新宿の夜の街に建つ雑居ビルの4階にある『探偵事務所』と書かれたドアに、依頼内容と依頼料を入れた封筒を投函する。そうすれば、姿なき探偵が依頼を引き受けてくれるかもしれない。その噂を信じた伊藤真実は、交際中のイケメン俳優の浮気調査を依頼した。後日、交際相手の浮気の決定的証拠が差出人不明のメールで届く。探偵は実在し、声なき声に応じて闇を駆けているのか――。正体不明の凄腕ディテクティブストーリー！

「魚と殺人事件は、鮮度が命だからな！」の言葉に、宇佐見太一は耳を疑った。彼が高校時代に描いていた漫画『食べもの探偵トモアキ』の主人公の決め台詞だからである。半信半疑で指定された場所に赴いた太一は、まさに現実化したようなトモアキを目にする。しかも、彼は太一を助手の「リョウちん」と認識しているようだ。本物のトモアキなら食べものと会話できる特殊能力があるのだが――。現実と夢幻の謎解きストーリー！

浮気調査や迷子のペット探し、庭の草むしりまで何でもこなす万屋の亘への今日の依頼はスナックに忘れた高級ライターを取ってくることだった。ところが、スナックのママから「店にはない」と否定され、帰宅時に利用したタクシーの車内にもなかった。依頼人の勘違いなのか。もしかしたらと紹介されたホステスの派遣会社は、なんと反社会的勢力の息がかかっていて――。気のいい若者探偵による連作短編ミステリー集！

Ｍモータースの商品開発部のサラリーマン、尾形哲夫が路上で刺殺され、20代の警部補、西岡夏帆が主任を務める警視庁捜査一課七係が担当する。捜査を進めるうち、その1ヶ月前の長野県の病院長殺人事件との関連が浮上する。長野の被害者である田島孝輔は、生前に尾形と電話でやり取りをしていた。2つの事件はつながっているのか……。『夏帆たん』率いる刑事たちによる東京と長野にまたがるトラベルミステリー！

被害者が両手足を縛られ、浴槽の中で煮殺されていた事件現場のあまりの惨状に、刑事になって日が浅い景山欧介は動揺する。捜査を進めると、被害者の飼育していた金魚を調べれば犯人像が浮かぶ可能性があると判明する。そこで、はたと欧介の頭にひらめいた旧知の動物行動心理学の専門家は、とてもクセの強い桂木深だった……。脱サラ刑事とエキセントリックな准教授のバディで謎を解く猟奇殺人ミステリー！

事件を未然に防ぐため、多くのモニターを監視する任務についていた警察官の須賀日は、ある日、３人の警官がホストクラブに入る姿を目撃してしまう。彼らは店側と癒着して不正なお金を手にしているかもしれない。若くてクリーンな信条を抱く須賀日は上司に報告する道を選んだが、事態は思わぬ方向に進み、社会の規範か、組織の論理のどちらが正しいのかを突きつけられて揺れ動く！？ 正義のボーダーに悩むポリス・ストーリー。

謎の液体まみれで窒息死する事件が発生し、死体には多数の吸盤の跡がついていた。水中から這い上がってきた未知の生物による殺人なのか。ベテラン刑事の堀田と、新人の白井が手探り状態で捜査に取りかかるが、同じ頃ネットでは人気モデルや若い女性の事故死や失踪が噂になっていた。人類はいまだかつてない恐怖と向き合わなければならないのだろうか――。巨大な殺人ビーストによるＵＭＡ襲来ミステリー！？

北アルプスの山岳にいつになく早い正月寒波が到来し、登山中だった複数のパーティが山小屋に避難し、一同は安全を確保する。だが、その唯一のセーフティゾーンだった山小屋さえも雪崩に飲み込まれてしまい、生き残った人々は急きょ雪洞をつくり、ビバーク(野宿)するしかなくなる。不測の事態に、医師は「安眠を誘うため、消灯後に1人ずつ話をしましょう」と提案した――。遭難サバイバーたちの千夜一夜ミステリー……。

重病の妻を救おうと、夫が悪魔と契約してしまったため、快癒を喜ぶ家族の幸せは長く続かなかった。契約者は“マスカ”と呼ばれる殺戮をくり返す化け物に変貌し、一家を襲い始める。生き残った最後の少年にも危険が及んだ時、謎の男が現れ、マスカを銃撃で仕留めた。彼は少年に「俺はもうすぐ悪魔になる。その時は俺を殺してくれ」とスチームパンク銃を託す――。架空の1900年英国を舞台にしたアクションミステリー！

「銀河組に痛い目を見てもらうことになった」という若頭から高無ノゾムはベレッタＭ９を手渡される。銅謙組のために組長をねらうヒットマンになれという示唆にノゾムは戸惑いと不安を感じる。上っ面の涙で送り出しの儀式をする幹部組員の中で、ナンバー３の立場の竹田ミサオだけは有効なアドバイスをしてくれた。このときから、２人の運命の歯車は大きく回り始める……。裏切りと任侠のハードボイルド物語！

香月達也は、憑き物がついた物件の問題を解決するコンサルティング会社の代表である。園田香苗は事務所のあるビルのオーナーで、香月の助手を務める。今回の依頼は、遺産相続した古い洋館に少女の幽霊が出るという内容で、迷い込んだ近所の子供が意識不明の状態で発見されたという。早速、現地に乗り込んで、対処しようとする2人だったが幽霊は１体ではなかった……。問題物件コンサルティング・ミステリー。

介護福祉士の面接に来た九石大輔は、福祉用具レンタルの仕事に勧誘され、承諾するが、その会社は“ワケあり”の人物ばかりを採用していると知る。ペアを組む真木涼は性同一性障害者だった。真木を最初は冷たくてドライに感じた九石だったが、一緒に仕事をするうち、彼の温かい一面に触れていく。だが、奇麗事だけでは済まない介護の現場で殺人事件が起こってしまった……。新感覚の介護系ミステリー！？