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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第176回「雨音」
 雨に関連するお題はいつも多数のご応募をいただくものの、今回は“音”に絞ったから少し難しいかも……というのはいらぬ心配だったようです。ノスタルジックで深みのある作品や、擬音のリズムが楽しい作品など、お題が印象的に使われた力作揃いの回となりました。  特に受賞作はいずれもただの雨で終わらず、音の要素を作品に落としこみ、個性の光る作品に仕上げられていました。

大賞(賞金3万円+選評)

ある理由から、郵便局の花形である遠距離配達員を志すセキ。それには相棒となる飛竜を捕まえる必要があった。ある雨夜、自宅に竜の気配が……。雨音を竜の足音と表現する発想がキャッチーで、雨の中竜を追いかけるシーンだけでもワクワクします。頑なになってしまったセキの心情描写も丁寧で、ラストの感動を際立たせていました。細部を書き込んだ長編としても読んでみたいです。

準大賞(賞金2万円+選評)

先天的難聴の未夢は、絵画教室で出された“雨音”という課題に悩んでいた。そんな彼女に、幼馴染のユウ君は雨音を伝えようとして? 何年もかけて雨音を表現しようとするユウ君と、それを受け取って表現しようとする未夢の関係性が素敵です。支え続けてくれる心強さとそこに隠された想いなど、隅から隅まで楽しめました。二人のこれからを応援したくなります。

入賞(賞金1万円+選評)

いつも教室で一人音楽を聴いている蓮見君が気になる瞳。ある帰宅中、夕立から逃れた先で、偶然彼と会話する機会を得て――。教室では周りに合わせる空気感や、自分だけの特別な時間を持とうとするズルさ。思春期の心情描写にリアリティがあるので、共感しながら読め進められます。少しのためらいが取り返しのつかない後悔になってしまうラストがなんとも痛々しく、ラスト一行は強く心に残りました。

佳作

高校の入学式でピアノを弾いた先輩に一目惚れした主人公。下心で先輩に弟子入りしたら、始まったのはスパルタレッスン!? 元気溌剌、猪突猛進な主人公と切れ味抜群な先輩の会話がグイグイ物語を引っ張ってくれて、楽しく読み進められます。それだけに後半は主人公の悲しみがひしひしと伝わってきて、ラストの演奏シーンで爆発する感情に圧倒されました。
生まれつきすべての音の音階を聞き分け、理解してしまう体質の真澄。雑音を避け一人でいることの多い彼女は、ある音楽教師と出会う。障害でしかなかった体質が他者に理解され、さらには自分だけの武器になっていく。その過程での心の動きが心地よく、また能力が高いからこそ訓練が必要、というのも納得感があります。彼女が雨音で作った音楽を聴いてみたくなりました。
気候の変化が苦手で、雨の日には必ず体調を崩す。けど雨音を聴くと、私の頭の中では大好きな海老天が踊り出す――。海老天を作る過程の表現が可愛らしい。雨音と好物を結びつける理由と併せて、思わず笑みがこぼれました。始めから終わりまで優しさに溢れていて、ほっこり温かい気持ちをくれると共に、ちょっと海老天が食べたくなりました。
最近人気の妙なホテル。そこは人を憂鬱にさせることに特化しているというが……? 導入からどんなホテルなのかと興味を引かれます。BGMとして流れ続ける陰鬱な雨音が、ある時点を過ぎると癒しの音になっていく。この切り替わりが見事で膝を打ちました。対比がわかりやすく、主人公と一緒にデトックスしたような、さわやかな読後感を与えてくれる一作です。
専門外である魔法の雨時計の修理を請負った時計技師のカルロ。雨守の老女いわく、その時計には悲しい伝承があるらしく――。雨によって時を刻む時計と、それを直そうとする技師。設定や世界観が魅力的で惹きつけられます。魔法であっても、異変に気付くのがカルロの技師としての経験なのも納得感がありました。二人がこれからどんな時計と出会うのか、ぜひ読んでみたいです。

超短編賞

該当なし

続きが読みたい賞

雨を予測できる巫女の力を受け継いだ真那。高校生の夏、母の故郷を再訪した彼女は、奇妙な子供たちに雨乞いを依頼される。表現が上手で、特に雨乞いのシーンが鮮烈でした。トランス状態の心地良さ、それを盛り上げる雨音の激しさなど、読んでいてワクワクします。サブキャラも可愛く、真那の成長もしっかり描かれており、完成度の高い作品でした。

トンデモ賞

雨宿り先の公園で出会った年上の男性に惹かれる主人公。けど男の正体は水星人で、年に一度しか会えなくて? 突飛な設定ですが、二人の間に流れる、穏やかで洒脱な空気感がストンと胸に落ちます。会えない時間の中で主人公が成長し、想いが育っていく様子や、宇宙人ならではの力に動転する様子など、終始ときめきと胸キュンに溢れた作品でした。

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2022年6月8日(水) 12:00:00 ~ 2022年7月10日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2022年8月下旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第176弾です。 今回のテーマは、「雨音」です。 どこかに必ず「雨音」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・しとしと雨の降る休日。こんな静かな雨音を聴くと、あの日の記憶が呼び起こされる――。 ・土砂降りの公園に佇む少女。心配で声をかけると、「雨音を集めている」らしく? ・強い雨が降る中の帰路。雨音に紛れ、怪しい人影が忍び寄る……。
梅雨は不便なことも多いですが、雨音を聴きながらゆっくり過ごすのも、風情があって良いもの。 そんな「雨音」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等に応募中、または過去に受賞したことのある作品はご応募いただけません。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第177回のテーマは「兄弟/姉妹」です。 本コンテストと平行する形で2022年6月22日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第177回の応募期間内に新規投稿してください。応募期間前に投稿した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト