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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第210回「久しぶり」
 今回はテーマの活用というより、構成や演出などでいかに物語を盛り上げ、読者に訴えかけられるのか、といった部分が強く出たお題だったように思います。  過去に何かが起きており、それが現在の主人公に巡り巡ってくる展開をどう魅せるのか。状況に応じて、誰が、何を相手に、どんな立場で「久しぶり」と投げかけるのか、が個性の見せ所にもなっていました。  必然的に主人公と誰(何)かとの関係性を描くことになるので、登場人物の心の動きに一喜一憂できるような、共感性の強い作品が印象に残りやすかったです。

大賞

朝起きると、弱々しい字で「ひさしぶり」と書かれた付箋が机に残されていた。その日の夜、「誰?」と書いた付箋を残すと、返事があって……。不気味な始まりと、次第に体調を崩す主人公。不穏な雰囲気に、冒頭からハラハラしながら読み進めていくと、物語は意外な方向に舵を切ります。巧みなドラマ展開から導かれる予想外のラストに、目頭が熱くなりました。

準大賞

僻地の生家で晩年を過ごし、独りで亡くなった母。ある時を境に、その家へ私を近づけなくなったのはなぜなのか――。得体の知れぬ“何か”を相手取った静かな恐怖が、世代を超えて描かれています。次第に明かされていく母の行動理由と共に、じわじわと恐怖が迫ってくるようでした。それと同時に、娘を守ろうとする母の力強い意思が胸を打ち、ラストをより味わい深いものにしています。

入賞

行方不明だった彼女からかかってきた電話。会いたいと伝えた主人公への、「今ちょっと封印されてるんだよね」という台詞に強烈なインパクトがありました。どういうことか気になり、一気に物語に引き込まれます。ユーモラスな会話でテンポよく進む中にもせつなさが垣間見え、突然引き裂かれた恋人たちのくだらなさとシリアスさとときめきのバランスが絶妙でした。

佳作

海外勤務を終え、5年ぶりに帰国した主人公に会いに来た母は、来る途中で意識を失い、病院に運ばれて――。すれ違っていた親子が唯一の接点であった母のアクシデントを機に、ゆっくりと掛け違ったボタンを直していく様子が、じんわり心に沁みます。2人でお弁当を食べるシーンには胸を締め付けられました。設定や展開はベタですが、しっかりと文章を読ませる筆力を感じます。
いつも通りのバスに乗ったはずが、乗り合わせた乗客たちがなぜか「久しぶり」と言い合っている。訝しみ、年の近い男子に声をかける主人公だが――? 状況が身近で想像しやすく、主人公の不安な気持ちに強く共感しながら読み進められるので、じわじわと増していく不気味さに恐怖心を掻き立てられます。短いながらも描写が的確で無駄がなく、満足度の高い短編ホラーでした。
特別仲が良かったわけでもない友人から届いた、久しぶりの連絡。霊感商法を疑い、ブロックするのだが……? 主人公に感情移入し、断り方を一緒に悩んだり、罪悪感を抱いたりしながら読み進められます。その後の展開にほっこりしていたところからのオチと、読み終わってから改めてタイトルを見ると、苦笑いせずにはいられません。
15年前に別れた息子の誕生日。息子と同性同名の騎手が乗る大穴馬の、単勝一点買いに賭けた男の運命は? ろくでもない男が競馬に溺れるだけの話ですが、そのスピード感に思わず一気読みさせられます。終盤の展開には予想を裏切られ、序盤に語られた血統の話やタイトルがこう繋がるのかと、あまりの皮肉に苦笑を禁じえませんでした。
「○歳まで独身なら結婚しよう」というありがちな台詞を、再会の場所として指定された喫茶店のマスター視点で描く発想が目から鱗でした。人の好いマスターが現実を突きつけられる姿から漂う哀愁、そんな彼を想う常連たちの行動が裏目に出てしまうコメディ感。そして物語の起が見事に結に繋がる素敵なラストまで、コーヒーのように様々な味わいが楽しめる短編です。

超短編賞

該当なし

続きが読みたい賞

親友が引越すことになった。互いにバスケを続けてまた会おうと約束したのに、手紙のやりとりが途絶えてしまい――。一番の友達だと思っていた相手からの手紙が途絶えた主人公の、寂しさや悔しさといった感情、そして再会した瞬間にそれらが爆発し声を荒げる様に強く共感しました。再び同じ道を歩き出した彼らがどんな時間を過ごしていくのか、これからが気になります。

トンデモ賞

該当なし

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2023年11月8日(水) 12:00:00 ~ 2023年12月10日(日) 27:59:59 ・最終結果発表:2024年2月上旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第210弾です。 今回のテーマは、「久しぶり」です。 どこかに必ず「久しぶり」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・久しぶりに会う友人から「ずっと借りてた物を返す」と言われたけど、何か思い出せなくて……? ・辺境の村に迫りくる魔獣。皆が慌てる中、飲んだくれオヤジ達が「久しぶりにやるか」と武器を持ち出し!? ・数十年ぶりに故郷の田舎町に帰ってきた男。そこには人はおろか、町があった痕跡すらなくて……。
“久しぶり”という言葉が示す空白期間。その間に変わるものがあれば、変わらないものもあることでしょう。 そんな「久しぶり」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
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応募の辞退について
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次回予告

次回、妄想コンテスト第211回のテーマは「夫婦」です。 本コンテストと平行する形で2023年11月22日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第211回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト