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レビュー・コメント

人間椅子
人間椅子さん
【作品】英雄の伝説についてのレビュー

レビューを書こうとしたのは一月ほども前ですが、うまい言葉が出てこず一旦諦め二度目のチャレンジです。

私は通常異世界を舞台にした物語は趣味ではありません。

この作品はたまたまだったんです。

何故なら、その手の物語は大抵必然性のない背景が漠然としていますし、縛りがないので何でもありですから、そんな世界で何が起ころうと、どう同調すれば良いのか分からないからです。

人らしき物が虫けらのように殺される中で、どうしてメインキャラ達だけに人間としての共感が生まれると作者が考えているのかサッパリ理解できないんですね。

なのにこの作品には、かなり違う感覚を持ちました。

どうやら三つ目や有角らしくはありますが、それ以外はまったく人間です。
超能力も超人も出てきません。また神や悪魔や巨大な怪物も現れず、食うために働かなければならないようです。

そんな地味とも言える異世界において、骨格をなすストーリーはと言えば、これはもう完全な人間の物語ではありませんか。

どうして作者は、ワザワザお子様向けとも言えそうな世界観に、この物語を置いたのか?前回はそれが分からずレビューをやめました。

しかしやっと分かりました。

なるほど!!良かったんです、お子様向けで
、これは必然性があってそう設定されたことだったんです。



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2014/09/05 22:00
コメント(2)
天川  青大
天川 青大さん
【作品】英雄の伝説についてのレビュー

この物語の中で、説明されない人物が一人だけ居ます。ケリー・ホプキンスです。

これには、どういう意図があるのだろう? 

気になって調べました。

アメリカのケンタッキー州ホプキンスビル市ケリー村。つまり地名なのです。

この地で起こった事件。宇宙人(謎の生物)が民家に姿を現したという伝説です。この事件は、時を経るごとに少しずつ脚色されて伝わり、事の真偽は結局、分からないというものです。

なるほど。謎が解けました。

ミゲル先生の科白
「ケリー・ホプキンスという男を知っているか?」

この一文には、伝説とは、そのようなものという暗喩が込められていたのです。


うーん。粋ですね。


この物語は、若い読書層へ向けて書かれたと分かります。題材が若者向けというのではなく、この物語を通して、特に若い世代に伝えたいとの想いを感じました。


結びの独白。

ミゲル先生が僕達に何を教えたかったのか、今はそれが理解できる。 それを僕達に教えるために、あの人がどれ程大きな代償を払ったのかも、今ならばわかる。 (僕にとっては貴方が英雄です)


これを、言葉を換えて言うならば……
(言葉を換える必要などないのですが)


英雄とは、命知らずの蛮勇のことではない。

英雄とは、毀誉褒貶(きよほうへん)の思惑を捨て、就中(なかんづく)売名の誘惑を粉砕して、自身の命も仲間の命も守り抜く勇者のことなのだ。


命とは、自分のもの、固有のものと思われがちですが、実は、そうではありません。

今、自分があるのは、親が居て、祖父母が居て……100万年前の祖先から繋がる命で、一度も断絶しなかった。

つまり何万回という世代交代を続けながらも途中で誰ひとり夭折(ようせつ)せずに、連綿と遺伝子が継承されて自分に繋がったということなのです。



その重みを知る者は、簡単に命を捨てられる訳がありません。

ミゲル先生は、恐らくそれを知っていた。

だからこそ、生き抜く大切さを説いた。

脚色された伝説に踊らされるな。

無駄死には、私がさせない。

尊い命を生き長らえる道を断固として説く。

例え職を追われようとも、真実を説く。


学生達は、やがて厳しい現実に直面して、初めて英雄伝説の嘘に気づき、ミゲル先生の心を知る。

ミゲル先生の生きざまこそ、真の英雄。

そして、それこそは無償の愛であった。




マッシーさん、お見事でした!

拍手を贈ります。

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2014/08/16 08:31
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真(シン)
真(シン)さん
【作品】英雄の伝説についてのレビュー

僭越ながら、最初のレビューを書かせて頂きます。
 
相変わらず、マッシーさんの作品は面白い。
流石です。
 
終戦記念日に、継続する戦いの話。
しかもその原因は、鉱物資源の奪いあい。
現代でも現実に起こっている話ですね。
 
登場人物たちは、兵学校の若者たち。
そして、兵士として育てあげるために、過去の普通の兵士を過大な英雄に仕立てあげ、盲信させる。
殺すことが正義だ!
撤退は死に値する!と。
 
ここには、70年前の日本が投影されていますね。
洗脳という教育が。
 
それは、今も続く。
隣国の脅威を煽って、集団的自衛権を成立させた。
一部の鷹派の思想で、日本は危ない国の仲間入りをしようとしています。
 
最後は、英雄の代わりに…どんな恐ろしい、大義名分が飛び出すことやら。
 
 
お題の無償の愛は、タイトルに感じました。
普通なら、伝説の英雄とすべきを、英雄の伝説とされたところにです。
戦わないことも正義だ。
撤退も勇気だ。
死ねば家族が悲しむ。
生きて帰ることが、最大の愛だ。
 
ケンカや格闘技で、生身の戦いをしたことがあれば、学ぶことが一つある。
それは…恐怖だと思います。
負けるかも知れない。という恐怖です。
でもこれは、戦わないための立派な抑止力だと思っています。
 
長々と書きましたが、あとがきにも感銘を受けました。
ただ、一番驚いたのは…マッシーさんが独身だということかも(笑)
 
素晴らしメッセージがこもった作品でした。
ありがとうございます(*^^*)

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2014/08/15 20:13
コメント(1)

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