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宮崎亀雄さんのコメント

宮崎亀雄
宮崎亀雄さん
【作品】サンクチュアリについてのレビュー

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文学とは人間が分かり合う為の一種のツールです。
人は言葉に共通認識がなければ分かり合えません。単語の概念と認識には各々で相違があり価値観の相違でもあります。故に相互理解は難しく、理解している様に見えても必ずズレが生じる。それを補完するのが文学の疑似体験ではないかと思います。

今作品では価値観の相違が主人公の優しさを、読者は支配と認識する形で表れます。

もし、家族の希望を全て叶えていたとしたら、はたして彼ら幸せになれたでしょうか、多分成れなかったでしょう。自分の甘さを知り傷付いた筈です。

そして主人公は家族の幸福と言う名を借りた自分の幸せを優先したが為に、過干渉と言う形で支配する必要がありました。優しさの本質は支配だからです。

それはまた、人間には優しさだけでは足りない。時として厳しさも必要である。と言うアンチテーゼに他なりません。
人間は神では無いのですから、何が正しく何が間違っているのか判断は出来ない。ましてや他人が判断する事ではないのです。

自分の事は自分で責任を持つ。例え傷付いても、それが真の幸せではないか。

今作品『サンクチュアリ』は、そのレベルにまで人間を深く掘り下げている作品なのです。

蛇足、星評価はしておりません。そういうスタイルなのでご了承ください。個人的には★5でも足りないと思っております。

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2019/03/01 08:02
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宮崎亀雄
宮崎亀雄さん
【作品】凶手は数えずにはいられないについてのレビュー

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サークルの方から来ました。
 大賞作品という事で小説としての評価は何も言う事はないと思います。
小説として著者有月晃様の実力が認められ、大賞に選ばれたと思うからです。
なので感想を。
 実は大賞作品という事で一度読みに伺っていました。しかし断念。
理由は、私の様なストーリーを追うタイプには装飾が過剰に思えたのです。
 そして冒頭に違和感がありました。
>曇天のチャイナタウンは、昼食時を過ぎてもそれなりの賑わいを見せていた。
"それなり"にと言う表現は読者には直接伝わらない表現と思います。
読者のイメージで捉えればよいだけなのですけど
>頭上に渡された物干し竿に、住人達の肌着が"小汚く"揺れていた。
ここもですね。
実際に黄ばんででもいたのか、使用済みの肌着だからそう思ったのかはっきりしません。
これも読者の判断に依存しています。
私も小説はそれで良いとは思うのですが
作者様の細かい表現は、ある程度映像として観た記憶を持つ読者であれば
シーンを思い浮かべられる。
 これは作者様の意図した事でしょうし、成功しています。
しかし、それが仇と成る場合もあるのです。
それは、ドラマのシーンとして頭に思い浮かべられる既視感のリアルさに対し
主人公の存在感の希薄さ、詩的な表現とリアルタイムの尺の違い。
 新聞記者襲撃のシーンが典型で、新聞記者の状況、新聞紙
恐怖への反応の速さ。
映像的にはスローモーションの挿入が考えられますが、物語としての尺は増えません。
それ以外にも、主人公の自称・年齢、いきさつなど上げればキリが無いのですが
映画やドラマが好きな読者意外は読み流す所ではありましょう。
 それゆえに、クライムサスペンス等を多く観た経験のある読者ほど疑問が湧き
読者自ら補完する必要に迫られます。
それが成功すれば賞賛に値しますが、その為には筆者様の経験や造詣の深さが不可欠となるでしょう。
一般の読者や視聴者には何の変哲もない作品であっても、一部の読者や視聴者に絶大な支持を受ける作品がそうです。
そのような理由で"凶手は数えずにはいられない"は、小説の技術でストーリーを引っ張っぱるタイプであると評価する次第です。

最後に、個人の感想であり物語で評価するなど野暮な事です。
それも作者様の今後に期待しての事、お許しください。

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2017/08/13 12:09
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