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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第187回「忘れもの」
 忘れ物は忘れた本人だけでなく、周囲にも不都合を与えてしまうことがある。それを思い出させてくれるような、結果として教訓を与えてくれるお題になったように思います。とはいえ説教くさいだけの話に人は惹かれません。おもしろさを交えながらそれを成立させている作品の数々に感心しきりでした。  また本来意図しない“忘れ物”に意図を持たせることで、人間関係の駆け引きを楽しませてくれる作品も目を引きました。いずれにおいても受賞作は、様々な方向から読者の感情を揺さぶる工夫が盛り込まれていました。

大賞

粗忽者な母の尻拭いにうんざりする鷹也。授業参観の日、そんな母に日頃の鬱憤を爆発させてしまい……。思春期真っ只中の主人公の、母親に対する複雑な感情が、迫真性を持って描かれていました。自然に共感できるので、より後半のやりとりが心に響き、目頭が熱くなります。ラストに見せる意外な母の一面もかっこよく、印象に残りました。

準大賞

情熱を失い、結婚を機に教職を離れる決意をした友紀。そんな時、学生の頃耳にした“忘れものを映し出す鏡”の怪異に遭遇して……。主人公を取り巻く環境や心情がスムーズに構成されており、短編ドラマを見ているように自然と引き込まれました。恐ろしくもやるせない結末が、なんとも苦い後味を残します。

入賞

公園で美人の幽霊に声をかけられ、同情した主人公は、彼女と共に「天国への行き方」を探し始めるのだが……? 主人公と幽霊のやりとりが楽しくも微笑ましく、ほっこり見守りたくなります。それゆえ彼女に惹かれていく主人公の気持ちに共感でき、せつなさもひとしおでした。さわやか胸キュンなラストには、思わず笑顔がこぼれます。

佳作

雨の日は普段よりバスが混むから好きじゃない。でも雨の日だけバスに乗ってくる彼と過ごす時間は、ちょっと特別――。いつもと違う彼の一言が恋の始まりを予感させ、読んでいる方もそわそわしてしまいます。いつか雨の通学バス以外で交わされる、二人の言葉が待ち遠しくなる、甘酸っぱい短編でした。
完璧超人と評される男が計画した、完璧なプロポーズ……のはずが、プロポーズするのを忘れてしまった!? 「そんなことある!?」と思わずつっこみたくなる展開からの、アクション・スピード感溢れる巻き返しに、笑いが止まりませんでした。肝心なところで決められない主人公と、そんな彼を笑って受け入れる恋人の関係にほっこり癒され、「お幸せに!」と祝福したくなること請け合いです。
現世から忘れ物をひとつだけ取ってこられることになった死者たちのドラマが描かれるオムニバス。垣間見えるそれぞれの人生にほっこりしたり、くすりと笑えたり、ほろりと泣けたり……死者を中心とした物語でありながら不思議と暗くはならず、温かい気持ちで読めました。
クラスメイトからの嫌がらせをきっかけに、隣の席の男子との距離が縮まった梓。ついに彼の部屋に入ることになるが――? 予想外の真実にどん引きしつつも、結果的には苦く甘い青春の1ページになるのかな……なんて思ったところに、冷や水を被せられるようなラストが印象的。ある意味お似合いの二人だなと、苦笑せずにはいられません。
誕生日に家で一人、学校にも行かず閉じこもる藍子の元に、予定外の家政婦がやってくる。彼女は藍子と同じ顔をしていて――? 自分と同じ顔・同じ名前の人がやってくる、というちょっと不気味な導入が良い掴みになっています。その雰囲気はしっかり残しつつ、ちょっと不思議で温かい読み口がじんわりと心に沁みました。

超短編賞

バイト先に遊びに来た後輩が忘れていった傘。降り出した雨に、ありがたく借りることにすると……。ベタな恋愛ものですが、傘を開いた瞬間のサプライズには主人公と一緒に驚かされ、にやにやしてしまいました。素早く胸キュンが味わえる超短編です。

続きが読みたい賞

該当なし

トンデモ賞

田舎に最新設備を備えた学園が創設された。その一風変わったセキュリティは、忘れ物を届けるのも一苦労で!? ごく普通の導入から、突然始まるまさかの展開に驚かされました。絡繰りは謎ながら、試練のつらさが絶妙に想像できてしまうので、同情しつつ笑ってしまいます。最後に仕掛けられたシュールなオチまで、楽しませてもらえました。

優秀作品

SF 完結
11分 (6,086文字)

3分 (1,694文字)

ピックアップルーキー

ホラー 完結
5分 (2,851文字)
スケジュール
・応募期間:2022年11月22日(火) 12:00:00 ~ 2022年12月25日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2023年2月中旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第187弾です。 今回のテーマは、「忘れもの」です。 どこかに必ず「忘れもの」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・バレンタインの帰り道。「忘れ物だよ」と声をかけられ振り向くと、幼馴染がチョコを差し出していて――。 ・駅で見つけたぬいぐるみを係員に届けた。ところが翌日、同じ場所に同じぬいぐるみがあって……。 ・人生をかけてタイムマシンを開発した男。それは過去に戻り、ある忘れものを取りに行くためだった。
しっかりチェックしたはずが、必要な時になって忘れたことに気付く……なんてこともよくあるもの。 そんな「忘れもの」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等に応募中、または過去に受賞したことのある作品はご応募いただけません。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第188回のテーマは「特別な一日」です。 本コンテストと平行する形で2022年12月14日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第188回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト