引きこもりの兄を養う19歳の鞘は、家族や職場のストレスが溜まり、人間関係に疲れきっていた。そんな鞘の元に”百日限定で家族になりませんか”という怪しげなチラシが届く。気分転換に参加を決意した鞘はそこで奇妙な新しい家族と出会う。家族とは何かを問いかける、感動のヒューマンドラマ。

「死にたがり」の私は、皮肉屋で世話焼きの少年と一緒に暮らしている。「俺の知らないところで、勝手に死んだりするなよ。」その言葉が今日も、私をこの世に繋ぎとめる――。幸せを求め寄り添う、ひとりぼっち二人の始まりと終わりの物語。

本が好きな直は、小学校の先生・舞が、数学教師の直の父に恋している事を知っている。二人をくっつけようと「銀河のお祭り」に誘う直だが、鈍感な父は数学の問題を条件に出してきた。数学が苦手で困り果てる直。すると、最近ちょっかいをかけてくる細道くんが問題を解き始め――。それぞれの想いと、家族の絆。四人の成長を描くヒューマンドラマ。

かつて映画監督として名をはせた、頑固で偏屈な父親。大好きな母を裏切った父を、娘の奈々はずっと許せずにいた。しかし、彼氏のプロポーズを機に、奈々は父を訪ねることにする……。葛藤する親子の揺れ動く感情を丁寧に描いたヒューマンドラマ。

イケメンなのに恋愛下手の修は、大学卒業後すぐに結婚した彼女、杏子とうまくいかず、ついに赴任先のケニアに離婚届が送られてくる。沈んでいく気持ちを抱え、一度は異国の地でアルコール中毒にまでなってしまうのだが……。不器用な夫婦の、すれ違いと再生の一年間。

大学4年生の蒼太は、ある雨の日、あじさいの傍らで傘を差さずに佇む女性を見つける。哀しげな様子に、思わず傘を差しだそうとした瞬間、なんと彼女は透き通って消えてしまう。その一瞬の邂逅で、蒼太は彼女に心を奪われて……？静かな雨の中紡がれる、神秘的な愛の物語。

あなたの失せ物探します。エンがあるなら見つかります――『うせもの屋』は、あちらとこちらのあわいの店。女子高生のカコと、偉そうな美青年、コモリが営むこの店には、「なにか」を探すお客さんが、ぽつりぽつりと訪れる。繋がり、途切れ、結びなおす。縁をめぐる連作短編。

水族館で生まれた小さなイルカ・ヒュー。生まれつきハンデを背負っている彼は、ある日のショーで全然笑わない人間の女の子を見かけ、彼女を笑顔にしたいと強く思うようになって……？小さなイルカが勇気をくれる、優しい絆の物語。

庭の古い桜の木の下で、5歳のはなは不思議な男の人に出会う。現代では見かけない恰好をした彼は、どうやら他の人には見えない様子。毎年桜が咲く間だけ現れ、はなと言葉を交わすのだが――。桜の下、戦争に翻弄された青年と、今を生きる少女の人生が交錯する、切ない現代ファンタジー。

感情が色として見えるという特殊な力をもつ鷺沼色は、高校で美しい色彩の感情をもつ虹村真白に出会う。ところが夏休み明け、真白の感情は真っ白になっていた――。彼女の心に起きた異変とは？色彩に彩られたボーイミーツガール。

桜木奏多は、次々とものを忘れていってしまう病気にかかってしまう。当たり前のことができなくなっていく。大切だった彼女のことさえ忘れそうになる。不安に駆られた奏多が日記代わりのSNSアカウントを作ると、同じ病気の人からメッセージが届いて――？喪失の中でもがく青春ストーリー。

放送研究部に所属する橋本創（はしもとはじめ）は先輩にお願いされ、渋々学園祭制作の手伝いをすることになった。調べもののため図書館を訪れた創。彼はそこで姿見越しに愛らしい少女を見つけ、恋をする。「この大学の図書館には、優しい女の子の幽霊が住んでいる」果たして少女の正体とは？心があたたまる純愛ストーリー。