不思議な尻尾と時々生えてくる角をもった少年・おみは、龍神様だった。千年生きてきたおみだけど、龍神としてはまだまだ子供。だからなにかにびっくりすると、すぐにみぃみぃと泣き出してしまう。おみが泣き出すと、外では雲が広がり、雨が降り出す。それを分かっているおみは、室生涼太という青年と共に、この世界に存在する様々な感情のことを学んでいた。古本屋の青年と食いしん坊で泣き虫な龍神の子供が繰り広げる、読めば癒されること間違いなしの現代ファンタジー。

世界とあまたの命を創り出したとされる白き神々、通称白神の存在を信じる神社の娘・深草菖蒲は、ある日、森の中で怪我を負った馬の白神・馬白と出会う。馬白は、神々を狙う賊人・神狩達に追われていた。そんな馬白の傷を手当して、馬白からの信頼を得た菖蒲だけど、彼女のもとに神狩達が押し寄せてきて――。馬白からの提案により馬白の守護者となった菖蒲は、時が流れ18歳になった。今日も彼女は巫女装束を身に纏い、馬白と共に生きていく。和風ファンタジー。

企画課に所属する27歳の森下優希乃は、仕事も恋愛も順風満帆な日々を送っていた。しかし、課長に勧められ参加することを決めた社内コンペで、交際している企画課のエース・髙山さんの裏切りが発覚し、それから全てがうまくいかなくなってしまった。そんなある日、疲れ切ってぼんやり歩いていた彼女の前に現れたのは、行き場のない小さな猫とその猫を見守る男の子。子猫を保護したことをきっかけに、優希乃に新たな出会いが訪れて――。別れを経験した女性の純愛譚。

19世紀、ロンドン。男爵家令嬢のレジーナは、ロンドンの社交パーティーシーズンに、その会場として自身が持つセカンドハウスを貸し出そうとしていた。例年通りであれば今年も借り手探しに難航するはずが、婚約者・ディブが借り主を探してくる。しかし、ディブは借金を作るたびレジーナにたかってくるような放蕩男。そんなディブが連れてきた借り主は、やっぱり怪しさ満点で――。個性豊かな使用人たちと貴族令嬢が、自身の資産を守るために立ち上がる。歴史小説。

【未完結でも参加できる 執筆応援キャンペーン「大正浪漫」受賞作】全国から良家の娘が集まる小石川高等女学校に通う少女・浅岡悉乃は、休日に友人と浅草へ出かけていた折にスリの現場を目撃し、一人の青年の財布を取り戻すことに成功した。けれど、それをきっかけに自身の隠していた過去が明らかになり、悉乃は女学校で周囲から浮いた存在になってしまう。そんな悉乃の心の支えとなったのは、彼女がスリから救った青年・武雄だった。大正を舞台に、人に言えない過去を持つ少女と、走ることが好きな青年の暖かな交流を描いたヒューマンドラマ。

人間界とは別に、魔族の住む魔界が存在する世界で、聖女リーリアは、勇者たちと共に魔王を倒すために魔王城へと向かう。しかし、勇者は魔王に呆気なく負けた上、リーリアを転ばせると逃げて行ってしまった。転んだ拍子に頭を打ち、気絶していたリーリアだけど、目が覚めるとベットに寝かされていた。そこで彼女は、魔王が自分を助けてくれたと知り――。居場所のなかった少女が、イケメン魔王と過ごすことで自分の居場所を見つけていく異世界恋愛ファンタジー。

【未完結でも参加できる 執筆応援キャンペーン「異能/幻想ミステリー」受賞作】辻堂優には、成仏できずにこの世にとどまっている霊を見ることが出来るという能力があった。彼女はその能力をもとに、死者をむやみに近寄らせないという力を持つイトコの薫と一緒になって、行方不明者を探す事務所を営んでいる。他の事務所と違うのは、彼女たちが探しだす人が“死者”であるということ。ショッピングモールに居た少女や、別荘を訪れる予定だった男性。二人の元には次々と行方不明者捜索の依頼が舞い込んできて――。時に切ないヒューマンドラマ。

【未完結でも参加できる 執筆応援キャンペーン「大正浪漫」受賞作】大正12年。20歳の青年・祥太郎は、夜の浅草で一人の少女に声を掛けられる。見たところ13～14歳くらいだろう彼女は“銘酒屋”――すなわち私娼を売る店で働いており、名を玉鈴といった。過去の傷にとらわれ続けていた祥太郎だったが、天真爛漫な玉鈴と時間をともにするうちに、だんだんと心が解けていく。けれどある日突然、天変地異が彼らの住む帝都を襲って――。登場人物たちの息吹をまざまざと感じられる、大正時代を舞台に描かれたヒューマンストーリー。

小鳥谷ひよりは、幼い頃から他の人には見えないなにかが見えた。僻地の村に生まれ八歳で両親を亡くしてから、村長の親戚に引き取られ肩身狭く過ごしていたひよりは「お前はこの村の神に見初められた」と当主に告げられる。十五歳になった彼女は、まるで人柱のごとく神・常葉に嫁入りをするが、彼はひよりに妻としての役割を求めなかった。二人はこの地に起きる問題を解決しながら距離を縮めていく。恋愛初心者同士が紡ぐ異種間婚姻ファンタジー。

【未完結でも参加できる 執筆応援キャンペーン「異能/幻想ミステリー」受賞作】死者と生者の世界の狭間にある“魔女の館”に、4人の令嬢が集められた。館の主である魔女によると、彼女たちは全員、何者かに殺されてしまったという。「誰に、どうして殺されたのか」ということを解き明かせれば生き返ることが出来ると言われ、自分の死にまつわる謎解きを始める4人。しかし朧気ながらにも以前の記憶を持つ3人と違い、シセリアは一切の記憶をなくしていて――。読み進めるたび少しずつ謎が解かれていく。綿密に書かれたダークファンタジーミステリー。

どんな犯罪やルール違反にも一切容赦しない、というゼロ・トレランス政策を導入する国で生きるヴァン・クレイグは、2011年にオルディス警視庁に入庁した。人手不足に対応するべく、特殊な能力を警察官に身に着けさせるという警察庁の方針通り、脚力を強化する能力を得たヴァンは、5年後、ブラスポート警察署刑事課強行犯係に異動し、刃物を振り回す青年を取り押さえる。けれど青年の事件の背景には職場でのいじめがあって――。正しさとは何かを問う、サスペンス小説。

警察官だった両親と妹を亡くした佐々幸守は、刑事となって働いていたが、ずっと追い続けていた事件の犯人に肩を撃たれ、生死を彷徨うことになった。一命はとりとめたもののPTSDに悩まされ刑事をやめた彼は、高校時代の同級生で、変わり者の犯罪心理学者・左門寺究吾と再会する。成り行きでルームシェアをすることになった二人は、幸守が高校時代に書いた推理小説を模倣する連続猟奇殺人事件に巻き込まれていき――。事件の裏に隠された真実を追うミステリー小説。

進行性のすい臓がんとなり、余命僅かな母・琴子のたっての願いにより、理一は母と共に彼女の生まれ故郷である村へ行くことにした。山奥にありインフラが整っていないそこで、理一は朝一番に山を降りなければ死ぬ、という恐ろしい話を聞く。時を同じくして、ある事情を抱え東京から村にやってきた女性・冬子と出会う理一だが、果たして二人は無事に山を下りることが出来るのか。そしてこの村に隠された恐ろしい秘密とは――。閉鎖的な村を舞台にしたホラー小説。

幼少期の出来事をきっかけに無限の命を得た僧・栄春は、とある小さな村で暮らしていた。そんなある日、水垢離を行うために川へと向かった栄春は、そこで足に怪我を負った美しい少年を見つけ介抱した。すると、人魚を思わせるような不思議な雰囲気をたずさえていた少年は「吾を娶られませい」と迫ってくる。しかも、栄春の過去を知っているらしい少年は、自分は「観音の狐」だ、と名乗ってきて――。室町時代を舞台に描かれる、仏教をテーマにしたファンタジーBL。

軽度の潔癖症を患う大学生・千紘には、ずっと好きな人がいた。長身で理知的で、ちょっと人見知りな年上の男・律だ。高1の夏休みに特別な夜を過ごして以来、彼のことを忘れられないでいる。ある日、友人に騙されてお金が必要になった千紘は、アプリで出会った男に身体を売ろうとする。しかし、想像以上に危ない男に捕まってしまい、危機一髪の所を、偶然通りかかった律に助けられ……。想い揺らめく、切ない年の差再会BL。