つぶやき一覧

   数分経つと謎の不快音が発生しなくなったので、ユナは真っ先に自宅に帰った。現在15時32分、謎の不快音に出くわしたのが13時41分だから、大体2時間くらい不快音に対峙していたのである。ユナが自分から言いだしたことなので仕方ない部分はあるが、不快音と対峙している最中ユナはずっと退屈感を感じていた。  不快音を快音と認知したはいいものの、ただ音を聞きながら調査するというだけの行為が非常に退屈なのである。  「趣味でやっているのだから退屈という言葉を口にするな」と言う人もいるかもしれないが、ただその場に立って謎の高周波の音を聞き取るだけの行為は誰がやっても楽しくないだろう。  不快音が消え
 甲高く耳を抉られる鳴き声が聞こえてくる分にはいいものの、持ち主が全く正体を現さない限りは何もできないので、ユナはとりあえず巨大な動物が現れるのを待った。  姿、形、大きさといったものはよくわからないが、おそらく中学生の自分と比べてかなり大きいであろうことをユナは察知した。攻撃しようにも肉弾戦じゃ勝てないのである。だからといって知恵や創意工夫で力に立ち向かったところで勝てないということは薄々理解しているのだが。  犯人の大きさからすれば間違いなく歩くだけで木々が崩壊していくのだが、周囲から木々が壊れる音は聞こえないし木々が壊れる風景も 見当たらないので、おそらく活動していないのだろう。
 耳を塞いだ老人が何かを口にしようとしているが、不快音の音量が大きすぎてよく聞こえないので無視しようとしたら、老人がいきなり小石を投げつけてきたのでユナは老人に対して唾を吐き返した。攻撃に対する反撃である。  不快音と足音は未だに発生しているものの、不快音と足音を発生させている当事者が全く姿を見せないので調査が先に進むことはなく、犯人は巨大な動物であるという結論から先に進むことはなかった。  鳴き声にしては非常に甲高く、尚且つ耳を抉られるものであるせいか初見では攻略しにくいが、慣れてくると快音に聞こえてくるという特性があるので慣れると攻略するのは簡単である。  上記の特性をしっかりと理解
 ユナは意味のない薄っぺらい記事が記載された新聞を手に取った後、「家にいると気分が落ち着かない」という理由で散歩に出かけた訳だが、その散歩こそがユナに新たな手がかりを与えるきっかけとなったのだ。  家を出るとすぐに、2日前に聞いた不快音と共に地面を踏むような重圧な音が聞こえてきたわけだが、その音を聞いてすぐにユナは犯人が動物であるということを察知したのだ。  音の大きさからおそらく足の面積が大きな動物であり、動物から発される不快音は間違いなく鳴き声であろうということまで予測できたはいいのだが、姿や形を目にする機会はなかったので具体的にどういう生物なのかは認知することができなかった。おそらく
 ユナが謎の音と出会って2日後、庁舎が発行している町内新聞に「人間に襲いかかる不快音、一体何者なのか」という記事が掲載されてあったが、記事の内容が非現実的でかつ非常に薄っぺらいものであったため、ユナはすぐに町内新聞を家のゴミ箱の中に捨てた。  「なによ、身体を擦り合わせた結果不快音が生じてしまうとか頭おかしいんじゃない」とユナは心の中で悪態をつく。それくらい、記事の内容は程度が低かったのである。  ユナが悪態をつくような記事を記載してしまった庁舎は反省するべきかもしれないが、不快音問題を解決するとか言っておきながら全く解決しようとしていないユナも責められるべきだということに、ユナは全く気付
 集落に謎の音が響いた2日後、また同じような音が集落に轟いた。    前回と違い路上に誰も人がいないおかげか被害を最小限に留めることができており、 このままの状況が続けば人間の手によって間違いなく風化されるだろうが、一人の少女はそれを見逃すことはなかった。  謎の音やその音から感じ取れる不快感に全く屈しないユナという少女は、嗤いながらこう叫んだ  「この怪奇現象、あたしが受けて立つ」    こんなどうしようもない独り言を発している時点で端から見れば謎の少女にしか見えないが、彼女の言葉を聞いている人間は周囲に誰も見当たらなかった。  ユナは音源がどちらの方向にあるかを確認しようとしたが、確
某月某日 とある山に囲まれた小さな集落に得体のしれない大きな音が轟く。  その音は人間からすれば不快感を感じるものであり、道路を歩いていた学生はすぐさまその場に倒れ込んでしまった。大きな音と共に無色有毒な気体が噴射されている可能性も考えられるが、倒れ込んだ学生の死亡は確認されていないのでそこまで有毒ではないということは感じ取れる。  何が学生に不快感を与えているのかはよく分からないが、おそらく大きな音だろう。実際、音が轟くまでは元気だった学生が音が轟いた瞬間苦痛を感じたような顔をして倒れ込んだからだ。  数分後、謎の音が鳴り終わるとすぐに倒れ込んだ学生は起き上がりその場を後にしたので、学