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プロローグ(真夜中の惨劇)

健二はガタガタと体を震わせながら、目の前で繰り広げられる惨劇を見ていた。






血まみれのおかっぱ少女が、愛美の首をへし折り、絶命して床に倒れた愛美の腸を引き出していた。





血まみれのおかっぱ少女の顔は、憎しみで満ちていて、それはまるで呪われた市松人形を思わせた。






〈 愛美が殺されて、犠牲者はもう五人……。




このバケモノは、何人の人を殺すんだよ!




呪われた学園に居座るおかっぱ少女は、ただの都市伝説のはずだろ。




ヤダよ……。

オレは死にたくねぇ。




オレはこんなところで死ぬつもりなんてなかったのに…… 〉






愛美の腸を撒き散らしたバケモノは、愛美を殺しただけでは満足せずに、次の獲物を探していた。






健二はおかっぱ少女に、にらまれ、死への恐怖で、悲鳴を上げた。

2

健二は、噂の呪われた学園に来たことを心から後悔していた。






健二は頭の中で、取り調べをしていた警察の甘い誘惑を思い返した。






「西村健二、お前は殺人の罪を犯した罪深い人間だ。




でもオレは、お前に同情している。




たった一度の過ちでお前の未来は、台無しになる。




だからオレは、お前にチャンスを与えたい。




もしも、呪われた学園の呪いをお前が解いたなら、お前の殺人の罪を帳消しにするよ。




西村健二、お前ならどうする?




犯した罪を消し去るために、呪われた学園に行きたいか?」

3

白いセーラー服に返り血を浴びたおかっぱ少女が、ゆっくりと一歩、一歩、健二に近づいてきた。






健二は恐ろしくて、呼吸もままならずに、膝をカタカタと震わせ、後ずさった。






「く、来るなよ、バケモノ。




オレたちは、お前を救おうとしただけじゃねぇか。




お前の憎しみを取り払いにきただけじゃねぇか。




やめろよ……。




近づくんじゃねぇよ。




お前はいったい、何人の人を殺せば、気がすむんだよ!」






健二がしんと静まり返った教室でそう叫ぶと、血まみれのおかっぱ少女は、健二を憎しみのこもった目でにらみつけた。

4

「私の御守りを……、返して……」






呪われた少女が、不気味な低い声でつぶやいた。






健二は不気味なその声に、ゾッとして目を見開き、フラフラとした足取りであとずさった。






「お前の御守りは、見つからねぇよ!




オレたちだって、必死に探したんだ。




もうあきらめて、成仏しろよ。




そんなもの、この学園にはねぇよ!」






血まみれのおかっぱ少女は、健二のその言葉に歩くのをピタリとやめて、健二を見つめた。






「私の御守りは、どこ?




返して……、私の御守り……」






「知らねぇよ。




だから早くいなくなれ!




消えろよ、バケモノ!」






健二がそう言ったとき、血まみれのおかっぱ少女が、急に健二に襲いかかった。






健二は、返り血を浴びた真っ赤な両手で、思いっきり首を絞められ、息ができなくなった。

5

健二は足をバタつかせ、呪われた少女から逃れようと、必死にもがいた。






健二は血まみれのおかっぱ少女の手を退けようと、必死になって自分の両手に力を込めたが、
悪霊の力は、想像以上に強く、健二は苦しみながら、死への恐怖に怯えていた。






〈 苦しい……、やめろ……、死にたくねぇ。




お前はどうして、人を殺すんだよ。




お前は何をそんなに憎んでいるんだ。




その御守りって、いったい何だよ 〉






教室の中にバキッという乾いた音が響いて、健二の世界に幕が下りた。





血まみれのおかっぱ少女は、首の骨が折れた健二の体を床に投げ捨て、歩き出した。






「どこに隠したの?




私の大切な御守り。




いったいどこ?




どこにあるの?」






血まみれおかっぱ少女は、そうつぶやいて、再び校舎を歩き始めた。






見つかることのない御守りを探して……。

6

小嶋美智子の過ち

私が学校から家に帰ってくると、その日も家の中は荒らされ、部屋の隅で母が泣いていた。






私はいつもと変わらない家の様子にうんざりしてその場から逃げ出したかった。






私の家は、まるで地獄絵図だ。






家の中には、いつも憎しみが蔓延し、私は息が詰まった。






私は早く大人になって、この家から抜け出したい。






私は毎日、そのことばかりを考えていた。

8

「お母さん、どうしたの?

またあの人が暴れたの?」






私は、部屋の隅で泣いている母に近づき、話しかけた。






「美智子……、私は馬鹿だね。




私には、男運がないのよ。




駄目な男とばかりくっついて、泣いてばかりいるんだから……」




「お母さん、またあの人にやられたの?」




「今日は、競輪でお金をなくしたんだって……。




それであの人、虫の居所が悪くて、酒を飲んで帰ってきたの。




美智子、それでね……」

9

私は、泣いている母を見て、早くこの家から出ていきたいと思った。






母の再婚相手は、生きる価値もないクズだと私はずっと思っていた。






あの人に関わるすべての人は、みんな不幸せになっていく。






私の家には、みるみるうちに借金ばかりがたまっていき、私たちには、借金を返済する手立てがなかった。






〈 悪いのはすべてあの人。




母の再婚相手、小嶋修治。




あんな奴、今すぐ、死んでくれたらいいのに…… 〉

10