ストーブの周りに置いたはずのサッちゃんのお弁当が行方不明になり、クラス中の子供たちがヨウちゃんに疑いをかけるのだが……。幼稚園での日常を描いた短編と思いきや、意外な方向に話が進む。ストーブの周りにお弁当を並べるという懐かしさに、情報社会ならではの大人びた園児の同居が面白い。
ある日、魔法使いの弟子が道で女の子にぶつかり、彼女が食べていた棒付きキャンディーを割ってしまう。泣きじゃくる少女に困り果てた彼は、悲しみを息と一緒に吹き込んで、空に飛ばしてしまえる「しょぼん玉」を少女に渡した。ところが「しょぼん玉」には、思い出自体をなかったことにしてしまう性質があり、キャンディをプレゼントされたという大切な思い出まで消してしまったことに気づいた彼は……。魔法アイテムが引き起こす事件と、その解決を描いたドラえもん型ファンタジー。児童文学的な語り口調も端正でかわいい。
誰々から聞いた話として語り起こされる形式は怪談調なのだが、恐怖ではなく、日常に潜む不思議な話を集めた都市伝説掌編小説集。生活の知恵に繋がる、新しい昔話といった趣でおもしろい。
募集概要
ファンタジー書評家「三村美衣氏」&物書きのためのメディア「monokaki」とコラボしてお送りする 「次に読みたいファンタジーコンテスト」 面白いファンタジーとは何かを探求しつつ、新しいファンタジー作品をどんどん発掘していきます!
募集テーマ
第11回目のテーマは「ほっこり/ほのぼの」です。
・何かの手違いで、妖怪の学校へ転校してしまった少年。けどクラスメイトは大歓迎!? ・拾った卵からドラゴンが孵った上、親と勘違いされてしまった!こうなったら私が育てるしかない? ・魔物限定カフェを始めたゴブリン。お客様の癒しの為、今日もがんばります!
ほっこり/ほのぼのするシチュエーションが入っていれば、どのような世界/時代設定のファンタジー小説でも応募可能です。 ページをめくる手が止まらなくなるような、ワクワクするファンタジー小説をお待ちしています。 また、あわせてエブリスタのメディアmonokakiにて、三村さんによる創作ハウツー「新しいファンタジーの教科書」を連載中! 第10回は「日常系から大冒険まで ほっこり/ほのぼのファンタジー」です。 「ほのぼの系でシリアス大冒険を創るには?」「日常系のアプローチは?」といった、具体的なお悩みに答えます。 めざせ、テンプレ脱出!ぜひこちらも参考にしてください。
講評者プロフィール
三村美衣 ファンタジー、SF、ライトノベルの書評家として、長年の経験を持ち、数々のファンタジー・SFの小説賞の審査員を歴任。 現在も、創元ファンタジイ新人賞の最終選考を務める。 第一線で活躍する中で、次世代のファンタジー作品の誕生を待ちわびている。 著書『ライトノベル☆めった斬り』(太田書房/共著)、『SFベスト201』(新書館/共著)など。 2018年10月より、monokakiにて、ファンタジー小説の具体的な書き方を指南する「新しいファンタジーの教科書」を連載。
スケジュール
・募集期間: 2019年7月1日(月)12:00:00 ~ 2019年9月1日(日)27: 59: 59 ・最終結果発表: 2019年11月上旬予定
賞
大賞 1作品 ・賞金5万円 ・三村美衣氏からの選評 準大賞 1作品 ・賞金3万円 ・三村美衣氏からの選評 入賞 1作品 ・賞金2万円 ・三村美衣氏からの選評 佳作 数作品 ・三村美衣氏からの選評 ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタ公式SNS等で配信、紹介等される可能性があります。
応募要項
・文字数は5,000文字以上 ・連載中の作品も応募OK! ・すでに完結している作品 並びに エブリスタ内の公式コンテスト及び他サービス等の投稿コンテストで落選した作品を、募集内容に沿うように再構成してご応募いただくことも可能です。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。

コンテストの注意事項(必読)