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未完結でも参加できる 執筆応援キャンペーン「架空の法律」

大賞

仮死刑制度。被害者とまったく同じ設定で、仮想世界において執行される死刑。新しい設備、手順、制度の説明が丁寧なので、とても真に迫っています。同時に受刑者のエピソード記憶の消去によって、更生を促す。仮死刑制度によって救われる人間と、憎しみを増す人間がいるのは、これから先の展開に対して物語的にも、哲学的にも興味を抱かせます。また淡々とした描写の乾いた筆致が作品の世界観にピッタリでした。

準大賞

一定以上の霊障を規制する心霊現象規制法。一切の心霊現象を禁じるのではなく、法が定める範囲で行なえ、というロジックが素敵です。優秀な心霊裁判官と、ポンコツな助手の対比は、霊を怖がるか否かで見せるのでわかりやすい。裁判のための特殊ツールは、条文や判例に照らして正しくないと霊を制御できない。この設定が“法廷モノ”としてのバトルを盛り上げます。法律に精通した強敵との対決は熱くなる展開でした。

入賞

70歳になった国民は全員「Paraiso」に収容される。そこは本当に楽園なのか。一体、どんな場所で何をさせられているのか。この巨大な謎で、物語全体をグイグイ牽引してくれます。自分の祖父が「Paraiso」に送られ、高校生の克也の生活に徐々に変化が生じます。現実は、見た通りの平和で民主的な世界なのか。物語の底につねに不穏な空気が流れ続けている。まだなにも起きていないのに、不安定な日常の描写が巧みなストーリーです。
AIによってメンタルまで高度に管理された社会。なぜクラスメイトは自殺できたのか。冒頭で提示される謎が読み手の好奇心を刺激します。家族をサポートする人工代理母マザーG。ヒロインはこの世のありように居心地の悪さを感じます。ティーンエイジャーの反発心と純粋性が伝わってきました。心情描写と状況説明のバランスがほどよい文章です。ミステリー、SF、そして淡いロマンスも交えた逸品でした。
緻密に組みあげられた設定に圧巻です。現実感を増す工夫が随所に見られます。たとえば、数値を入れること。サイズ、広さ、時間など具体的に示されるので、読者も想像しやすいでしょう。硬質でロジカルな文体も状況を的確に描写しています。クローン技術の進化に対して、法律で規制する未来社会。主人公は特定保健衛生調査官。冒頭、クローン法の執行が初めての人物を立ち会わせて、読者にその世界観を説明する過程も丁寧でした。
被告はAIロボット。その弁護をするセルジオ。人妻と不倫し、離婚にいたらしめた罪を裁かれます。ロボットが夫婦の家で働いていた回想場面と、法廷が交互に描かれていく。登場人物達が立場によって、複雑な思惑を抱いている関係をうまく表現していました。とくにクセのあるロボット製作者のキャラは、人間の本質を突いた言動が悪魔的です。やがて、愛とはなにか、人間とはなにかのテーマにまで踏み込んでいく良作です。

佳作

ひきこもり禁止令の施行。名もなき者たちの抵抗のためのツール“霊能ゲーム”。胸が躍る設定です。冒頭の政府機関とのチェイスシーンは、アクションの臨場感が満点でした。描写が非常に映像的です。他人の体に精神を侵入させ、周囲にバレないように生活を送る。この駆け引きのスリルと、ミッションの達成のハラハラはスパイ物の醍醐味でもありました。壮大なドラマの導入部が、すでに読者を引き込んで放さない魅力に溢れています。
タイトルだけを見ると、並行世界の犯罪を、別の世界の人間まで連帯責任とはメチャクチャだと感じます。しかし、片方が死刑になってしまえば、自分の人生も終わる。並行世界の人間同士は命も連動している設定なので、説得力があります。犯罪をおかした当事者以外にも、責任を追及していく制度が、現代の社会問題のメタファーともとれます。構図としては、冤罪をかけられた主人公が必死にあがくドラマにも見える作品です。
3時からの1時間の概念が消えてしまった。さらにタカヤマと捜査する相棒が次々と失踪していく。3時が盗まれる、という大胆な設定でありながらフーダニットより「ホワイダニット(なぜなのか)」に重きを置いていて面白いです。文章表現や、キャラ同士のやりとりにユニークなオリジナリティがあります。行き当たりばったりに見える進行や、ご都合主義の展開もありますが、先へ先へとページをめくらせる物語のパワーを感じました。
サッカー部と映画同好会。2つのアオハルエピソードが交互に語られていく。とても引き込まれる文章です。状況が的確に浮かび、キャラの心情が伝わり、そのうえで読者の予想を上回る展開を見せていく。登校途中に人気女優から交際を申し込まれる紘川。謎の少年カムパネルラ。問題のある犯罪者更生プログラム。どれもワクワクするピースです。散りばめた要素が収束して描かれる物語の“タペストリー”がとても楽しみでした。
自然学校で訪れた島に取り残される中学生たち。やっと来た救助のヘリに搭乗してみると「人口半減法」による無慈悲なサバイバル闘争が待っていた。少々、進行が粗く感じる面もありますが、予想外の展開が続くストーリーはページをめくらせます。この先がこうなるだろうと思わせて、その裏を突いて物語が動いていく。裕二は、仲間思いで正義感の強い王道の主人公。熱い心情がストレートに描かれていて好感がもてました。
多重結婚が可能な法律に対して、ひと捻り加えています。資格者は、体重80キロ以上の女性に限る。75キロの瑠々が条件を満たしていると、会社の同僚が誤解するのはありそうな場面です。また自分が思っている以上にモテモテだった状況も面白い。新しい法律ができたことで、人生が劇的に変わっていく。ストーリーも、キャラクターも、冒頭の地味なスタートに比べて、後半はまるで別物に感じるほど多幸感に溢れています。
主人公のリク、親友の片桐、ヒロインの沙里の3人が個性的で輝いています。短い台詞にもそれぞれの“らしさ”が込められており、なにげない会話さえ堪能できます。恋人が1年間いない人間は恋愛法によって逮捕される社会。授業中の教室で恋愛の検閲が突然始まる。個人の自由である恋愛を強制されるディストピアの恐怖が伝わってきました。レジスタンス活動で恋愛が武器にも、脱法にも使えるなどユニークな展開で今後が楽しみです。
魔族のルシヴィルが王となった惑星ランサ。立法が分権していない場合、支配者に有利な法律が作られてしまう恐怖を描いています。各種族に友がいる人族のムートは、多様性を重んじる主人公。無用な戦いを避けるための武装。ファンタジーの世界観でありながら、扱っている問題は現代の国際社会にも通じます。多くの要素があっても魔王打倒という目的が明確なので、ストーリーの軸がブレない少年の冒険譚でした。
この作品の主人公を刑事コンビにしたのは秀逸です。遺族側ではない視点から語ることで、深刻で重くなりがちなテーマを緩和しています。ワイルドな先輩と真面目な後輩という組み合わせもベストペア。事件発生から15年後に被害者遺族に捜査権が付与される法律は、物語的な訴求力があります。初めてのケースなので、全員が手探り状態。そのうえで犯人が見つけられるかの要素も、物語を引っ張るので申し分ありません。
中学卒業間近で受けるポッド研修。一日だけバーチャル世界で学習するシステム。しかし、本当の目的は別にあって……。小学生の裕太の視点で語られるので、その陰謀論が真実なのか否かについて定かではありません。だからこそ、彼の気持ちにシンクロして、一緒に冒険をしている気分になれます。のんびり展開から中盤の激変につなぐのも緩急がついた演出です。事象を明瞭に表現した文章で、とても読みやすかったです。
「絶対根性法」を描いた、すこぶる愉快な作品です。まず「根性」というワードのチョイスが最高でした。抽象的に思えて、ひたすら耐え忍ぶというわかりやすい尺度にも感じます。時代錯誤な価値観を強制される社会は、現代の問題にも通じます。軍事政権下でデフォルメされた登場人物のド根性っぷりは読み手も歯を食い縛りそうな描写です。同時に、理不尽な要求を過剰に求められる愚劣さと虚しさが否応なく伝わってきました。
将来こんな法律ができるかもという思考実験を作品化しています。政府が健康促進に対してエスカレートした「糖質制限法」。糖質取締官が食後2時間後の血糖値を測定するなど、薬物検査を思わせるテストにリアリティがあります。本人が正常と主張しても、数値が基準値を越えれば罰せられる。トトリの汀と水香の“バディ感”が心地よくストーリーを進めます。エビデンスを説明する文章も論理的で、とてもわかりやすかったです。
募集概要
良い作品を執筆したい!というあなたの気持ちをエブリスタが応援します! 「未完結でも参加できる 執筆応援キャンペーン」!! 【コンテストの特徴】 執筆意欲を応援するために、3つの特典をご用意しました! ・優秀15作品以上に、作品へのアドバイス ・大賞受賞者には、キングジム社の「pomera DM200」をプレゼント ・準大賞作品以上は完結後に、「完結作品特集」へ掲載 【こんな方にオススメ!】 書きかけの作品、眠っていませんか?  書きかけの作品も積極的に応援します!  眠っている作品、構想段階の作品でも、どしどしご応募ください! 昔書いた作品、アイディアはいいと思うんだけどなあ……  このコンテストに応募すれば、さらに良い作品にできるかも!?  ぜひ昔の作品にもう一度光を当ててみてください! どんな風に続きを書くか迷ったときは、こちらの記事を参考にしてみてください。 書きたい気持ちに火がつくメディア monokaki(創作ハウツー)
募集テーマ
第22回目のテーマは「架空の法律」です。
・健康のため国民全員、政府が定めたスポーツを義務化する法律ができた。運動音痴によるレジスタンスが結成されるが……? ・役人立ち合いでの復讐が法で認められた。様々な「復讐」を目の当たりにした役人が残した、手記の内容とは。 ・幽霊の存在が公的に認められた!すると幽霊団体代表が、参政権まで主張し出して!?
など、「架空の法律」が登場する小説を募集します。 次から次へとページをめくってしまうような、続きが気になるお話をお待ちしております!
スケジュール
・募集期間: 2020年6月15日(月) 12:00:00 ~ 2020年8月16日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表: 2020年10月下旬頃予定
賞
大賞 1作品 ・賞金3万円 ・作品へのアドバイス ・キングジム社「pomera DM200」をプレゼント ・完結後に特集掲載※ 準大賞 1作品 ・賞金2万円 ・作品へのアドバイス ・完結後に特集掲載※ 入賞 5作品 ・賞金1万円 ・作品へのアドバイス 佳作 10作品以上 ・作品へのアドバイス
大賞の方にプレゼント!
※ 特集掲載は、受賞から半年以内に完結した作品を対象とさせていただきます(投稿時に完結している作品も含まれます)。完結後、受賞連絡時にお伝えする宛先へご連絡ください。ご連絡を頂けなかった場合は、特集掲載できない場合がございます。 ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタ公式SNS等で配信、紹介等される可能性があります。
応募要項
・文字数は20,000文字以上 ・20,000文字まで読んで選考、作品へのアドバイスをいたします。 ・連載中の作品も応募OK! ・すでに完結している作品 並びに エブリスタ内の公式コンテスト及び他サービス等の投稿コンテストで落選した作品を、募集内容に沿うように再構成してご応募いただくことも可能です。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。
注意事項
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コンテストの注意事項(必読)