今村香は、ギフテッドとして期待され育てられたが、結局その才能は開花しなかった。現在は無能な発達障害、ダメ人間と己を責め続けて生きている。彼女の弟の慶介の視点から、現在までの香の異常さが語られ、そして彼はどうして姉がおかしくなったかを知るため、香が話す“お袖狸”という不可解な存在について調べ始める。どうやら、姉はお袖狸という“何か”と化しており、それは恐ろしい災いを生み出すことになる――。民族憑物恐怖譚。

花生は小学生の時、家族3人の旅行中に乗っていた飛行機の着陸が失敗し、両親を失い自分も死に直面する。その時、小祈という年上の少女に助けられた。それから4年後、花生は前髪の左側で隠した場所に、赤茶けた薔薇の様な火傷痕のある少女に出会う。彼女は、かつて花生を命がけで救ってくれた小折だった。花生と同じく孤独な身の上になりながら、明るく生きる彼女に、花生は強く惹かれていくが――。孤独な少年と少女の切ない恋物語。

子きつねのコン太は、山で小学生の一団に出会う。コン太はきつねのマスコットに化けて、その中の一人・加奈子のリュックにぶら下がって着いていくことに。加奈子は家でコン太に気付くと、驚きながらも彼の面倒を見ようと考え、一人と一匹の生活が始まった。一緒に学校や買い物に行ったり、時にコン太が野犬に襲われた加奈子を助けたりして、不思議な日々が過ぎていく。そして別れの時がやってきて――。子きつねと少女の1週間の物語。

24年と数ヶ月前、全世界の夜空から北斗七星が消えた。それから地球は大災害が連続するようになるなど、おかしなことが多発している。そんなある日、冬真が帰宅すると、自宅であるアパートが、落ちてきた巨大な目玉によって破壊されていた。何が起きているかわからず途方に暮れていると、七星宮メグレズ千曜という名の謎の女性が現れ、目玉を片付けた。その出会いは星の運命を動かしていく――。星と神を巡る現代ファンタジー。

男子高校生の北条慧は、旅行者らしい《月雪》という知らないアカウントから、いつのまにかフォローされていた。ある時突然、月雪から「逃げて」という報せが来て、北条はゾンビに襲われる。増殖するゾンビにより社会は崩壊していき、そして北条がピンチに陥った時、人形のように美しく強い月峯と雪白という二人に助けられる。彼らは未来から来た人工知能だといい、この先どんなことからも北条を守ると膝をついて……!?　終末系トラベルSF。

2隻の宇宙船が宇宙の裂け目に落ちて、銀河系の片田舎にある地球に墜落した。その地球・江戸時代の日本で、ある使命を帯びて旅をしている島木正信らの一行が3人の男に襲われる。難を凌いだところに妙な身なりの男女が現れ、「サバイバルゲームをやってたら、道に迷ってしまって」とわけのわからないことを言う。更にそこへ、身の丈3メートルほどもある丸い兜を被った巨人がやってきて――!?　侍・令和の若者・エイリアンが入り乱れる時空SF活劇！

高校2年生の礼桜は、母のバッグを修理に出すため、四天王寺前夕陽ヶ丘駅が最寄りの革小物専門店に向かった。その店の前で、ひったくりが行われているのを見て、彼女は股間を蹴り飛ばしてひったくりを止める。その後革小物店の店長・九条に助けられたことが縁で、彼女は九条の店で働くことになった。そして九条と彼の周りのハイスペックイケメンたちとの日常が始まり、様々な事件に出会っていく――。大阪を舞台にした恋愛ミステリー。

奈菜は小学生の時、学校の七不思議の探索中に、彼女が行ったイタズラが大騒動になってしまったことからオカルトを避けるようになった。時が過ぎて高校生の夏、彼女は図書館の書架で奇妙な本をみつける。その本には“七不思議の掟”について書かれた紙が挟まれていた。そこにはこの学校にある“作られた七不思議”について記されており、オカルトではなく作られたミステリーならと、その謎について調べ始める――。学園青春ミステリー。

昔々の海辺の街で、余四郎と寅吉は大晦日に、“明王様”と呼ばれている祠で、貢物を狙う盗人を追い払う“供物番”という役目を村から言いつけられていた。供物番は、末子か3男といった賊に斬られたとしても困らない者が選ばれており、そのことにはある意味があった。大晦日に供物番の役を担った者は、新年の訪れと共に姿を消してしまうのである。その役割に選ばれた二人が見ることになるものは一体――。民族ホラー物語。

ジョアンとの結婚式を1ヶ月後に控えた伯爵令嬢フアナに、ジョアンは婚約破棄を申し出てきた。調べてみると、フアナの婿に与えられる伯爵位を得た上で、フアナを追い出し愛人を正妻にするつもりらしい。フアナは彼のあまりの浅薄さに呆れ果てていたが、状況から婚約破棄は無理と判断。結婚は済ませたものの、ジョアンは愛人にかまけフアナを蔑ろにする。しかしフアナは皇帝陛下の目に止まり――。伯爵令嬢の痛快ファンタジー。

天地を裂いた巨人の剣、九つの太陽を射る神の弓といった伝説の武器が数多ある世界で、その使い手については語られない。人は伝説の運び手にすぎず武器が重要視される世界である故だった。しかし白虎の国の王位継承者・白伏龍は武器を持つことができない。その原因は、どうやら2年前に彼が伝説の神獣・麒麟に助けられた時にかかった呪いのようなものであり、伏龍はそれを解くために麒麟にまた会いに向かったのだが――。恋愛バトル幻想譚。

お嬢様の実乃莉は、意に沿わないお見合いを相手から断ってもらうため、場にそぐわない装いで相手の待つホテルに向かった。そこでスタッフの間違いから皆上という男の席に案内されてしまう。改めて見合い相手の元に向おうとすると、その相手は立場を傘に来て威張り散らすタイプの人物で、実乃莉の服装を見て激昂する。そこに皆上が現れ、彼の機転で場を治めることができた。そのお返しとして実乃莉は――。偽装婚約から始まる恋物語。

結婚7年目で32歳の美香は、子供はおらず、配送業者の事務員として働いていた。夫の友之は3歳上で、IT企業に勤務している。二人は仲良し夫婦として過ごしているものの、美香は友之から女の気配を感じていた。そんな折、美香は高校の同窓会で出会った拓人に惹かれていく。想いを否定する美香だが、夫の裏切りを目にしてしまったことで彼女の心は止められなくなっていく――。禁断の恋心が入り乱れる、大人の恋愛物語。

27歳の浅野羽菜には10年間付き合っている恋人・望月理仁がおり、穏やかで幸せな日々を送っている。そんなある日、二人は理仁と同じサッカー部に所属していた同窓生たちと再会。彼らは高校時代の想い出を語る中で、「高校時代に一瞬で消えた転校生」「放火魔の疑いをかけられてた奴」についての話題を口にする。その「転校生」にまつわる、切ない過去と苦しい後悔を思い出した羽菜は――。切ないトライアングルラブ。

「私」は両親が幼少の頃離婚したため、母方の家族に育てられた。家では父の話題を出すことはタブーであり、父に会いたいとか、父がどんな人だったか知りたいという想いを殺しながら生きてきた。そして「私」は50年の時を経て実父に繋がるという不思議な体験をする。それをきっかけにして、「私」が出会ってきた日本の単独親権問題に始まる、様々な出来事が綴られていく――。海外在住の日本人女性ユング派志向心理士による自伝。

生きたくないけれど、死にたくもない。どうせなら静かに消えたい――高校生の山本夏美は、そう思いながらも必死に毎日を生きている。ある日そんな彼女の前に、美しい姿をした“死神”が現れた。彼は死期が迫った人ではなく「死にたい」と思っている人のもとに現れるというが、彼女は消えたいと思いつつも死にたいとは思っておらず、噛み合わない。その死神は夏美から離れず、奇妙な日常が始まって――。生と死の中で成長していく二人の物語。

魔界の王女であるアイリは、魔界の高校を卒業した後、魔王の側近であり教師である青年で、最強の魔獣でもあるディアと結ばれることになった。しかし、気弱なアイリと奥手のディアの関係は、なかなか進展しない。そんなある夜、アイリの中にイリアというもう一つの人格が現れ、ディアを契約によって服従させ「アタシがディアを調教して結ばれるの」と宣言した。ディアはそれに抗うことができず――。身分差異種族恋愛ファンタジー。

長命ゆえに暇を持て余していたエルフの姫・シュエリアは、禁忌魔法により現代日本に転移する。彼女はそこで出会った結城という青年の持っていたゲームに興味を持ち、彼の家にいくことになる。彼女はゲームとアニメにハマって結城の家でニート化、キャラTシャツを着回してだらだらする生活を続けるようになる。さらに彼女の存在をきっかけにおかしな騒動が起こりはじめ――。美少女エルフとの、ほのぼの恋愛ファンタジー。

図書館で働いている敬梧は、公園で慧という保育士と出会った。無愛想な態度をとってしまった自分を情けなく感じていると、近所のコンビニで慧の姿を見かけ、さらに彼が自分と同じアパートに住んでいることに気が付く。慧は敬梧のことを覚えており、明るく話しかけてくる。二人は自然と仲良くなり、お互いのことを知りたいと距離が縮まっていった。迷う時、悔しい時、寂しい時、そして嬉しい時を共に過ごしていく――。日常系ほのぼのBLストーリー。

血飛沫を浴びながら、般若のお面を持つ青年――。ヤンデレ風味なイラスト！

舞い散る桜の中で微笑む着物少女――。美麗な大正浪漫イラスト！