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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第194回「桜を嫌いな理由」
 国民的に愛される桜に対して、あえて“嫌い”というマイナス感情を打ち出した今回のテーマ。「桜の樹の下には屍体が埋まっている」という有名すぎる文句に始まり、結末に関わらずどこか陰のある作品が大半だったのは、咲き誇る美しさよりも散り際の儚さが愛されがちな桜という花ならではかもしれません。  またテーマに捻りがあるゆえか、いつも以上に掴みやオチに捻りを利かせた、構成力のある作品が寄せられました。

大賞

豪商の息子として生まれながら、家族の愛情に飢えたまま成長した主人公。彼は多くの心優しい人々と出会い、成長していく。登場人物たちの心の動きが丁寧に描かれており、構成力も素晴らしかったです。物語は儚くて美しく、情景描写の巧みさもあって目の前に世界が広がるかのような錯覚を覚えました。

準大賞

奉公先の奥方を姉と慕う千津だが、実は自分が病弱な彼女に代わる後妻であると知らされる。複雑な人間関係の中で生まれる愛憎劇が巧みな描写で描かれており、ぐいぐい引き込まれました。鬼と化した奥方は恐ろしいと同時に、その悲痛な叫びに胸が痛みます。

入賞

学校でも有名な遊び人の先輩に絡まれてしまった主人公。彼女の抱える秘密に触れたことで、その真意を汲み取ることを決意する。とにかくかわいい先輩と主人公のキャラクターに好感が持て、さらに魅力的でした。ラストシーンは美しく、ほろ苦く、独特の余韻に満ちています。

佳作

定番の文句から始まりつつ、三十年に渡る家主の感情が、それを見つめてきた庭木の目線で語られているのが印象的でした。“自分を見る主人の表情”を中心にしていることで、まるで自分がそれを受けているように感じてしまう臨場感があります。内容としてはサスペンスですが、じんわりと沁みる読み心地を味わえました。
刑事としての相棒でもある恋人を撃たれて動揺する主人公。しかし、捕まえたはずの犯人に小さな違和感を感じたことで、真相へ物語が向かっていきます まさかの真犯人に辿り着くまでの過程描写がお見事なハードボイルド作品で、一気にのめり込んでしまいました。
空き家の庭に咲く桜の樹に女性の姿を見た彼は、日ごろの鬱憤を晴らそうとするのだが……。欲望をぶつけようとする主人公に対し、女性の情念がほとばしる展開にゾッとしました。長すぎずに短くまとめているので、怖さがより際立っていました。
一年の間、何枚も桜の絵を描き続ける奥村とそんな彼女に想いを寄せる市倉。小さな美術倉庫の中で展開する、静かでゆったりとした空気感に浸れました。嫌いな理由を探るために桜へ向き合い続ける、ヒロインの不器用さがとても魅力的で、そんな彼女に恋したゆえに好きだった桜に嫉妬してしまう主人公にも笑みがこぼれます。
深夜にアパート横の公園で騒ぐ花見客に辟易していた主人公。すると、空き室である隣のベランダから、謎の青年に話しかけられ!? “桜の中の人たち”と主人公の交流に、シュールながらもほっこり。桜がまさかの人見知り、という設定もおもしろかったです。花見の喧騒をロマンチックに変える、心温まる作品でした。

超短編賞

桜は手間がかかる厄介者だから嫌いだと言う、老いた庭師。ならばなぜ植え替えないのかと問われ……。庭師の目線から語らえる、桜という樹木の面倒さに、たしかになぁと共感してしまいます。その上で桜を見て笑う庭師の姿に、彼と桜が共に重ねてきた年月が感じられ、読んでいて笑みがこぼれました。

続きが読みたい賞

憧れの象徴である海軍、詰襟の制服のボタンに刻まれた桜と錨。しかし、厳しい訓練を潜り抜けた主人公に課せられたのは、特攻の2文字だった。主人公が胸に抱く正論と、時代がそれを許さない恐ろしさが残酷に描写されています。高い筆力を感じました。命令に反し帰還した主人公がどのような人生を送るのか、ラストシーンの先も読んでみたくなりました。

トンデモ賞

該当なし

優秀作品

青春 完結
14分 (7,998文字)
スケジュール
・応募期間:2023年3月8日(水) 12:00:00 ~ 2023年4月9日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2023年5月下旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第194弾です。 今回のテーマは、「桜を嫌いな理由」です。 どこかに必ず「桜を嫌いな理由」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・あの人が去って3年。早く忘れたいのに、満開の桜を見るたび思い出してしまう――。 ・憧れの帝都で、華やかな生活を夢見て大学受験。ところが届いた電報には「サクラチル」の文字が……。 ・枯れかけていた桜が突然蘇り、満開の花が咲いた。皆が浮かれる中、なぜか彼だけが浮かない顔で近寄ろうとせず――? ・花見気分に浸ろうと桜の下で弁当を開けた瞬間、そこに毛虫が落ちてきた。もう二度とするもんか!
春の訪れを知らせてくれる桜。時に不安になるほど美しく咲く姿に、様々な感情が喚起されることでしょう。 そんな「桜を嫌いな理由」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等に応募中、または過去に受賞したことのある作品はご応募いただけません。
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応募の辞退について
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次回予告

次回、妄想コンテスト第195回のテーマは「たまご」です。 本コンテストと平行する形で2023年3月22日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第195回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト