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ギシ、ギシ、と、わたしの足に

踏みつけられるたびに、

階段が鳴く。



階下では、あの時と同じように

倉庫の中から淡い光が

洩れていた。



どうやら、先日の火災で燃えたのは

体育館の後方だけだったようで、



微かに漂う炭のような

独特の匂いを除けば、

見る限り、この場所は

以前と何の変わりもない。



…どうしてこんなところに…。



階段を降り切って入口の前に立つと、

部屋の奥で、月子ちゃんが

壁に寄り掛かってこちらを見ていた。

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倉庫の壁には、体育祭で使う

入場用の看板が立て掛けられ、

カバーのかかった和太鼓や

マイクスタンドなどが

整然と置かれていた。



足が竦んで部屋に入ることが

出来ずにいると、月子ちゃんは

傍らに立てかけてあった

パイプ椅子に手を伸ばし、

ガシャン、と床に広げた。



「…どうぞ、先輩」



そう言ってもう一つ、

自分の分の椅子を取り出す。



わたしは重い足を強引に

前に送りだすようにして、

部屋に入った。



鼻から侵入してくる

埃っぽい臭いが

わたしの頭の中から

古い記憶を呼び起こそうとして、

…わたしはそれを必死で抑えた。



低い天井に目をやると、

裸電球が二つ、天井から

ぶら下がっている。



よく見ると奥の天井にもうひとつ、

機能していない切れた電球が

吊られたままになっている

ことに気付いた。

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