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次に読みたいファンタジーコンテスト 「人外/異種族」
講評者の三村美衣氏からのコメント ===== 人外/異種族であるがための孤独とプライド、その両者の壁を乗り越え寄り添ってくれる家族や友や恋人。日頃から皆が感じている疎外感や悲しみや喜びといった感情を、自然に物語に同居させ、さらにファンタジーならではの捻りを加えた作品が多数エントリーされた。受賞作3編はいずれも異種族との出会いを描いたものながら、それぞれまったく異なる手触りと読後感をもたらしてくれる。他にも、いかにも若造っぽい肉体派の人狼と、知識と財力と人脈を誇る老獪なエルフがバディを組み魔獣絡みの事件を捜査する芳蓮蔵『魔獣探偵』、彼岸では幽霊の少女に、此岸では少年に飼われている化け猫ずずりの視点から、両飼い主との日々が描かれた、ゲンゴロウマル『くろねこ ずずり と 逢魔時』、吸血鬼ものでは橘塔子『羊飼いのセレネイド~吸血鬼を捕まえるだけの簡単なお仕事です~』、三村薔『鳩血色の秋』などが面白かった。 ===== 受賞作品への選評や見どころを一部掲載! また、エブリスタのメディアmonokakiにて、講評者の三村美衣氏よる創作ハウツー「新しいファンタジーの教科書」を連載中です! 第11回「ゲーム的テンプレ脱却!説得力ある人外/異種族の書き方」も、ぜひ読んでみてください。 ※選評は登録されたメールアドレスへ近日中にお送りします。 ※SNSアカウントで会員登録されている場合、エブリスタトップページ上部「現在、このアカウントは仮登録の状態です。本登録はこちら」より、メールアドレスの設定をお願い致します。

大賞

人間に育てられ倫理観を備えたがために同胞に交わることができず、大陸を渡ろうとしていたリザードマンの詩人が、森で出くわした逃亡奴隷の木の精霊を故郷に送り届けようとする。しかし彼女の故郷の村は、リザードマンによって焼かれ、皆殺しにされていた。行き場を失った2人は人間の街を目指すが、リザードマンと人間の種族間戦争が勃発する……。美しい精霊と、醜いリザードマン。対照的な2人の絶望に満ちた逃避行と、切ない別れを描いたロマンス。

準大賞

古い本の収集と修繕を主な業務とする辺境の図書館イージスで、稀覯本を盗賊から守る武将司書となったタレス。ところがある日、勤務中の彼の眼前に銀の目の美女が現れ、「いい匂いがする」と彼に襲いかかってきた。なんと彼女は、知識を食べ、蓄えるリブリアースと呼ばれる種族だった。かつて、世界の知は、図書館とリブリアースの協力によって蓄積されていたが、いつしか彼らは姿を消し、図書館は国にとって都合の良い知識だけを保存する場所に成りはてていた。国家権力の及ばない辺境の図書館から、タレスとリブリアースによる、失われた知を探す旅がはじまる。艶っぽい描写もさることながら、なにより設定の面白さが目を惹く。短編で終わらせずに、2人が国中の図書館を回るエピソードも読ませて欲しい。

入賞

あれは造船所で働いていた頃だ。そこは小さな美しい湾で、よく不思議な生き物が打ち上げられる――。造船所で働く青年が、ぼろぼろな姿で打ち上げられた人魚を家に連れて帰り、アパートの浴槽で世話をする。肺呼吸だし、真水でも平気だし、他の魚を飼うよりずっと楽だが、バスルームを人魚に明け渡したために銭湯代はいるし、さらに人魚は食欲旺盛で食費もばかにならない……。淡々とした筆致で描かれる人魚と人間のラブストーリー。非日常を日常的に綴る語り口が、四畳半的純愛と、おとぎ話と、さらに進化論的な時間のスケールをも見事に同居させている。「永遠」が呪いではなく希望につながる結末も美しい。

佳作

人里離れた山中で暮らす過去を持たない蜥蜴か竜種か、爬虫類っぽい獣人の男の前に、突然現れた人間の女性ガンマン。彼を育ててくれた男の死を伝えに来た彼女は、果たして何者なのか。さらに彼女を追って、魔術師ギルドの刺客が現れ……。状況はまったくわからないのだが、会話もアクションも状況もハードボイルドでとにかくかっこいい。続編を切望します!
黒龍の塔に住む魔術師に作られたメイドのプリモが、ご主人さまのために、市場にはじめてのお使いに行く顛末を描いた長編。はじめて城から出たプリモの視点から、社会や種族や職種のあるあるが語られる。キャラも展開もかわいらしく、読者を惹きつける。
獣人であるがために差別を受け、愛してくれる人が求めながらも、人を信用しなくなってしまったロルフ。宝石を生み出す能力を持つ神の寵児「天使」であるために、家族に疎まれて人里離れた森の城に追われながらも、貴族としての矜持を失わないジェム。2人が友情を育む過程が丁寧に描かれている。まだ事件らしい事件も起きていないが、先の展開に期待したい。
ひょんなことから不老不死となり、少女のまま生き続けるアニカ。五十年ぶりに故郷の街に足を踏み入れた彼女は、同族の青年ヴァルターと、彼の雇用主である少年テオフィールに出会う。テオフィールは不治の病であり、生きるためには、不死者同士の子供の血液が必要であり、ヴァルターとアニカに子供をつくってくれというのだ。テオフィールに同情しながらも、好きでもない男と子供はつくれないと拒否するアニカだったが……。三者三様の打算的な思惑が絡みあう中で、アニカとヴァルターは自分たちの本当の思いに気づきはじめる。ふたりの心情の変化が面白く結末まで読ませる。
大学の調査団の船が嵐で難破し、生物学者のミスティが命からがら漂着した島は、なんと、巨大生物が暮らす悪魔の島だった。人語を解する巨大生物と出会った彼女は、彼の忠告に従い、人間と共存するという竜の元へと向かうのだが……。ヴェルヌやドイルを連想させる設定だが、自然界の厳しさに重点を置いた短編。安易な脱出に逃げず、目の前にある現実を受け入れ、生きるために下した決断が重い。
募集概要
ファンタジー書評家「三村美衣氏」&物書きのためのメディア「monokaki」とコラボしてお送りする 「次に読みたいファンタジーコンテスト」 面白いファンタジーとは何かを探求しつつ、新しいファンタジー作品をどんどん発掘していきます!
募集テーマ
第12回目のテーマは「人外/異種族」です。
・ドラゴンライダーの少女。ある日相棒のドラゴンが言葉を喋り、しかも告白されて!? ・おてんばな妖狐の姫が家出!追手から逃げているうちに、人間に拾われて? ・人がいなくなり、ゴーストタウンと化した町。実は本当に幽霊の町になっていた!
人外/異種族の要素が入っていれば、どのような世界/時代設定のファンタジー小説でも応募可能です。 ページをめくる手が止まらなくなるような、ワクワクするファンタジー小説をお待ちしています。 また、あわせてエブリスタのメディアmonokakiにて、三村さんによる創作ハウツー「新しいファンタジーの教科書」を連載中! 第11回は「ゲーム的テンプレ脱却!説得力ある人外/異種族の書き方」です。 「エルフの耳は尖っているのか?」「異種族のリアリティ」といった、具体的なお悩みに答えます。 めざせ、テンプレ脱出!ぜひこちらも参考にしてください。
講評者プロフィール
三村美衣 ファンタジー、SF、ライトノベルの書評家として、長年の経験を持ち、数々のファンタジー・SFの小説賞の審査員を歴任。 現在も、創元ファンタジイ新人賞の最終選考を務める。 第一線で活躍する中で、次世代のファンタジー作品の誕生を待ちわびている。 著書『ライトノベル☆めった斬り』(太田書房/共著)、『SFベスト201』(新書館/共著)など。 2018年10月より、monokakiにて、ファンタジー小説の具体的な書き方を指南する「新しいファンタジーの教科書」を連載。
スケジュール
・募集期間: 2019年8月5日(月)12:00:00 ~ 2019年10月6日(日)27: 59: 59 ・最終結果発表: 2019年12月中旬予定
賞
大賞 1作品 ・賞金5万円 ・三村美衣氏からの選評 準大賞 1作品 ・賞金3万円 ・三村美衣氏からの選評 入賞 1作品 ・賞金2万円 ・三村美衣氏からの選評 佳作 数作品 ・三村美衣氏からの選評 ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタ公式SNS等で配信、紹介等される可能性があります。
応募要項
・文字数は5,000文字以上 ・連載中の作品も応募OK! ・すでに完結している作品 並びに エブリスタ内の公式コンテスト及び他サービス等の投稿コンテストで落選した作品を、募集内容に沿うように再構成してご応募いただくことも可能です。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。

コンテストの注意事項(必読)