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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第206回「発見」
 今回は物語に組み込みやすいテーマだったかと思いますが、応募された作品を見ると、起承転結の転・結としての使用が多かった印象があります。  作中の“発見”によって必ずしも事態が好転するだけでなく、知ってしまったことで後戻りできなくなるような、そんなリアリティを楽しめました。  またテーマの性質上、どんでん返しが用意された作品が多数あり、そこをどう文字数内で納めるかも腕の見せ所になっていました。

大賞

人類の活動が宇宙にまで及んでいる近未来が舞台。人類の英知は宇宙の深淵に届かないと提唱されるなか、火星で起こったとある事故が、主人公の価値観を一変させていく。世界観の構築がしっかりなされているので、未知の世界との出会いや真実、それらを追い求める人の想いにどっぷり浸れ、ワクワクが止まりません。「人間はどこにでも行ける」という力強いメッセージを感じる、ロマン溢れる正統派SF作品でした。

準大賞

妻を亡くし、青春時代を過ごした街のバーを訪ねた老人。翌日、再び訪れた店で出会った青年に、老人は自らの武勇伝を語って聞かせる――。老人のしっとりと心温まる語りから一転、“人魚の肉”というキーワードをきっかけに不穏さが漂い始め、目が離せなくなりました。後味悪く、ここで物語が終わりかというところで、もう一段階深く掘り下げられる展開もお見事。読後にもう一度読み返したくなりました。

入賞

幼馴染の小学生3人組は、公園で土の下に埋められていた不思議な人形を見つける。由里香はそれを持ち帰るが、翌日から様子がおかしくなってゆき……。ちょっとした遊びをきっかけに、じわじわと日常が崩れていく様子が巧みに描かれています。何が起こったのかを明言はせずとも、読者にはっきりと想像させてくれました。“彼らは何を見つけてしまったのか”という不気味さが、読後も恐怖を加速させていました。

佳作

魔王軍に囚われてしまった女戦士。噓発見器をつながれ、魔王たちに勇者たちの弱点を暴かれる……と思いきや? いい意味でバカバカしくておもしろいラブコメ展開に、終盤はずっと笑っていました。こじらせている魔王や、彼の部下たちが魔族と思えないほどかわいらしく、不覚にもときめく女戦士の気持ちも理解できます。シリアスな作品が多い中、異彩を放っていました。
頑固一徹な父親とのわだかまりを埋められないまま、父を亡くしてしまって後悔が残る主人公。没後の遺品整理中に発見した手帳には、思いがけない記述があって……。父の不器用さとそれゆえに見せられなかった家族への愛情が伝わってきて、最後にはほろりと感動させられます。ノンフィクションと見間違えるようなリアリティがあって、読んでいて深く感情移入できました。
かつて“不思議発見部”として活動していた友人と再会し、久しぶりに不思議探索に出かけた主人公。すると遺跡の扉から、謎のパラレルワールドへ迷い込んでしまい⁉ 2つの世界と魔法という要素をうまく使っている、魅力的な作品。パラレルワールドなどの説明と、会話のテンポがよいので、世界観を理解しやすく筆力を感じます。真の意味でパートナーとなった2人のこれからに、心が躍りました。
自分の恋心を量るため、気になる相手の好きなところを見つけるたびにスタンプを押すことにした主人公。そんな彼女を、親友は微笑ましく見守るけれど――? 主人公と親友の会話ポップさとテンポががクセになります。積み重なるスタンプをアクセントに、とても爽やかな読み心地を堪能できました。好きな人との関係が一歩進んでも、何も変わらぬ彼女たちの関係性にもほっこりします。
天使の梯子の中に不思議な光を見つけた主人公。半年間の観察でいくつかの法則を発見した彼女のもとに、“管理人”を名乗る謎の女が現れ、記憶を消そうとするのだが――。思慮深くも好奇心旺盛な主人公が魅力的で、管理人から記憶の操作の話をされても動じず、冷静に思考し機転を利かせる様子にも舌を巻きました。物語の中では明かされなかった光や世界の謎をどのように明かすのか、そして匂わせられる危機をどのように切り抜けるのか、この後の展開が気になります。

超短編賞

行方不明になっていた老婆の発見をきっかけに交わされる、無邪気な妹と聡明な兄の会話。非常にシンプルかつ短い文章で構成されていますが、あえて説明を省いていくことで兄の抱える闇がより深く濃く漂ってくるように感じました。真相を読者の想像にゆだねるラストも余韻が強く残ります。匙加減が非常に巧みな超短編でした。

続きが読みたい賞

注文したコンタクトが届くまでのつなぎとして、馴染みの店で購入した1dayレンズ。ところがそれを着けた途端、妖怪たちが見えるようになって!? ふいに主人公の視界に入り込んでくる妖怪たちがコミカルです。彼らを評する主人公の呼び方もあいまって愛嬌たっぷりで、読んでいて楽しくなりました。個性的なクラスメイトとどんどん距離が近づいていくアオハル要素も秀逸です。会話のテンポもよく、長編で読んでみたくなる作品でした。

トンデモ賞

該当なし

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2023年9月13日(水) 12:00:00 ~ 2023年10月15日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2023年12月上旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第206弾です。 今回のテーマは、「発見」です。 どこかに必ず「発見」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・かくれんぼの天才と呼ばれる少年。けど幼馴染の少女には、なぜか必ず見つかってしまい? ・ずっと探していた絶版本を古本屋で見つけた。手を伸ばすと、同時にその本に触れる人がいて……。 ・行方不明だった幼い娘が発見された。しかし面影はあれど、明らかに年齢が違っていて……?
様々な“発見”を繰り返し、文明は発展してきました。身近な発見が、世紀の大発見につながるかも……? そんな「発見」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第207回のテーマは「月夜の遭遇」です。 本コンテストと平行する形で2023年9月27日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第207回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト