このコンテストは受付を終了しました

三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第193回「最後の○○」
 状況や関係、物事の“最後”そのものを切り取るのか、あるいはひとつの区切りとしてその先を描くのかで、読み口が大きく変わるテーマでした。前者は特に、せつない失恋を取り扱ったものが多く、登場人物たちの感情の動きがエモーショナルに描かれていました。  一方で受賞作には、押し付けられた“最後”の不条理さや理不尽さを描き、読者を巻き込むような勢いのある作品が目立ったように思います。作者の調理法によって繊細さと勢い、両極端な味わいを楽しめる回でした。

大賞

残業後に何気なく入った洋食屋で、ラストオーダーである旨を承知する主人公。けどそれは、創業80年の歴史を締めくくる、本当の意味でのラストオーダーで!? 畳みかけるように重たさを増すオーダー、キレキレの主人公のツッコみ、そして思わずずっこけそうになるオチ。勢いとテンポのいい文章も相まって、さながらコントを見てるようで、最初から最後まで笑いながら読める、気持ちの良い一作でした。

準大賞

たくさんの友人や同僚から誕生日を祝われるマオ。けど気になる同期は完全に誕生日を忘れているようで……。一番お祝いしてほしい人から言葉をもらえず、じれながらも自分からは言い出したくない、主人公の乙女心が可愛らしく共感できます。散々じらされた後の怒涛の胸キュンは、読後にごちそうさま、と言いたくなるような甘さでした。

入賞

早朝に誰もいない山の上のブランコに乗って叫ぶことで、ストレス解消していた蝶子。けどその日は人の気配があって? 二人の出会いのシーンがシュールかつコミカルで、思わず笑みがこぼれます。顔見知りだと分かった時のやりとりもくすりと笑えました。大人になってからできた友人との、何気ない交流に心が温まり、読後に元気をもらえます。

佳作

その村では“大指様”が家に来たら、指を一本献上しなけれならない。しかし主人公親子は、もうすべての指を捧げてしまっていて――。グロテスクな描写のみならず、「指をください」と村を駆け回ったり、指の代わりを作りだす母の姿に、より生々しさを感じました。大指様の絶対的な存在感に怖気立ち、目をそらしたくなるのに目が離せません。シンプルながらも強烈な恐怖と絶望感がありました。
ついに刑が執行される日を迎えた死刑囚。恐怖に暴れる男は、なぜか教誨室に入れられると、そこで“死刑執行の猶予”を持ち掛けられる。一見すると悪人にチャンスが与えられているように思えますが、“繰り返す度に一日減る”という構造が絶妙で、その真意には納得の一言です。惰性であっても死の恐怖には抗えない姿に、滑稽さと哀れみを感じずにはいられません。
購買の焼きそばパンに関する七不思議をネタに、パンをねだる友達の椎名君。それを無視した主人公はその日の放課後、後悔することに――? 友情と恋愛の境界線を反復横跳びするようなやりとりと距離感が、もどかしくも心地いいです。関係が発展してほしいような、このままでいてほしいような気持ちで、いつまでも見守っていたくなりました。
幼い頃からずっと一緒だった三人の幼馴染。けれど由花は二人と別れ、地元を離れる決意をする――。三人が三人とも、お互いを大切に想い合う関係性に、胸が締め付けられるようでした。卒業という人生の区切りを超えていくその瞬間の、青春の甘酸っぱさと痛みがぎゅっと詰まっています。“最初で最後のとなり”というフレーズに、せつなくもきゅんとしました。
別れた彼が東京へ行ってしまう前日、別れる前にした約束である季節外れの花火をする中で、朱里はあるお願いをして……。線香花火が続く僅かな間だけでも彼女に戻りたい、という願いが健気でせつないです。火玉が一つ落ちるたびに距離が離れていくようで、主人公の焦燥感が切々と伝わってきます。ラストはどうか火玉が落ちないようにと、願わずにいられませんでした。

超短編賞

自宅の裏山にある山道には、不気味な噂があった。親も友達も主人公自身も信じてはいなかったが、ある日、夕暮れ時にその道を通ることになり――。ひたひたと迫りくる恐怖と、一度安堵させてから突き落とす緩急のつけ方が巧みです。生き残った主人公の心情を思うと、なんともやるせなく、後味の悪さが残ります。

続きが読みたい賞

該当なし

トンデモ賞

一生に3回までしか人を愛することができない世界で、すでに2回、愛を使ってしまったゆうこ。気になっていた上司と付き合うことになり、これが最後の愛だと思っていたのだが……。愛を指輪の色で視覚化、さらに回数制限を設けたアイデアがおもしろく、目を引きました。オチは言葉にするのは簡単でも、実際にはなかなか難しいだけに、それが出来た主人公に感嘆し、前向きな気持ちをもらえました。

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2023年2月22日(水) 12:00:00 ~ 2023年3月26日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2023年5月中旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第193弾です。 今回のテーマは、「最後の○○」です。 どこかに必ず「最後の○○」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・二度の離婚を経て、三回目の結婚。うまくいってもいかなくても、これを最後の結婚にすると決めた。 ・おこづかいもお年玉も尽き、これが最後の課金だ。どうか来てくれ、最推しのSSR!! ・組織から逃げ出したが捕まった。せめてもの情けにと、最後の晩餐の希望を訊かれ……。 ・三つだけ願いを叶えてくれる魔法の道具を手に入れた女。富と美貌、そして最後に願ったのは――?
これが最後と思うと、なんでもないことでも真剣に考えてしまいます。「あと一回だけ」となってしまうのもお約束? そんな「最後の○○」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等に応募中、または過去に受賞したことのある作品はご応募いただけません。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第194回のテーマは「桜を嫌いな理由」です。 本コンテストと平行する形で2023年3月8日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第194回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト