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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第182回「泥棒」
 そのまま使用すれば直球の犯罪行為となるテーマゆえか普段より、ミステリー要素を物語に組み込み、読後になんとも言えないほろ苦さを残す作品が多く集まりました。  一方で心や記憶、時間など、形のないものを盗む作品も相当数ありました。こちらは内容が画一化されていることが多く、印象に残りにくかったように思います。被りやすそうな題材については特に、その作品ならではの“読者へのアピールポイント”を強く意識してみてください。

大賞

少し先の未来が見える薫。その力で未来を変えることを“未来泥棒”だと語る彼に、幼馴染の美唯は不穏なものを感じるが? 驚きと同時に、青春の瑞々しさやほろ苦さが一気に溢れてくるラストが、強く印象に残ります。未来を変えることを“未来泥棒”と呼ぶ、という序盤の問答がラストにしっかり活かされているのも、上手い演出です。

準大賞

資産家の家に入った泥棒を捕まえた保安官。しかし令嬢に話を聞いても、「何も盗まれていない」と主張して――。盗まれたブローチを巡り、それぞれの思惑がズレた状態のまま噛み合い、収束していく構成がお見事。流されるように一気読みしてしまいました。辿り着いた結末は、ビターな後味を残してくれます。

入賞

自分の誘いを断り続ける婚約者を気遣い、婚約破棄を申し出たアルフレッド。しかし彼女に断固拒否され? 愛する人と早く結婚したい気持ちと、家の役目との板挟みになっているウラリーが可愛らしく、応援したくなります。婚約者でありながら対立してしまっている状況で、二人の関係がどうなっていくのか、にやにやしながら見守りたくなるラブコメでした。

佳作

目が覚めると部屋が荒らされていた。通報しようとしたが、スマホに自分の字で「警察に通報しないで」というメモが貼ってあり――。不穏な冒頭に興味を引かれるまま、ぐいぐい読まされます。記憶を盗むというアイデアはとても多かったですが、歪な返し方をすることで迎えた結末にインパクトがあり、ビターな後味が印象に残りました。
気付くと身の回りの物がなくなっている主人公。犯人としてママ友を疑い、義母を疑い、その矛先はついに――。疑心暗鬼に陥り、周囲を切り離していく主人公の心情が真に迫っており、つらくて見ていられません。展開や犯人はすぐに予想できるものの、ラストに仕掛けられた真実がまた闇深く、思わず眉をしかめてしまいます。
彼女とのデート中にかかってきた電話。それは今まさに隣を歩いているはずの、彼女からのもので――という冒頭から、彼女そっくりな女性が目撃されるなど、主人公と読者の不安を煽る不気味さ・得体の知れなさの演出が巧みです。自業自得とはいえ、ラストで明るくかわされたであろう会話を想像すると、頬が引き攣ります。
伝説の聖剣の在処として、観光地化された秘境。舞台は狭いながら、その外に広がる世界を感じさせてくれる、本格的なファンタジー作品です。脇役として生きたい樹耶、他人の生立ちを盗む癖のある荷々。魅力的な二人のほかにも、周囲の人々の生活までも想像させるような文章力、そしてテーマを存分に活かした構成力もお見事です。
一人暮らしの男が帰宅すると、まるで妻と娘のように振る舞う女性たちが。泥棒だと名乗った彼女らは、「家族になりませんか」と言い出し――。大胆な導入に驚かされますが、人の寂しさにつけこむ手口は本当にありそうなリアリティがあり、なんとも考えさせられます。ラストはちょっと唐突感があったので、もう少し伏線がほしかったかもしれません。

超短編賞

大金の入ったバッグを拾った男。持ち帰ったものの後から怖くなり、慈善事業としてばらまくことにしたのだが? 自分を善良であると信じる男の行動や、大金の真実が明かされる前後で変わる、周囲から見た男の表情など、ちりばめられたシニカルさが光っていました。良かれと思ってしたことが悪い方に転がっていく様もおもしろい、ブラックユーモア溢れる短編です。

続きが読みたい賞

騎士の館で起きる、連続盗難事件。情報を精査した老執事が辿り着いた、犯人の正体とは? 老執事とお嬢様の関係性が魅力的に描けており、テンポよく進むので楽しく読めます。老執事の最後の台詞も印象的かつ過去に想像の余地があるので、またこの二人の物語が読みたい! と思わせてくれました。

トンデモ賞

目が覚めると見知らぬイケメンが。彼は「地球が滅亡し、宇宙に脱出した」と言うが、主人公には覚えがなく――。終盤、畳みかけるように真実が明かされていく様はさながらジェットコースターのようで、「ええ⁉」と声が出てしまいました。最後の最後にもうひと仕掛けあり、トンデモ賞に相応しい、驚きの詰まった作品でした。

優秀作品

13分 (7,482文字)

ピックアップルーキー

スケジュール
・応募期間:2022年9月14日(水) 12:00:00 ~ 2022年10月16日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2022年12月上旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第182弾です。 今回のテーマは、「泥棒」です。 どこかに必ず「泥棒」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・「泥棒に遭った!」と動揺する友人。話を聞くと、盗まれたのは彼女の初恋のようで? ・パワハラ上司から“給料泥棒”と罵られる日々。なら本当に会社の金を盗んでやろうじゃないか――! ・怪盗の予告状を受け万全の警備中、予告時間に怪盗?が大挙して押し寄せてきて!? ・借りたものを返さない借りパク男。ある夜、「帰りたい」とすすり泣く声が聞こえてきて……。
泥棒が盗むのは、形あるものとは限らない。ふとした瞬間、意外な“アレ”を盗まれてしまうかも――? そんな「泥棒」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等に応募中、または過去に受賞したことのある作品はご応募いただけません。
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応募の辞退について
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次回予告

次回、妄想コンテスト第183回のテーマは「演じる」です。 本コンテストと平行する形で2022年9月28日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第183回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト