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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第170回「○○を呼べ!」から始まる物語
 何かを呼ぶ、という具体的な行為が話の起点となる制約があり、少々難しいお題だったかもしれません。ダントツで多かったのは「私(主人公)を呼べ」というもので、魔王、勇者、天使などファンタジー系の住人を呼ぶ作品は意外にも少なかった印象です。  受賞作品はお題の制限を上手く活かしたり、最後にあっと驚かされるどんでん返しが盛り込まれていたり、構成が巧みな作品が目立ちました。奇抜なアイデアでなくとも、ストーリー展開や登場人物同士のやりとりでいくらでも魅せ方はあるのだと、改めて感じさせられる回でした。

大賞(賞金3万円+選評)

息子の面倒を見てくれていた、親しい隣人が亡くなった。喘息の発作が原因だが、あるはずの吸入薬がなかったせいだという。ところが、それは意外なところから見つかって――。主人公親子がどうなってしまうのかとハラハラしながら読んでいると、次々と意外な秘密が明らかに。二転三転するストーリーにページを捲る手が止まらなくなる、ジェットコースターのような作品です。ラストの一言にはぞくりと背筋が冷えました。

準大賞(賞金2万円+選評)

才能が象の形をとり、心の中の象を“想象”する象使い、という設定がユニークでおもしろいです。ジャホは努力の末に象を呼び出せたものの、それは小さな子象だった。随所に挟まれるゾウ太の仕草が愛らしく和みます。才能を視覚化されたことで夢を諦めた主人公が、小さな相棒に鼓舞され、圧倒的な力に立ち向かう姿に胸が熱くなりました。「呼ぶだけの存在ではなく、呼ばれたい」のメッセージも心に響きます。

入賞(賞金1万円+選評)

ライブ帰り、ストーカーと思しき人物に襲われて以降、悪夢にうなされるようになったアイドルのマイカ。メンバーからそれは縁起のいい夢だと言われるが……。不穏な空気と不安が積み上げられ、これから何が起こるのか、ハラハラドキドキさせられます。自分の見ている世界が現実なのか夢なのか虚実が入り混じっていくさまが上手く、オチまでの構成もお見事でした。

佳作

不慮の事故で死んでしまった主人公。幽霊になった彼は結婚を約束した彼女の部屋にいた。そこに香澄の会社の先輩だという男が現れるのだが……。彼女の行動を見守ることしかできない主人公の悔しさ、もどかしさに自然と同調できるので、彼女が別の男を部屋に呼んでいた衝撃もひとしお。それがその後の展開にも活きてきました。淡々としつつも優しいラストも余韻が残ります。
主人公は感情を自然に表すことが出来ず、その場に合わせて“呼び出す”ことで周囲とコミュニケーションを図るが、違和感は拭えない。そんな彼はいつしか、役者として他人を演じることに希望を見出す――。無感動で内省的な若者が夢を見つける青春ストーリー……かと思いきや、ラストには意外な展開に。彼だけが知らない真実が少しせつなく、仲間達の反応に心とは、感情とはなんなのかを考えさせられました。
年に一度、幼馴染のエイプリルと待ち合わせをしているジューン。しかし彼女を呼び出したはずが、現れたのは見知らぬ大男だった。主人公はエイプリルに何が起こったのか知らぬまま、その裏側は読者にのみ明かされます。引き継がれる名と、姿も知れぬエイプリルを案じる主人公の姿がせつなく、余韻の残るラストでした。またテーマが冒頭のみにしか機能していない応募作が多い中、今作は劇中で象徴的に使われていたのも印象的。
普段は使わないバスに乗ったことからバスジャックに巻き込まれてしまう主人公。5人の乗客を一時間に一人ずつ殺すと息巻く犯人だったが、思わぬ反応に力が抜けてしまい――? クセのある乗客たちの主張がどこかコミカル。空気が弛緩し一件落着、かと思いきや、ラストで一気に反転し膨れ上がる緊張感に、思わず息を呑みました。
とある村でのみ行えるローカル版こっくりさん“たけもと様”。細かなルールはあるが、必ず正しい答えを返してくるたけもと様に、なんとか誤答をさせようと考える主人公だが……。制限を課すことが物語としてのおもしろさにも繋がっていました。その真実に気付いた主人公の思考にもリアリティがあります。主人公たちは、村は、世界はどうなってしまうのか……想像の余地を残させるラストが、恐ろしさを加速させます。

超短編賞

無職の息子が父に呼ばれる。就職活動がうまくいかない息子への説教が始まるのかと思いきや、まさかの展開に「ええ!?」と声が出てしまい、見事に一本とられました。必要以上の説明をしない語り口もスマートで、ショートショートのお手本のような構成です。手軽に読めて笑える、気持ちのいい超短編でした。

続きが読みたい賞

私の名を

SF 完結
4分 (1,829文字)
いわゆるゾンビものですが、短くテンポがいいです。幼き日に自分を救い、「父」代わりになったヒーローに対し、成長した主人公が同じセリフを口にするのが熱く、ドラマチックな一本となっていました。壮大なストーリーがギュッと凝縮されている感があるので、もっと長尺でも読んでみたいと思わせてくれる世界観とキャラクターでした。

トンデモ賞

女同士の諍いから毒を盛られた事件に対し、法律事務所の佐伯は疑問を抱く。真理子と美佐子と由紀という三人の女性たちの間で起きていた出来事が次第に明らかになっていき――。終盤には気持ちよくひっくり返されるのだが、最後にもう一回驚くべき展開になり、ある種の爽快さすらありました。佐伯と三人の女性それぞれの関係性が伝わるよう、台詞が書き分けられていたのも上手いです。

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2022年3月9日(水) 12:00:00 ~ 2022年4月10日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2022年6月上旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第170弾です。 今回のテーマは、「「○○を呼べ!」から始まる物語」です。 物語が「○○を呼べ!」の台詞から始まる妄想を投稿してください。 ※台詞の言い回しが多少違っていても、意味が同じであればOKです!
・「店長を呼べ!」響き渡る悪質クレーマーの怒号。出てきた店長の神対応とは? ・「救急車を呼んで!」振り向くと、人が倒れていた。しかもよく見たら、見知った人物で……。 ・「博士を呼んでください!」私は興奮して叫ぶ。長年の研究がついに実を結んだのだ!
誰かを呼びつける行為は、何かしらのイベントやアクシデントがあってこそ起こるもの。 そんな「○○を呼べ!」から始まるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他サービス等に応募中、または過去に受賞したことのある作品はご応募いただけません。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第171回のテーマは「今日から私は」です。 本コンテストと平行する形で2022年3月23日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第171回の応募期間内に新規投稿してください。応募期間前に投稿した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト