家出して親友の家に向かっていたはずの菊池あさひは、『まほろば温泉駅』という、深い霧に包まれた不思議な駅に着いてしまう。どうやらそこは、人ならざるモノのために姫神が開いた温泉らしい。　白い霊狐の白夜に案内されて、あさひは温泉を管理する湯守に会いに行くことになるが……？しんみりと切ない、癒しのあやかし小説。

普通の人間にはたどり着けない山の中、17歳の半妖・灯代は、白い狼の時雨、九尾の狐の神楽、子狸の巴と共に楽しく暮らしていた。ところがある晩、彼女達の暮らす場所に、人間の高校生・夢子が迷い込んできて……？心にわだかまりを抱えた女の子が妖たちに元気をもらう、ほのぼのファンタジー。

失敗続きの就活を苦に飛び降り自殺を図った上原顕子は、隣に住む飛鳥という化け猫に救われる。飛鳥に呼び出された陰陽師、賀茂鶴丸に誘われ、顕子は都内の「稲荷百貨店」で働くことになるが、実はこの百貨店、妖怪たちが必要とする様々な高級品を取り扱う特殊な商社だった――！非日常と万札が乱れ飛ぶ、妖デパートのお仕事小説！

加倉司・さやかの兄妹は、秋祭りを見物するために、とある山村を訪れる。人身御供の伝説が残るその村では、調査に来ていた1人の大学教授が去年失踪したらしい。2人は村の人々と交流しつつ、少しずつ不思議を紐解いていく。ついに訪れた祭りの夜、現れたのは神か妖か、それとも……？祭祀を巡る緊迫の数日間。

古い掟に縛られた故郷を嫌って逃げ出したものの、人間社会に馴染めず流浪を続けていた烏天狗の少年・牙(キバ)は、死にかけていたところを九灯明日人(くとうあすひと)という人間に救われる。恩義を感じ、彼の仕事を手伝うことになった牙は、徐々に明日人の歪んだ本性と薄暗い野望に惹かれてゆく。悪人と出会った烏天狗の成長譚。

大学1年生の緒乃葉子（おのようこ）は、筋金入りの人見知りによる孤独を噛み締めていた。それでも大学生らしいことがしたい、とアルバイト先を探す事にした葉子は、ひょんなことからハローワークで働く事になったのだが……なんと、そこは化け物専用のハローワークだった！？自給1000万で働く女子大生の、日常と非日常を綴る現代ファンタジー！

両親を亡くし、叔父に引き取られた女子高生・一ノ瀬かすみは、自分の家が昔から人と怪異の仲立ちを生業としていたことを知る。今の当主である叔父と共に、かすみは怪異に悩まされる人を救うべく奔走する――！人面瘡からうぶめまで、様々な妖怪退治の模様を描いたおどろおどろしい連作短編。

夏休み、九州にやってきた男子高校生3人組。別府の地獄巡りを満喫した翌日、乗り込んだバスの運転手によって3人は「鬼灯村」へと案内される。迷い込んだら戻れない、人ならざる者の住む村……、地元の人の噂話を思い出して不安になった彼らに、とある狐の妖が手を差し伸べる！妖の村に迷い込んだ3人の、怖いけれど温かい怪異体験記。

幕末の世。蝦夷地、箱館。平和と平等に向けて時代が変わろうとしている時代の裏で、2振りの呪われた刀を巡る争いが繰り広げられていた。刀に宿るのは、敵対する2匹の龍――黒龍と白龍。呪われた刀を持つ美晴・琉衣の姉弟が時代の狭間で戦い生きる、運命に抗う物語。