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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第213回「ポケットの中」
 普段何気なく使っているポケットという小さな収納は、その実とてもプライベートな空間でもあります。それが意識されたのかどうか、中身というよりはポケットそのものに重点を置いた作品が目立っており、特にファンタジー作品は読んでいてわくわくさせてくれるものが多かったです。  中身重視はインパクトやパンチ力はあれど、その後の展開にどう活かすのかが問われたかもしれません。総じて、“テーマを物語に活かす力”で明暗が分かれた回だったように思います。

大賞

貧しい少女は、ポケットに入った一枚の銀貨を決して使わない。そんな少女を見守る銀貨視点の物語。苦しい状況の中、懸命に生きる健気な少女を、語り部である銀貨と共に応援したくなります。また様々な人の手を渡ってきた貨幣だからこその知識で、違和感なく世界観を読者に開示しているのも上手いです。新たな物語の始まりを感じさせるラストが期待感を高め、わくわくさせてくれました。

準大賞

結婚記念日のために早く帰りたい警部。しかし勤務終了間際、無情にも応援要請に駆り出されてしまう。カップルの事情を察し、記念日を守ろうとする主人公が終始、粋でかっこいいです。妻には頭が上がらないところも愛情深さの裏返しで、とても魅力的なキャラクターでした。そんな彼自身の記念日も素敵なものになりそうで、素敵な余韻に笑顔をもらえました。

入賞

人と自分の人生を入れ替える“替え玉”を手に入れた朋彦は、大手企業に内定した友人の人生を手に入れたのだが……。隣の芝生を羨んでばかりで、今持っている幸せに気付けない欲深さが、淡々と描かれています。身勝手に他人の人生を奪った男の顛末に、読む手が止まらなくなりました。後味の悪さがありながら、どこかほっとした気持ちにもなる、独特の後味が印象的です。

佳作

ポケットに入れた買い物メモがなくなった代わりに、書いておいた品物が入っていた。魔法のポケットだと喜んだけど? ファンタジーポップな設定を活かした、少女漫画のような王道青春恋愛ストーリー。不思議なポケットの導入から、その先に誰かがいることがわかり、やりとりが始まり……と少しずつ進展していく展開に、わくわくどきどきしました。
ポケットから何でも出てくる寧々さんに憧れる仁平は、倉庫掃除を寧々さんと2人でやることになり……。寧々さんのおっとりしたキャラに癒されます。物語自体もそんな彼女を写し取ったかのようで、些細なやり取りから少しずつ距離を詰めていく2人の関係に、ほっこりしながら読めました。そんな彼女が最後に残したメッセージに、思わずドキッとしてしまいます。
父の形見である懐中時計を直すために訪れた故郷の時計屋。そこは母がかつて、「過去に戻れる」と話していた店で……。病気にかかった晩年の仕打ちから恨んですらいた父との、優しい思い出に胸が締め付けられます。見たくもなかったはずの懐中時計に秘められた父の想いに、目頭が熱くなりました。
オーダーメイドバッグを注文した客が行方不明な上、事件の容疑者になっているという。しかも現場には件のバッグが残されていて――。テーマが存分に活かされた上で、物語にしっかり昇華されている構成がお見事です。主人公だからこそ気付けた些細な違和感が、事件解決に繋がっていくのも納得感がありました。随所にユーモアが散りばめられた、テンポよく楽しく読めるライトミステリに仕上がっています。
学生ヨットレースを襲った不規則な乱気流。大会実行委員の主人公は、選手たちの命を救うために奔走する! “エアポケット”という自然現象をテーマに持ってきたのが非常に印象的でした。物語も自然現象の恐ろしさと、その中で懸命に生徒たちを救けようとする主人公の姿が緊張感たっぷりに描かれており、ハラハラドキドキしながら一気読みできました。

超短編賞

電車でうとうとしながらポケットに手を入れると、なぜか隣の女性の手が入っていて……。突然訪れた夢のような時間と、彼女の残した「また明日」という言葉に期待感を高めた彼の心情、からの種明かし。予想はできても、つい笑ってしまいました。かと思えば、なぜそうなる!? と驚きながらツッコまずにはいられないラスト。愚かしくも憎めない主人公の行動に、苦笑せずにはいられません。

続きが読みたい賞

該当なし

トンデモ賞

片想いの彼のポケットに手を入れたい主人公。それに気付いた彼は、なぜか昔話を始めて……? 男児が好きな子に悪戯をしてしまうというよくあるエピソードから、じわじわと広がってゆく不穏な空気。緊張感とともに、先を読み進めたくなります。ラストは一気に鳥肌が立ってしまいそうなぞわぞわ感があり、こちらまで逃げ出したくなってしまいました。

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2023年12月27日(水) 12:00:00 ~ 2024年1月28日(日) 27:59:59 ・最終結果発表:2024年3月下旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第213弾です。 今回のテーマは、「ポケットの中」です。 どこかに必ず「ポケットの中」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・ポケットの中のビスケットを叩いても割れるだけ……のはずが、本当に増えた!? ・冬休み前にできた彼女が、コートのポケットから手を出してくれない……なんとか手を繋ぎたい! ・友達とお遊びで服を交換。元に戻すと、ポケットの中に“あなたは狙われている”と書かれたメモが……。
服やバッグにあると、便利で嬉しいポケット。でもうっかり入れた物を忘れてトラブルに……なんてのもあるあるですよね。 そんな「ポケットの中」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
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応募の辞退について
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次回予告

次回、妄想コンテスト第214回のテーマは「ふるえる」です。 本コンテストと平行する形で2024年1月10日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第214回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト