新作セレクション[22/10/27]

9月後半に投稿された作品の中から、夢を見なくなった世界で夢を売るディストピアSFや、腹違いの妹と暮らす家族食堂ドラマ、哀しき民間信仰ホラー譚など、幅広くご紹介させていただいています。 最後までじっくりとお楽しみください♪

イチオシ作品

綿谷一色は歌うことが好きで、コーラス隊でソプラノをつとめていた。しかし中学二年生の時、病気で喉を手術して高い声が出せなくなってしまう。絶望する彼女の目に、年齢も性別も不明で「walzer(ワルツ)」と呼ばれる覆面アーティストの絵が飛びこんできた。それは一色に向けて送られたかのようで、walzerの絵に勇気づけられた彼女はまた歌うことを決意する。そして一色はあるきっかけでwalzerの正体を知る……。青春と芸術の物語。

SF

30年ほど前から、誰もが夢を見なくなり、それが脳に悪影響を与えていた。夢を見ないままでいると「ロッド」と呼ばれる一種の脳死状態となるため、人々は特殊なチップを専用スキャナで読むことで見られる「擬似夢」を発明した。そんな世界で、ただ一人夢を見ることができる男・ノアは「夢屋」として夢のオーダーメイドを行っていた。ノアの元に訪れる者たちは、一体何のために作られた夢を見るのか――。ディストピアSF。
2国間の領土問題に端を発した紛争がやがて世界戦争となり、文明は終焉を迎えた。生き延びた人々は、秩序を失った世界の中で身を寄せ合い生きている。その内の一人である少年には介助の必要がある弟がおり、彼のためにも稼がねばならなかった。襲い来る無人機や賊徒に怯えながらジャンク山で廃品を集め、必死に日々の糧を得ていた。そんなある日、少年は偶然出会った男に自分と弟の名を呼ばれた――。終末世界のヒューマンドラマ。

ホラー

美緒と美織は遠い親戚同士で、双子の姉妹のようにして育ってきた。美緒が本家、美織が分家の人間なのだが、ある時美織が、本当は自分たちが本家で、美緒の祖父がずるをしたから分家になったのだといった。その頃から美緒の周りで奇怪なことが起こり始める。その結果、美緒と美織は離れ離れになってしまう。それから5年後、2人は再会し、過去に何があったかを知り、新たな秘密と向き合っていくことになる……。民間信仰ホラー譚。
小春はできの良い双子の弟の春渡と比べられ、差別されて育っていた。ただひとつ、弓道だけは弟に勝っていたが、それに打ち込むことすら両親に妨害されていた。そんな彼女は、団体戦である全国大会の、最後の矢を射る役割を任されていたが、調子を崩し、肩を痛めてしまった。彼女は友達に聞いた「涙うつし」という厄払いの都市伝説が自分を助けてくれるとそれにすがるが、そこにはある秘密と悪意が隠されていた……。オカルトミステリー。

ヒューマンドラマ

東京で教師をしている小夜は、祖母・久理子の訃報を聞いて、仙台へ向かった。祖母は、「咲くま」という食堂を切り盛りし、小夜の腹違いの妹にあたる、織衣という少女と共に暮らしていた。織衣の両親はすでにおらず、一人になっていた。事情を聞いた小夜は、久理子の食堂を継いで、織衣と共に過ごすことを決意する。しかし織衣には小夜のことが伝わっておらず、距離を感じるまま同居関係がスタートして……。家族食堂ドラマ。
優夜は画家だが、2年間画を描いていない。中学からの友人であり、全国でも有数のアートギャラリーで働く鎌崎や、優夜の住む家の大家の孫である高校生・朝臣、高名な画家である火霜らに見守られながら、日々を送っている。みな、過去を振り返りながら、新しい出会いを経験し、それは新しい想いとなって絡み合いながら変化していく。そんな日々の中で優夜は再び描くことを始める……。芸術を通して語られる、ヒューマンストーリー。
小学6年生の12歳・しずかは、祖父と二人暮らしだった。その祖父が、突然倒れてしまう。信頼できる大人である、担任教師の青木に力を借り無事を祈るが、そのまま帰らぬ人となった。身寄りがなくなったしずかに、青木が共同生活を申し出て、しずかは彼に引き取られることになる。そして、二人のすれ違いがありながらも孤独ではない日々が始まる。その中で、青木の抱えていたトラウマが明らかになり……。切ないヒューマンドラマ。

現代ファンタジー

黒田夏葵には、入社したばかりの新人・金井蓮がなかなか働いてくれないという悩みがあった。そんな彼女がある時、犬のような生き物を助けると、次の日、金井がやってきて、自分は昨日助けられた狐なのだといった。初めは信じなかったが、確かに狐だということと、金井が夏葵も推しているゲームコンテンツのファンだと知り、彼の提案を受け入れる。そして金井は、夏葵の二次創作活動を手伝うことになり……。オタク狐と同人女の同居ファンタジー。
学校に居場所がないアンリーヒは、母親に「もう学校行きたくない」と吐露する。すると母は、崖の上にある家に住むウィーラッチという魔女が、貴方のことを救ってくれると言う。その魔女はおばあさんで、アンリーヒの悩みを聞き、手作りのお守りをくれた。アンリーヒが魔法を信じて行動を起こすと、彼の周りは大きく変わり、友達ができるようになっていった。そして元気になったアンリーヒに、魔女はある告白をする――。暖かな魔法の物語。

ミステリー

家族と片足を一夜にして失った桜瀬かなたは、人を遠ざけ引きこもっていた。そんな彼女の、唯一の友人・島崎波那子をつてにして、中園遊新という少女がやってきた。そして何が目的だったのかわからないまま、遊新は去っていった。その後、遊新は結婚すると言って得体のしれない中年と暮らし始めたと、遊新の幼馴染に聞かされ、かなたは遊新の真意を確かめるために動き始めた。するとその先には恐ろしい事件が――。青春ミステリー。

恋愛

32歳の時田遥子は、大手出版社から独立した。出版社を辞めたのは、江上龍也という男との別れが原因だった。遥子は絶望の底にいた龍也を文筆家としての成功に導き、そして彼を深く愛するようになったが、龍也は別の女を愛していた。それを許せず断罪したことで多くの人を傷つけ、そして自らも深く傷ついていた。そんな彼女が龍也とそっくりな顔をした男との出会いにより、大切なことを思い出していく……。切ない大人の恋愛物語。
理由あってウェイン城に身を隠し、そこで下働きをするマリアは、慣れない仕事でドジを繰り返した結果、地下牢に囚われた殺人の疑いのかかった男の世話を言いつけられる。秀麗な容貌のその囚人は、マリアを拒否するが、彼女が献身的に囚人の面倒を見続けていると、彼は心を開くようになっていく。ある時彼は自分の名前を告げ、マリアにペンダントを託す――。素性を明かせない王女と王女を探し求める皇太子の、すれ違い溺愛ストーリー。
大隅怜と伊藤美羽は、それぞれが告白を断っていた所で出会った。二人は誰とも付き合う気がないのに毎日のように言い寄られており、美羽は、その対処に困っているという悩みを抱える同士であると悟る。そして彼女はお互いの異性避けのため、偽りの恋人同士になろうと怜に提案した。怜は困惑しながらもそれを受ける。そして彼女とのつながりの中で、美羽の残り時間が長くないことを知っていき――。出会いと別れの純愛物語。
大菅葵は水曜日に休みがとれることに拘っていた。会社では水曜休みに固執する理由は、彼女が水曜日休みの彼氏にベタ惚れで、彼氏のために空けているから、ということになっている。しかし実際は、積み重なるトラウマから、水曜日を怖いと感じており、水曜日に外に出たくないからなのだった。そんなある時同僚から、彼女と同じ様に、「水曜日が怖い」と言う人物がいると教えられた……。人と違った悩みをもつ2人のヒューマンドラマ。

青春

綿谷一色は歌うことが好きで、コーラス隊でソプラノをつとめていた。しかし中学二年生の時、病気で喉を手術して高い声が出せなくなってしまう。絶望する彼女の目に、年齢も性別も不明で「walzer(ワルツ)」と呼ばれる覆面アーティストの絵が飛びこんできた。それは一色に向けて送られたかのようで、walzerの絵に勇気づけられた彼女はまた歌うことを決意する。そして一色はあるきっかけでwalzerの正体を知る……。青春と芸術の物語。
中学3年生の雨宮翔太が通い詰めている「よつば食堂」で、一番安い親子丼を食べていると、見覚えのない少女がやってきた。春休みが終わるまでの間に2度、その少女に会うが話もせずにいた。そして新学期、彼女は転校生として翔太と同じクラスの一員となり、榎本凛という名前だと知る。その後、よつば食堂で凛と話をすると、お互いがよく似た辛い境遇の中にいることを知り、少しずつ惹かれ合うようになっていくが――。運命に抗う青春の物語。
高校2年生の女子・鳴子あかりは、両親を亡くしており、叔父である大学院生の鳴子聖と、古本屋の店舗を兼ねた自宅で暮らしている。あかりは曽祖父が始めて母が続けていた古本屋を存続させたいと考えているが、問題は山積みだった。ある日あかりが店番をしていると、見目麗しい男性がやってきた。彼は涼夜凪城という名の聖の友達で、3人での同居生活がはじまることになった。そこからあかりの周りは大きく動き始める……。夢を探す物語。

ファンタジー

ハーズ・ボトリックは、内気で臆病だが敏腕なギルド保安官だ。3年間付き合った最愛の恋人・マイロンに去られて凹んでいても、くじけずに皆のため奮闘している。彼のもとに寄せられてくる様々な事件を、ギルドの受付嬢・エレナと共に次々に解決していく中、ハーズは彼の元を去ったマイロンに訪れた運命について聞かされた。それを知った彼は……。決まりきらない最強ギルド保安官の冒険ファンタジー。
賊に襲われ村が焼け落ちた中、一人の男だけが全てを失い生き残っていた。彼の前に現れた旅人の力により、その男は、永遠に生きる運命と引き換えに吸血鬼となった。数百年後、吸血鬼となった男・ルイの前に、知るものが僅かである、彼の真名をいう青年が現れる。彼はセプテントリオーネスと名乗り、ルイを「パパ」と呼んだ。その出会いが始まりであるかの様に、彼は奇妙な殺人事件に巻き込まれていく――。ヴァンパイアファンタジー。

歴史・時代

田沼意次治世下の時代。明和の大火により鬼門封じが破壊され、江戸に前代未聞の災厄が迫っていた。その頃、坑道掘りの腕を買われ、格式ある家に引き取られた、石切の一族生まれの宇七は用途不明の長い地下廊を掘らされていた。宇七はその中で江戸に迫っている闇に気づいていき、見習い蘭学者の新之丞、そして平賀源内と共に、呪詛と天変地異に立ち向かうのだった――。友情あり遊女との恋ありBL要素ありの、大江戸歴史活劇。

BL

国立音楽堂で働く越野颯人は、天才ピアニスト・小原悠のファンだった。その悠のコンサート当日、慌ただしく皆が働く中、人手が足りないピンチを、なんと悠本人に助けられる。その日、支配人と悠が廊下で話しているのを聞く。どうやら悠がマネージャーを探しているらしい。颯人はそれを聞いてすぐに現職の退職願を出した。悠は颯人を気に入り、晴れて彼のマネージャーになるのだが、悠はとんでもないワガママ王子で――。BLコメディ。
レオナールは友人の結婚式の後、友人を心から祝福すると共に、本気で誰かを好きになったことがない自分を寂しく感じていた。そんな彼が、夜更けの村で、企業を経営しているニューヨーカー・ルイスと出会う。ルイスは鞄を盗まれた上迷子になっており、レオナールは彼に宿の提供を申し出た。ルイスは彼に対して苦手意識を感じるが、レオナールについて知っていくことで二人の絆は深まっていく――。フランスのプロヴァンスで巻き起こるBLストーリー。

イラスト

抱え込んだ痛みが、閉じ込めた想いが、涙となって溢れ出る……。研ぎ澄まされた美麗イラスト。
冷たい空気に身を包まれ、青年と少女は何を想う――。メランコリーな冬の海のイラスト。

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