このコンテストは受付を終了しました

三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第215回「雪の思い出」
 雪が降る光景には儚さや神秘的な印象がありますが、地域によっては豪雪や吹雪という恐ろしい自然現象でもあります。そのためか全体的にシリアスな展開の作品が多く、雪が溶けて隠されていた何かが露わになったり、逆に雪に秘密が埋もれていったりと、ミステリーやホラーとの相性が良いテーマだったようです。  また“思い出”というだけあって、必然的に過去と現在が絡み合ったお話が多数あり、構成力など作者の筆力と呼べる部分がより顕著に表れていたように感じます。

大賞

記録的寒波により、雪の降らない町にも雪が積もった夜。かつて雪深い故郷から、母と共に追い出された記憶が蘇り……。ひたひたと忍び寄るような因習系ホラー。段階的に主人公の状況を読み手に理解させる構成や、タイトルにもなっている雪を踏む足音が、見事に恐怖を演出していました。いったいこの後どうなってしまうのかを想像させることで、読後もハラハラが持続します。

準大賞

夫を亡くし、自暴自棄になっていた女性の元に届いた一通のDM。そこから始まるチャットでのやりとりは、いつしか不穏な雰囲気を帯び始めて……。宮沢賢治作品のモチーフが巧みに使われており、絶望の淵にたたずむ2人の女性の物語に引き込まれます。終盤のタイトル回収には心が揺さぶられ、これが書きたかったという強い意志が伝わりました。

入賞

恐怖体験談を集めた雑誌に投稿された“異界エレベーター”の話。かつて投稿者の友人は、それによっていなくなったというのだが……。雑誌への投稿という形で淡々と語られる超常現象の描写に、絶妙なリアリティがあり、先を読まされます。まるでエレベーターに呼ばれるように連鎖していく物語に、恐怖というよりも強いやるせなさを覚えてしまいました。

佳作

去年雪遊びをしたはずなのに、友人の誰も覚えていない。唯一信じてくれた父は、雪が溶けない不思議な山の話をして……? 雪のように儚く、読んでいるこちらの魂まで浄化されていくような、ピュアなボーイミーツガール。不溶山の雪はなぜ溶けないのか、なぜ記憶から消えてしまうのかの真相がせつなく、胸を締め付けます。
父と継母、そして腹違いの弟妹がいる家に居場所を見つけられずに家出した雪乃は、なぜか既視感を感じる少女と出会い――。母の命と引き換えに生まれてきてしまった、という罪悪感を抱えたまま育ってしまった主人公の、思春期ならではの感情が痛々しいほどに迸っていました。誰も悪くないのに、不器用ゆえに傷つけ合う家族がなんとももどかしいですが、それがラストへのカタルシスにもなっています。
地方から都会に引越した夕陽に、久しぶりに友人から連絡が来たかと思うと、「みんな死んじゃった」と言い出し……? あやしげなわらべ歌に古くからの言い伝え、地方の閉塞感。冒頭からいわゆる“村ホラー”のお約束が並べられます。しかし怪異の恐ろしさよりも、危機的状況で露出する人間の無意識の悪意にうすら寒さを感じ、それがラストの後味の悪さにも繋がっていました。
謎めいた少女とのひと冬の想い出。成人式をきっかけに小学生の時に突然消えてしまった彼女への気持ちを再確認する主人公と、同じく彼女に惹かれていた親友のやりとりが胸を締め付けるピュアなストーリー。懐かしく淡い記憶と想い出をしっかりと読ませる文章であり、最後にあることがわかる構成も素晴らしかったです。
新雪で雪仏を作ると、死者の魂が蘇る。そんな伝承が残る田舎の集落で少年が体験した不思議な物語。あの世とこの世の境目のような仏ノ原の、不思議で陰鬱な雰囲気がよく伝わってきます。父と息子の話でもあり、よそ者と地元の者との距離感もうまく書けていました。少しずつ明かされていく土地の因縁に、どんどん先を読みたくなります。

超短編賞

祖父の軽トラックの荷台に積もった雪。軽い気持ちでその雪を踏みしめてみたら……。雪によって異世界、あるいは別次元へといざなわれた主人公が、かつての世界を忘れられず、しかし輪郭が朧気になっていく描写が妙に生々しく心に残ります。シンプルだからこそ強く印象に残る作品でした。

続きが読みたい賞

派遣医局員とエリート警視正。“ダブルジョーカー”の異名をとる異色コンビが取り扱うのは、雪かき中に転落死した老人の死体。すぐにその異変に気づくものの……? コミュニケーション能力に難ありな凸凹バディもので、どんどん物語に引き込まれました。この二人がいろんな事件を解決して活躍していく姿をもっと見たくなりました。

トンデモ賞

該当なし

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2024年1月24日(水) 12:00:00 ~ 2024年2月25日(日) 27:59:59 ・最終結果発表:2024年4月中旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位20作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位20作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第215弾です。 今回のテーマは、「雪の思い出」です。 どこかに必ず「雪の思い出」の要素が登場する妄想を投稿してください。
・雪の日に告白して付き合い始めた君に、雪が降る今日、僕は別れを告げられた――。 ・どちらが大きな雪だるまを作れるか勝負していたら、当の雪だるま達が応援し始めて!? ・雪が積もるのが怖い。幼い頃、雪に埋もれた人の死体を見つけたことがあるから……。
日本は世界有数の雪大国。とはいえまったく降らない土地もあり、雪への想いも様々でしょう。 そんな「雪の思い出」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第216回のテーマは「あなたを消した理由」です。 本コンテストと平行する形で2024年2月14日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第216回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト