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未完結でも参加できる 執筆応援キャンペーン 「ほっこり/ゆるいホラー」

大賞

タイトルから猟奇的なイメージを持つが、意外にほっこり度が高かったです。新居に出現した半透明の生首。劇中でも触れられている通り、恐怖よりも脱力感のあるやりとりが微笑ましい。幽霊とのドライブは、彼を殺した女を探す旅。おどろおどろしい展開になるかと思えば、のんびりと進行していく。生首であるタツオミの悠然としたキャラ造形に成功しているからです。その性格の理由が判明するラストまで楽しめる作品でした。

準大賞

新人幽霊にレクチャーする幽霊指導員の設定がユニークです。煩悩の重さがスピードに関わり、成仏か地縛霊かを決めるルールも納得度が高い。自分の葬式の様子を眺めるシチュエーションで笑いを交えつつも、徐々にシリアス度を増す。じつは、周囲から好かれていたのに、なぜ殺されたのか。自分の死の謎に挑む流れは見事なストーリーテリングです。意外な犯人、そして幽霊指導員の正体を含めてミステリーとしても完成度が高い作品でした。

入賞

霊気は冷気であり、幽霊にとって必要という設定が納得しやすいです。本来シーズンであるはずの夏の暑さに負け、家庭用の冷凍庫から登場する礼子。主人公との出会いの場面の完成度が高かったです。自分の死因を調べてほしいと、礼子から依頼される主人公。異常なシチュエーションを、少しずつ読者に説明するペース配分が抜群。2人だけの会話が長尺で続いても、読み手の興味を引っ張れていました。ほっこり度も満点です。
夜の1室に集まる若者たち。その場には5人しか見えないのに「6人いる」と本当か嘘かわからない台詞。王道で、先を読みたくなる書き出しです。怖い話のリレートークは百物語ならぬ“七物語”。ひとつのオチで終わるのではなく、二転三転する展開が見事。おどろおどろしいエピソードもありますが、マイルドな語り口で中和されています。また中心人物であるリョーコは小悪魔的なトリックスターで魅力的なキャラクターでした。
大好きだった相手と、死後に同棲生活。そんな彼女の“幽霊ライフ”が明るく綴られています。タイトル通り、たつきといつでも一緒。物には触れられない。感情が高ぶると、人にはぼんやりと見える。このルールの中でたつきを守るヒロインは健気です。2人きりの生活に現れる侵略者リカ。彼女の登場でストーリーはヒートアップします。コミカルテイストの中にシリアスな展開や、哀しみが込められた上質の物語でした。
何でも引き受けてくれるクラスメイトの薫くんへの報酬は「怖い話」。次々と披露される怪談を段階的に怖がらせる手腕が巧みです。たとえば、物理的な錯覚であると安心させてから、真実を明かして、その前提をひっくり返す。油断させられた分の落差が怖い。そのうえ、薫くんの無邪気なツッコミで、話し手にすら見えてなかった恐怖も加えられる。ストーリー自体の構造が、怖さと面白さのシナジー効果を高めていました。
礼実の部屋に現れたクラスメイト麻耶の幽霊。「私を旅行に連れてって」という頼み。少女2人だけの旅が始まります。徐々に明かされていく礼実と麻耶のそれぞれの背景がすさまじい。そこで、お互いの距離が近づいたり、遠ざかったりをめまぐるしくくり返すのがスリリングな展開です。そして、礼実に提示される悪魔的な誘惑。極限の状況で生を選び、乗り越えていく姿に清々しさを覚えます。メッセージ性の強いホラー作品でした。

佳作

霊が視える山田家の長男・太一。彼が家族のトラブルに巻き込まれながらも、最善の道を探して奔走します。とくに姉である真麻江だけ、どんな霊も自然に視える設定が面白かったです。家族には禍々しく視える悪霊も、彼女は平気で触れてしまう。その行動こそ一番怖い印象すら与えます。霊には優しいのに、弟には厳しい性格もキャラが立っていました。バイク事故で死んだ幽霊と結婚すると言い出して、どうなるのか楽しみです。
犬嫌いのよし子の前に、幽霊犬が現れます。最初は邪険に接する彼女でしたが、自分を助けるためにやってきた聴導犬と知り、両者の絆が深まっていく。突然の難聴に襲われたヒロインの描写にリアリティがありました。たとえば、いつもの朝と同じようにスマホのアラームが鳴り続けていたのに、よし子は気がつかない。一変した日常を表す巧みな表現です。コミュニケーションをとることの難しさや大切さが伝わってくる作品でした。
女上司の正体はろくろ首。オフィスで主人公の席まで首を伸ばしてくる。ビジュアル的にはかなり怖い絵なのに、恋愛要素でマイルドに見せています。残業の夜、美冬の正体を知ってしまう草太。2人はお互いの気持ちを打ち明ける。自分の秘密の体質を理解し、受け入れてくれる相手と出会えた彼女の喜びが伝わってきます。ラブラブなカップルを描きつつ、不穏な空気を醸し出す演出が、緊張感のある物語を紡いでいました。
冒頭、神社の階段で対面する胡内と耶神。孤独な魂をもつ者同士の邂逅。手探りでコミュニケーションをとる様子がよく描けています。毎晩、深夜零時に会うシチュエーションや、秘密や影の部分を抱いているキャラ。読者にほっこりした交流を見せつつ、彼らが得体のしれない相手という緊張感をキープしています。とくに耶神の心情描写に臨場感があって惹きこまれました。やがて判明する両者の正体にも驚かされます。
七海が死を決意する導入部に迫真力があります。だから、幽霊の洋奈との出会いで、運命が変わる場面をドラマチックに感じられました。生きたくても無理だった洋奈と、死にたい気持ちを止められた七海。2人の同居生活は刺激的です。洋奈の存在が、いじめられる七海の毎日の救いになっていく。幽霊の能力にもう少し制限があってもよかったかもしれません。でも、お互いに欠けているものを補い合う関係が見事に描けていました。
ポップで明るい語り口によって、愉しい気分で読めました。物語は躍動感ある文章で綴られ、時々挟まれる読者への呼びかけが小気味よいアクセントになっています。舞台である福岡市の実在の町の豆知識も嬉しいです。部屋に現れた幽霊の「山中さん」にインタビューを試みる主人公。昼間の探偵の仕事や恋愛、夜のインタビューが交互に楽しめる構成。山中さんは、なぜ幽霊になったかの謎は、読者の興味を引っ張る力になっていました。
2年前に亡くなった女子高生が、母校で守護霊のように活躍します。いじめの解決、恋の仲介とさまざまな善行を積む。主人公は決して万能ではない。夜なら能力がパワーアップするルールが、物語を引き立てるいいスパイスになっています。彼女が周りの人に少しずつ与えた想いが、やがて皆を動かす構成は胸を打たれました。文章も抜群に上手いです。綺麗に綴られているので流れるように読めます。心の底からほっこりできる作品でした。
小学生の男子が自分の本当の気持ちを書く「秘密ノート」。その内容は、8歳の少年の視点や心理描写ができていて秀逸です。家に出入りしている猫のタマさんが、人間の言葉を理解しているのではと疑問を抱く。そこから裏の世界を知っていくプロセスは、不気味さ満点で怖いです。そんな怪異に接しても、彼らを差別しない主人公の素直な性格は、読み手を爽快な気分にしてくれます。ほっこりとホラーを素敵に融合させた作品でした。
3人の主要キャラクターだけで、濃密なほっこり空間を演出できています。田車の部屋に現れる幽霊の“加藤さん”。彼は「心霊写真を撮って、世間に知られれば、承認欲求が満たされて成仏できる」と要求してきます。でも、本来怖がらせるはずの加藤さんの写真は、ネットではお笑いの素材にされてしまい……。世相を反映していてリアルな展開です。彼を成仏させるべく、奮闘する主人公達の愉快なやりとりが絶妙でした。
幽霊となった主人公が、部屋の新しい住人にマッサージを施す話です。そこに至るまでの“導線”が非常に丁寧な作品です。マッサージ師になろうと思った動機や修行時代、夢の実現など生前の姿を誠実に描いています。彼の人物像や人生の描写があってこそ、死後の悲しみにもリアリティが生まれます。幽霊だから指圧の力加減がわからないなどコミカルテイストもほどよいです。同居人それぞれの人生模様も楽しめました。
生者、死者がともに救われる良作です。心が追い詰められ、無職となった弥菜。ふと耳に聞こえてくる「5時の音楽」。子供の頃に慣れ親しんだ曲が、傷みを癒します。その体験がきっかけとなり、幽霊の“長谷川”と出会う。彼の作詞した「かえろう」という曲の歌詞が素晴らしく胸に響きます。孤独な2人が理解し合い、お互いの心の空白を満たしていく。誰の心にもある子供時代の夕方の情景が浮かんでくる作品でした。
古今東西の吸血鬼ネタが盛り込まれ、ルーマニアの古城や街並みの描写が冴えていました。合法的に血を得るノスフェル伯爵。彼は人間を襲って吸血行為はしない。そんな“無害”なヴァンパイアをつけ狙うハンター。昔の作法通りに悪鬼を狩ろうとするが、うまくいきません。伯爵側、ハンター側と交互に視点が移り、両者の生み出す認識の不一致が、とても愉しい。一方で、デマに踊らされる人間の滑稽さと悲しみも感じられる作品です。
絵から飛び出してきた悪魔ネーロが契約を持ちかける。美術館の夜間警備をしていた画家志望の主人公。彼は5日以内に願いを考えなければなりません。魅力的な書き出しです。悪魔と交わす文化論や芸術論が、主人公のキャラ紹介になっている構図も上手い。失いかけていた絵への情熱を取り戻す心情も共感度が高いです。悪魔との不思議な交流を育みながらも、相容れぬ関係だと忘れない。ほっこりして、ハラハラする作品でした。
募集概要
良い作品を執筆したい!というあなたの気持ちをエブリスタが応援します! 「未完結でも参加できる 執筆応援キャンペーン」!! 【コンテストの特徴】 執筆意欲を応援するために、3つの特典をご用意しました! ・優秀15作品以上に、作品へのアドバイス ・大賞受賞者には、キングジム社の「pomera DM30」をプレゼント ・準大賞作品以上は完結後に、「完結作品特集」へ掲載 【こんな方にオススメ!】 書きかけの作品、眠っていませんか?  書きかけの作品も積極的に応援します!  眠っている作品、構想段階の作品でも、どしどしご応募ください! 昔書いた作品、アイディアはいいと思うんだけどなあ……  このコンテストに応募すれば、さらに良い作品にできるかも!?  ぜひ昔の作品にもう一度光を当ててみてください! どんな風に続きを書くか迷ったときは、こちらの記事を参考にしてみてください。 書きたい気持ちに火がつくメディア monokaki(創作ハウツー)
募集テーマ
第17回目のテーマは「ほっこり/ゆるいホラー」です。怖いけど、くすりと笑えて心が温かくなる、そんなホラー小説を募集します!
・物心ついた頃から、子供の幽霊が見える。その正体は、会ったこともない兄で…… ・心霊スポットに行ったら、本物の幽霊が!殺されると思ったら……え、不法侵入? ・笑うのも笑わせるのも苦手な私。ところが落語家の幽霊に憑りつかれて以来、人気者に!
など、「ほっこり/ゆるいホラー」の要素を含む小説を募集します。 次から次へとページをめくってしまうような、続きが気になるお話をお待ちしております!
スケジュール
・募集期間: 2020年1月20日(月)12:00:00 ~ 2020年3月22日(日)27: 59: 59 ・最終結果発表: 2020年6月上旬頃予定
賞
大賞 1作品 ・賞金3万円 ・作品へのアドバイス ・キングジム社「pomera DM30」をプレゼント ・完結後に特集掲載※ 準大賞 1作品 ・賞金2万円 ・作品へのアドバイス ・完結後に特集掲載※ 入賞 5作品 ・賞金1万円 ・作品へのアドバイス 佳作 10作品以上 ・作品へのアドバイス
大賞の方にプレゼント!
※ 特集掲載は、受賞から半年以内に完結した作品を対象とさせていただきます(投稿時に完結している作品も含まれます)。完結後、受賞連絡時にお伝えする宛先へご連絡ください。ご連絡を頂けなかった場合は、特集掲載できない場合がございます。 ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタ公式SNS等で配信、紹介等される可能性があります。
応募要項
・文字数は20,000文字以上 ・20,000文字まで読んで選考、作品へのアドバイスをいたします。 ・連載中の作品も応募OK! ・すでに完結している作品 並びに エブリスタ内の公式コンテスト及び他サービス等の投稿コンテストで落選した作品を、募集内容に沿うように再構成してご応募いただくことも可能です。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。
注意事項
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コンテストの注意事項(必読)