生まれて間もない頃から全盲である前田郁恵は、夢である保育士になるために大学入試センター試験を受験した。無事に志望していた大学に合格した郁恵は、相棒である盲導犬のフェロッソと共に、憧れのキャンパスライフを始めることになる。郁恵を囲む温かな友人や運命の人との再会、そして今はいない母親の秘密――。郁恵は様々な想いを胸に、少女から大人へと郁恵らしく成長していく。巡る春夏秋冬と共に生きてゆく全盲の少女の青春物語。

五月のよく晴れた日曜日、久我隼斗は母校である小学校の運動会を腐れ縁の不良・茅野雅志と一緒に校舎から眺めていた。そんな中、ブランコで遊んでいた女子ふたりのうち背が高い方が気になり出す。後日、茅野の協力で彼女らが同じクラスの椎名朱里とその友人の七瀬皐月だとわかり、久我は屋上の踊り場で待ちながら朱里を連れてきてもらうことに。わけも分からぬまま知らない男に彼氏がいるかと聞かれ、最初は怖がっていた朱里だが……。不器用な青春恋愛譚。

大学一年生になったばかりの新入生・南は、高校生の頃から付き合っている高田颯太と無事同じ大学に入学し、楽しいキャンパスライフが始まった。ある日、家に帰宅すると玄関扉前に人が倒れているのを発見する。その正体は大嫌いな幼馴染・圭で、なんと圭は南の住むマンションの隣の部屋に引っ越してきたのだった！　話していくうちに圭の元カノの名前が“みなみ”であることが発覚して――?!　大学生の三角関係を描いたラブストーリー。

他人の葬式で泣いてしまうほど涙もろい柴田百合は、それが理由で働いていた葬儀場をクビになってしまう。無職になり困っていた百合は葬式に居合わせた眼鏡のイケメンに声をかけられる。田村と名乗る眼鏡イケメンの正体は、泣くことで報酬をもらう「泣き屋」だった。田村に自分のもとで働かないかと誘われた百合は、“お試し”として「泣き屋」の仕事を行うことになったが――。涙もろい百合と泣くことが苦手な「泣き屋」が繰り広げる、新感覚ミステリー。

子供嫌いの加奈子は母親に頼まれて、小学五年生の棚橋真尋の面倒を見ることになる。最初は敬語を使い遠慮をする子供らしくない一面を見せる真尋だったが、加奈子と過ごすうちに子供らしい無邪気な姿を見せるようになっていった。そんな真尋のことを大切に想うようになった加奈子は、ひと夏の思い出として真尋に友達とプールに行くことを提案する。しかし真尋の母親が真尋を返してほしいと言ってきて――。血のつながりのない二人を描く感動ストーリー。

オス猫のニャン太はひょんなことから山田剛という男性に飼われることになり、ペット禁止のアパートに住んだり家出をしたりと、波乱万丈な生活を送ることになる。大変なことはあったが、どんな時でも自分を大切にしてくれる飼い主・剛との暮らしはニャン太にとってとても楽しかった。しかしニャン太が14年を生きようとしていた頃、体に異変が起きてしまい余命宣告を受けて――。横須賀の街で繰り広げられる猫と飼い主の温かな物語。

散々な一日を過ごし、ベッドでため息をついていた小学五年生の野々橋リク。すると、突然宙に浮いた腕輪のようなものがリクの目の前に飛んでくる。さらにどこからか知らない老人の声が聞こえてきて、腕輪は真実を見つけさせ願いを叶える力を持つ『ホーリーランス』だと教えてくれた。怖くて腕輪を放り投げたリクだったが、友達が交通事故で夢を諦めざるを得なくなってしまう。友達を助けるため、リクは覚悟を決めて異世界へ旅立つ――。児童文化ファンタジー。

大学の神道専門科を卒業した犀葉瑛は、超難関と言われている神社・桃華八幡宮への奉職が決まる。そこは表向きは「厄祓い」、裏では「邪気祓い」をしている除霊専門の神社だった。子供の頃から霊感があった瑛は、神社で案内役として現れた使い魔的な存在のイヌに驚きながらも、神主としての第一歩を踏み出す。日中は参拝者にご祈祷を行い、夜は神様の力を借りて此の世ならざるモノを祓う日常の中で、出逢いを繰り返し……。祓い屋神社ファンタジー。

高校一年生の美桜は文化祭に向けてクラスの催し物の準備をしていた。そんな美桜だったが、ある日突如として難病である『脊髄小脳変性症』に侵されていることが発覚してしまう。ひそかに恋心を抱いていた幼馴染の奏に自分の病を伝えることができず、距離をとるために転校することを決めた美桜。しかし、奏は彼女が病を抱えていることを知り、美桜を支えて一緒に生きていく決意をして――。難病と闘いながらも未来に向けて生きていく恋愛ストーリー。

長い年月を生き、“鬼”や“吸血鬼”と呼ばれてきた青年・宵闇。あてもなく歩いていると、盗賊に刀で切りつけられ死に瀕する。 同族の幼馴染で従者の煌夜に別れを告げ死を覚悟した宵闇だが、湖に沈む人の形をしたモノを見つける。正体が気になりそれに触れると、強い哀しみの念がどっと流れ込んで、宵闇は神の身体に入ってしまう。姿形は変わったものの生きながらえた宵闇は煌夜に会いにいくと、ひと月も時が経っていて……。切ない主従ファンタジー。

自然豊かな森の中、体の弱い成人男性と龍神と崇められた女性、そして二人の間に生まれた禁忌の子が暮らしていた。罰として声を奪われ生まれ落ちた少女は「外には危険があるから」と家の中で守られてきた。ある日、父の計らいで従兄弟のリオルとその護衛の人狼・睦月が家に訪れる。名がなかった少女は友人となったリオルから「リレイヌ」と名付けられ、幸せな日常を送る。しかし、彼女の存在を厭う人間の手が――。悲しくもあたたかいダークファンタジー。

成人してもなお巫力を持たない出来損ないのタイラン。若くして妖魔から国を守る守城の弟に仕向けられ、魏界山に眠る山主の封呪を解くこととなった。絶望に苛まれながら、山主の眠る岩屋戸へと向かう道中、タイランは妖魔に襲われてしまう。ところが優しい声に誘われるようにタイランが目覚めると、目の前には白髪の美丈夫である妖魔・ドウメキが現れる。彼はタイランのことを押し付けるように守城と呼び、城に閉じ込めて……。救済ファンタジーBL！

両親が離婚し、父方に預けられた射邊真里也は近所に住んでいた玉垣羽琉と仲良くなる。しかし真里也は小三の時に実の母親によって誘拐されてしまい、半年ほど経ってようやく父親のもとに帰ることができた。だが父親が交通事故で亡くなり、その後祖父も亡くなってしまう。その上祖父の死に責任を感じた羽琉は、真里也の前から姿を消してしまった。失って初めて羽琉への想いに気付いた真里也は、羽琉を探そうとして――。離れた幼馴染を想う恋愛物語。