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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第214回「ふるえる」
 お題の抽象度が高かったこともあり、実にバリエーション豊かな作品が応募された今回のテーマ。ストーリーやキャラクター特化など魅せ方も様々でした。  テーマの使い方自体も「なるほど、こんな発想もあるのか」と感心させられるようなものが散見され、大変選考の楽しい回となりました。

大賞

村の女たちにちょっかいをかけて山中の穴に落とされた六郎。そこは巨大な蜘蛛・波多織姫の巣だった……。調子のいい男と、超越した存在たる姫がうまく噛み合っていて、やりとりが面白いです。2人の関係性の描写がとてもよく、のらりくらりしながらもお互い満更でも無い様子が微笑ましい。終盤に訪れる転機によって絆が深まった彼らの、この先の旅路も愉快なのだろうなと感じさせてくれる力作でした。

準大賞

祖父が営む骨董店で店番をすることになった主人公。その日店を訪ねてきた小説家の男が、気になる話を持ち出して……。不気味な導入に始まり、段階を追って明かされていく真実。何が起きているのか確かめたくて、一気に読み進めてしまいました。最後まで読むと、感じていた違和感が見事に伏線となっており、非常に完成度が高いです。怪異の恐ろしさと、それ以上に恐ろしい人の業、いずれもしっかりと描かれた質の高いホラー短編でした。

入賞

美容師の卵である主人公は、母の再婚相手に頼まれ母の入院先へ髪を切りに行くことになり……。娘の気持ちなどお構いなしに再婚を決めた明るく奔放なフィリピン人の母と、そんな母に素直になれない娘。互いに想い合いながらもすれ違っていた親子の関係が、解きほぐされていく様子が胸に響きました。タイトルも含めて惹きつけられるものがあり、テーマをうまく絡めたラストシーンも印象的でした。

佳作

母親から虐待されて育ち、喜怒哀楽を失った主人公。好きでもないのに付き合い始めた妙な彼女の提案で、座禅に行くことになり――。淡々とした文章で進むことで、主人公が抱える痛みがより沁みてきます。そんな事情をものともせずぶち当たってくる、脳筋な彼女とのちぐはぐ感もとても魅力的でした。座禅の前後で違う物語かというくらいにテンションの差があり、主人公の心の靄が晴れたことが肌で伝わってくるようでした。
撮りたいのに撮れないカメラ志望の記者と、ペンを持つことから逃げたカメラマンがスキー競技の取材で出会い、別れるまでを描いたクオリティの高いヒューマンドラマ。カメラマンとトップ選手との関係性も胸アツです。スポーツものでありながら、取材する記者の視点で描かれた物語は新鮮味がありました。それぞれが克服しなければならないものにどう立ち向かっていくのか、という部分にドラマがあり、前に進む勇気をもらえる作品です。
父の再婚でできた新しいお母さんとの距離感にモヤモヤする小学生の賢太。父には幸せになってほしいけど、“母”として受け入れるにはまだ気持ちが整わない。思春期の子供の心情がリアルに描かれており、感情移入しながら読めました。テーマの使い方がカメラの手ブレというのもおもしろく、美沙さんという女性の人となりを伝えるのに一役買っています。
胎動に触れてみたいけどなかなか上手くいかないみーちゃんは……。幼いみーちゃんががんばる様子にほっこりします。幼い子どもから見た妊婦の母親と、おなかの中にいるきょうだいとの世界をやわらかで優しい文体で描いており、家族の温かさや優しさを存分に感じることができました。テーマとの相性もよく、絵本をめくっているような心地で読み進められます。
独り山奥の廃寺に住む鬼のサヨはある日、川で怪我をした少年を助け、治療の間ともに暮らすことに――。村を離れてもなお、「村を守る」という父との約束を果たし続けるサヨの姿が健気で胸を打ちます。明るく真っ直ぐなゼンキチとの出会いは、そんな彼女の転機となるだけでなく、全体的にしっとりとした空気の中で良いリズムを生み出していました。構成や話の進め方も丁寧で、しっかりとした筆力を感じます。

超短編賞

授業中の朗読で、緊張から声を震わせる河瀬さん。そんな彼女をバカにするクラスメイトにむかついていると……。実際にありそうな学校生活のワンシーンですが、きっぱりと注意できる主人公がかっこいいです。河瀬さんに対する彼の想いも瑞々しく伝わってきました。シンプルながら透明感が魅力的な青春ストーリーで、短い文章でもさわやかな読後感を残してくれます。

続きが読みたい賞

現代日本に忍んで暮らす魔法使い。その末裔である妃花は、ある魔法を習得するために厳しい修行に明け暮れていた。テンポよく進んでいくコメディ要素の多いストーリー。特訓シーンには呆れとおかしさで笑ってしまい、非常に明るい作品でした。そうして苦労して体得した魔法で、ついに聞こえた愛猫の心の声。続きも読みたいコメディ作品でした。

トンデモ賞

該当なし

優秀作品

ピックアップルーキー

スケジュール
・応募期間:2024年1月10日(水) 12:00:00 ~ 2024年2月12日(月) 27:59:59 ・最終結果発表:2024年4月上旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第214弾です。 今回のテーマは、「ふるえる」です。 どこかに必ず「ふるえる」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・初陣の時が迫り、武者震いする若き武将。ところが武者震いが止まらなくなって!? ・釣ったナマズが喋り出した!曰く、数日以内に大きく大地がふるえると言うのだが……? ・文学賞の選考会当日。結果を待ち、祈りながら見つめていたスマホがふるえだして……!?
着込んでも寒さにふるえる季節。妄想で心をほっこり温めるか、それとも恐怖で二重にふるえるか……? そんな「ふるえる」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第215回のテーマは「雪の思い出」です。 本コンテストと平行する形で2024年1月24日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第215回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト