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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第224回「黒」
 色のお題は汎用性の高さからか、毎回応募数が多く、幅広いジャンルの作品が集まります。実に5年ぶりとなった今回の“黒”も例に漏れませんでした。  汎用性が高いということは、より作者の個性を出しやすいということ。実際テーマ被りが普段よりも少ない印象で、選考では様々なアイデアを楽しめました。同時に完成度の高い作品も多く、全体を通して読み応えのあるハイレベルな回となりました。

大賞

若手有望株の水墨画家の元に、突如弟子入り志願の少女が押しかけてきて――。嵐のような激しさ破天荒さと共に始まりますが、それ以降は静謐な空気に満ちており、滝壺から清流に流されるがごとく、気付けば物語の世界に浸っていました。作中に登場する絵の描写も豊かで、目に浮かぶようです。多くの交流を描かずとも師弟の絆が自然と伝わり、様々な感情が胸にこみ上げてくる傑作でした。

準大賞

悲劇に心を閉ざした姫に想いを寄せる魔法使いは、姫を救いたい一心で、ある鏡を贈るのだが――。おとぎ話のような語り口ととっつきやすいテーマで、すっと物語に入っていけます。しかし決して単純ではなく、心持ち一つで弱くも強くもなる人の心の在り様を、“鏡”というアイテムを用いながら、わかりやすく描いているのがお見事でした。

入賞

女流画家が自宅で殺された。友人の日本画家が容疑者に挙げられるが、不審な点も多く――。愛憎絡み合う複雑な人間関係を、この文字数で見事に描き切っており、密度の濃いミステリーに仕上がっています。始まりと終わりに描かれた「どんな形であれ愛する者を手に入れたい」という強い思いが、物語をより強く、ビターに印象付けてくれました。

佳作

妻が出ていき眠れなくなった男。24時間営業のカフェで時間を潰していると、不思議な男に声をかけられ――。妻に捨てられ傷ついた男とワケありそうなホストとの心の交流……かと思いきや、まさかのどんでん返しに、温まりつつあった心が急冷されるようでした。ブラックコーヒーというアイテムがラストの一言の恐ろしさを増しており、主人公がどうなってしまうのかを否応なしに想像させてくれます。
人の感情が色彩で見える虹花。けど自分の感情は真っ黒にしか見えなくて……。自分の能力に悩む虹花と、底抜けに明るい彩生のキャラクターが噛み合い、物語をぐいぐい引っ張っていました。なぜ虹花自身の感情が黒く見えるのかの答えも明解で優しく、温かな読後感を味わえます。
白と黒の国が永く憎み合う世界で、黒の国の女騎士団長が白い鳥を助けたことから始まる、壮大なロマンスファンタジー。魅力的な主人公達のかけ合いが微笑ましく、変身したきっかけにも思わずにやにやしてしまいます。流れるようにドラマチックな展開に移行していくので、読者を飽きさせることなく、最後までしっかりときめかせてくれました。
浪人生が拾った黒いカード。そこには「100日前に戻りたいか」と書かれており――。代償があることは当然予想がつくのですが、因果応報と言うには理不尽すぎて、主人公を哀れまずにはいられません。定番ながら不気味なオチも印象に残ります。ただもう少し取引に公平性を持たせた方が、読者に与える感情がはっきりしたのではないでしょうか。
13年ぶりに訪れた田舎町。同窓会のためだったが、その招待状には不可解な写真が入っていて――。主人公が感じる違和感のざらついた感覚などの伏線の張り方、またそれらを含め、じわじわと主人公と読者の不安を煽っていく構成が巧みな一作。暑さが残る夏の間に読みたい、ちょっとせつないホラー風味のミステリーでした。

超短編賞

憧れの先輩とのサシ飲み中に明かされた、先輩の黒歴史とは!? タイトルに偽りなしのハートウォーミングさで、その状況はたしかにつらいなぁと共感しつつもほっこり。2人の関係が進展しそうなところからのまさかのオチには、思わず声を出して笑ってしまいました。ずっとこのノリで付き合っていってほしい、ラブ2コメディ8なラブコメ超短編です。

続きが読みたい賞

自分の影と引き換えに願いを叶えてくれる“影喰い様”の噂を耳にした女は、彼氏の浮気相手への報復を願うが――? 序盤から登場するミステリアスな女性が導き手として、物語を牽引していました。最後まで読むと、途中の台詞などに細やかな仕込みがあることがわかります。まだまだ掘り下げを期待したくなるラストでした。

トンデモ賞

教室で拾った100Bの鉛筆。それを落としたクラスメイトは未来人だった!? とにかくアイデアが素晴らしい。100B鉛筆の楽しい使い方を考える場面では一緒になって考えたくなりました。それだけにその後の展開には絶望感すらあり、同時に納得感もあります。トンデモなアイデアをそれだけで終わらせず、見事に物語として昇華させた手腕に脱帽です。

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2024年6月12日(水) 12:00:00 ~ 2024年7月14日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2024年9月上旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位20作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位20作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第224弾です。 今回のテーマは、「」です。 どこかに必ず「」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・突然現れた黒服の集団に囲まれた挙句、「お迎えに上がりました」と言われて!? ・誰もが認める黒魔術の才に恵まれた私。けど本当は、白魔術で人を助けたくて……。 ・ある日突然、世界中の海が黒く染まって以来、海から不気味な化け物が現れるようになり……。
すべてを飲み込む色、フォーマルな色……様々なイメージを併せ持つ“黒”という色。最初に思い浮かべた“黒”は、何ですか? そんな「」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
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応募の辞退について
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次回予告

次回、妄想コンテスト第225回のテーマは「雨上がり」です。 本コンテストと平行する形で2024年6月26日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第225回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト