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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第220回「引越し」
 引越しは物理的な環境の変化をもたらし、気持ちを新たにできる一方、新天地には不安もつきもの。そんな心理やネガティブな引越し理由との相性の良さからか、いつもよりホラー作品が多かったように思います。  その他にも引越しの規模や解釈などで「そうきたか」と思わされるようなアイデアもあり、予想以上に多種多様な作品が楽しめました。

大賞

参勤交代という大規模な引越しに伴う、複数のエピソードが並行して進む構成が巧みで、描かれていない部分にも大小様々な物語があるのだろうと想像させてくれます。登場人物がみな個性的で、中でも殿が優しく茶目っ気もある、大変魅力的な人物に描かれていました。彼に忠義を尽くしたいと考える家臣たちの気持ちに大変共感できます。映像で観たくなる、完成度の高い作品でした。

準大賞

未亡人となった兄嫁の家を訪れることになった未鈴だが、その家には曰くがあって――。現実を少しずつ狂気が侵食していくようなサイコホラー。“家”に魅入られたかのような友里恵の、些細な言動一つとっても不気味で、じわじわと恐怖がせり上がってきます。オカルト的な恐怖とヒトコワが見事に相乗効果を生み出している、上質なホラー作品です。

入賞

ブラック企業で心身とも擦り減った千里は再就職前に、思い切って田舎暮らしを始めるのだが――。優しい住民たちとの交流、不安を煽る不自然な言動、緊迫の逃走劇……恐怖の緩急のつけ方が非常に巧みで、ドキドキしながらどんどんページをめくってしまいました。一度は安心させてからの、読後にじわじわ不安が増していくラストも非常に印象的です。

佳作

幼い頃、何気なく覗いたベッドの下で、“目”が合った。それ以来、私は隙間が怖くて仕方ない――。有名な都市伝説をモチーフにしたサイコホラー。ほんの少しのミステリー要素が先を読ませ、読むほどにぞわぞわが加速していきます。ラスト2行に蛇足感はあるものの、どんでん返しの終盤と気味の悪さが印象に残りました。
俺が校舎裏で煙草を吸っているのを見た彼女は、言いつけない代わりに、なぜ煙草を吸っていたのかと問い――。諦められない想いを物理的に断とうとしたり、もう二度と会うことがないだろう相手だからこそ秘密を打ち明けられたり。そんな二人がせつなく、非常に共感できました。そんな彼が「最後だから」で行動したラストには、ときめきがぎゅっと詰まっています。
誰かに見られている気がする。そんな親友に相談を受け、美琴は彼女の部屋を訪れるのだが――。冒頭の台詞と他愛ない食事シーンからは、想像もしなかった方向へ話が転がっていくのに引き込まれました。歪ながらもお似合いの二人で、彼女たちの関係が今後どうなっていくのか、想像を掻き立てられます。
勉強をサボる孫に魔法使いが語る、とある村にまつわる昔話。人間の傲慢さを説きつつ、知識というものがいかに大切であるか。ともすれば説教くさくなりそうですが、ファンタジックな世界観や淡々とした語り口も手伝い、伝えたいメッセージがスッと入り込んできました。ただタイトルがかなり雑な印象を受けるので、もう少し考えてみてもいいかもしれません。
常に住み心地の良い家を求め転々としている彼女が、次に選んだのは――? 読み進めるうちに抱く小さな違和感が、ラストでつながった瞬間にインパクトがありました。それらがきちんと意図されているだろう文章もお見事。この短さならではの切れ味で、読後にもう一度最初から読み返したくなりました。

超短編賞

引越してきた夫婦が、規約を破りネコを飼っているらしい。地区委員の主人公はそれを注意しに行くのだが――。夫婦のマナーや態度の悪さに、主人公がどう対応するのかを見守っていると、話は思わぬ方向に。ラストは思わず「そっちかー」と声に出してしまいました。

続きが読みたい賞

長年住んだ家を離れる前に、老女が訪れたある店とは――。記憶をオルゴールの中に留めるというのがファンタジックかつロマンチックで、住んでいる家のことを大切に思えるような、素敵な設定でした。短い中にも老女の人生が伝わってくるような、温かい物語です。他にもいろんな記憶の引越しにまつわるエピソードを読んでみたくなりました。

トンデモ賞

該当なし

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2024年4月10日(水) 12:00:00 ~ 2024年5月12日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2024年7月上旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位20作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位20作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第220弾です。 今回のテーマは、「引越し」です。 どこかに必ず「引越し」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・引越すという友達との別れを惜しんで泣いたのに、引越し先は徒歩数分の場所だった! ・転移魔法を得意とする魔女が異世界人と出会い、“引越し業”を始めることに!? ・PCのデータ引越し作業中、数枚の画像に同じ人物が映っていると気付いた。けど見たこともない人で……。
新生活が始まる季節。準備も片付けも大変な引越しに、誰しも苦労した経験があるのではないでしょうか。 そんな「引越し」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
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応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第221回のテーマは「歌う」です。 本コンテストと平行する形で2024年4月24日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第221回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト