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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第208回「化ける」
 化け狸や化粧など、思った以上にテーマの扱い方が被りやすく、個性を出すのがなかなかに難しいお題だったかもしれません。しかしながら、テーマの扱いに工夫を凝らしたいという書き手の試行錯誤は伝わってきました。  受賞作には、上記のような被りやすいテーマであっても、そこから更に独自の味付けをしたり、別の見方をしたりといった創意工夫が見られるものが多かったです。定番をいかに自分だけのネタに昇華し、埋もれさせないかは、受賞への大きな分かれ目。ぜひ参考にしてみてくださいね。

大賞

愛化けと呼ばれる化け物を殺す愛化師の男・ヨナに助けられたコウ。自らもそうなりたいと、彼を追いかけるのだが――。そうとは気付かせず、コウを気遣うヨナの行動が心憎いです。何気ないやりとりから、師弟の絆が育っていく様をしっかり感じさせてくれるだけに、クライマックスは衝撃的でした。化け物を退治する者の宿命があまりにもせつなく、その運命の連鎖が胸を打ちます。

準大賞

教会を秘密裏に視察する調査員の青年と少女。彼らはとある村で“聖女の短剣”とされる聖遺物が、偽物だと見抜くのだが……。ストーリーの縦軸やキャラクターがはっきりしているので、物語がスッと頭に入ってきます。偽物の短剣を看過する理由に現実的な側面を持たせつつ、その真の理由には、少女が聖女に抱く想いのすべてがぎゅっと詰まっており、胸がいっぱいになりました。青年の過去も絡めた続きもぜひ読んでみたいです。

入賞

タイムマシンの実験に失敗し飛ばされた、200年後の世界。“ある言葉”が失われ、世界中で150年も戦争を続けているらしく……。文字化けから更に一捻りした発想がおもしろく、またしっかり物語の主軸となっていました。失われた言葉を考えながら読むのが楽しく、鋭い人ならば序盤で気付けるような構成も巧みです。感情を言葉にして伝える意味について、考えさせられるストーリーでした。

佳作

病気の母のため、領主のみ立入を許された淵へ訪れたさよ。そこで魚を獲る、大きな女と出会い……? ストーリーラインがわかりやすい勧善懲悪もの。物語自体はありがちな内容ですが、全体的に堅実で完成度が高いため、読み応えがありました。特に冴は出自が一切明かされないながら、謎めいた魅力的なキャラクターとして描けています。
山奥の小さな寺に、青年が訪ねて来た。彼は住職に「力を貸してほしい」と言い、峠で経験した不思議な話を語り出す。動物が人間に化けて恩返し、は昔話の定番ですが、その逆の発想になるほどと感心させられました。全体的に独特な雰囲気が漂っており、まさしく“あわい”の空気感が味わえるようです。作中にある通り、気付けば引き寄せられてしまうような、不思議な魅力のある作品でした。
姉と仲違いしていた妹は出来心から、コックリさんに「優しいお姉ちゃんを返してください」とお願いする。すると翌朝、姉は人が変わったようになり……。若干怪異側に都合よくことが運びすぎているきらいがあります。とはいえ道中はハラハラしながら読み進められましたし、何よりラストの絶望感が強烈。いつまでも残る後味の悪さが印象的でした。
無人の終着駅まで寝過ごしてしまった主人公。公衆電話を探して、誰もいない畦道を歩いていると、運良くタクシーが通りかかるのだが――。危険を承知で、それでも幼い少女を放っておけない主人公のバックストーリーがせつないです。終盤はどうなってしまうのかというハラハラ感と、ゾッとする瞬間まで、しっかり“怖さ”を味わえつつ、救いのある結末に優しい余韻が残りました。
トラック運転手に助けられた狸は、彼に恩返しを申し出る。男が狸に望んだのは、息子に化けて助手席に乗ることで――。気付けば男と本当の息子が過ごしたよりも、ずっと長い年月を共に過ごしてきた男と狸。その中で変化していったであろう関係に、なんともせつなくなります。残された狸がこれからどんな生き方を選ぶのか……登場人物のこれまでとこれからに想いを馳せたくなる一作でした。

超短編賞

該当なし

続きが読みたい賞

ゾンビパニックの後、ワクチンによって正気を取り戻した元ゾンビが、社会復帰のために再就職を目指す、という設定が実に面白いです。テーマに化粧を持ってくる作品は多かったですが、そちらの使い方にも一工夫があり、大変印象に残りました。面接官の態度は差別的ではあるものの、そうする気持ちも理解できるので、主人公と面接官どちらにも共感できました。主人公の今後はもちろん、他の元ゾンビたちのエピソードも読んでみたいです。

トンデモ賞

人生初の会社の飲み会で、同期が狼男になった! 慌てる主人公だが、周囲は気にする様子もなくて……。酔うと本性が出るとは言うものの、いくらなんでも限度があるだろう、とつっこまずにはいられません。化けの皮が剥がれ、あやかしの類のみならずロボットや宇宙人まで現れる様は、シュールを通り越してカオスです。そんな状況からでも、ラストの主人公の正体にはさらに驚かされ、開いた口が塞がりませんでした。

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2023年10月11日(水) 12:00:00 ~ 2023年11月12日(日) 27:59:59 ・最終結果発表:2024年1月中旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第208弾です。 今回のテーマは、「化ける」です。 どこかに必ず「化ける」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・幼い頃に別れた幼馴染と再会。男だと思っていた彼女は、別人のように美しくなっていて……。 ・お山の覇権を巡る、狐と狸の変化合戦はやがて、人里を巻き込む大騒動に発展して!? ・妻を殺し、手に入れた遺産で派手に遊ぶ男。ある日街中で、女の霊が憑いていると言われ……? ・配信者のリアルわらしべ長者企画。一本のペンは最終的に、とんでもないものに化けて!?
突然の大きな変化に驚き、“化かされた”と感じてしまう。身近にそんな体験はありませんか? そんな「化ける」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
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応募の辞退について
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次回予告

次回、妄想コンテスト第209回のテーマは「犬」です。 本コンテストと平行する形で2023年10月25日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第209回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト