特集 時代小説

歴史の渦を見つめて 今回お届けするのは、「特集 時代小説」! 明智家の娘視点で描かれる戦国時代劇や、淀殿に繰り返し転生するタイムリープ歴史小説、江戸に生きた藪医者の人情譚など、時を超えて紡がれる時代の物語をご堪能下さい☆

イチオシ作品

時は室町中期、京の都が応仁の戦火に包まれていた乱世の時代。房総半島にある安房国の隣国・色沢国に、一人の流浪人が足を踏み入れた。彼の名は鴇羽蘇芳と言い、連歌を詠んで旅をする“連歌師”であった。その道中、数人の男に囲まれた少女の叫び声に駆けつけると、美しい瞳を持つ孤児の少女・琥珀と出会う。蘇芳の正体を隠密と睨み、監視していた正義感の強い若侍・真田佐紺が二人を追いかけ――。日常が戦の時代を生き抜く時代劇。

戦国

世は戦国末期。明智光秀の愛娘である凛は、はっきりとした顔立ちで意志の強さを感じさせる女子であった。彼女はいつしか一人の男性を愛するようになり、その相手は父が最も信頼した家臣・左馬助であった。二人は何事もなく夫婦となれるはずが、光秀が信長に仕えたことから大きく運命が狂い始める。信長の命により、凛は政略結婚の道具として摂津国の大名へと嫁ぐことになり……。明智家の娘視点で描かれる戦国時代劇。
六角氏の討ち入りで降伏した重臣・蒲生賢秀によって、織田信長に献上された嫡男の鶴千代。過酷な人質生活が待っているかと思いきや、信長は鶴千代の持つ眼を重瞳と捉え、その才に関心を寄せていく。そして、信長の命で元服することになった鶴千代は、かつて藤袴で会った信長の愛娘・冬姫と再会する。姫君に惚れ込んだ鶴千代は勢いのままに告白し、呆気なく玉砕。その翌々日、信長から彼に冬姫を娶わせるとの命を受け――。愛の力で戦国の世を生き抜いた時代譚。
夫を亡くし嫁ぎ先から戻って来た斎藤道三の娘・帰蝶。一度実家に戻されるが母の手で明智の家に預けられ、そこで出会った従兄の明智十兵衛と心を通わせていく。帰蝶と十兵衛の間に結婚の話が持ち上がるが、敵国の尾張と和睦した証に帰蝶は織田の元へ嫁がされてしまう。夫となった織田信長は冷酷な中にも優しさが垣間見える武将で、彼との暮らしに安らぎを見出していく。しかし、織田家臣となった十兵衛と再会して――!?初恋の人と夫の間で揺れる濃姫の物語。
イナは徳川家臣で負け知らずの猛将と謳われる本多忠勝の娘だが、争いが苦手で内気な性格だった。見かねた父によって合戦場へ連れ出されたイナは、敵兵に誘拐され死を覚悟するが、敵である真田家の嫡男・信幸に救われる。イナは自らを孤児だと偽り、信幸に恋心を抱きながら真田家の女中として数か月を過ごすが、素性が知られたことで本多家に戻される。数年後、イナを迎えに来た信幸と祝言を挙げ真田家に舞い戻るイナだが、そこには既に“信幸の妻”がいて――。運命に翻弄される歴史ロマンス。

タイムリープ

現代でヲタク女子だった主人公は、かの有名な“淀殿”に転生して死に戻りを繰り返していた。一度目は史実通りに大阪の陣で我が子と自害、二度目は死亡フラグを避けようとするも秀次の継室となった挙句に処刑エンド。そして三度目は静かに暮らそうとするも失敗し、関ヶ原の戦いの前に自害する羽目になった。四度目の転生となる今度こそ、妹たちの幸せを確保し、“浅井茶々”としての生き残りを目指すが――!? タイムリープ時代小説。
本能寺女子学園に通う璃子は、父の影響もあり乗馬を嗜んでいる。世話になっているクラブのオーナー・三枝木女史から、池の淵で出処のわからない馬を見つけたと聞かされる。それは白馬に近い葦毛で雄々しく、何とも魅了される天馬鬼葦毛であった。ある日突然、天馬鬼葦毛は自らを織田信長に仕えるものと語り、明智光秀の末裔である璃子に先祖の悪行を止めろと、天正の戦国の世へ飛ばして――。天馬と行く戦国タイムスリップ小説。

アユタヤ

舞台は17世紀のシャム。ビルマ軍が領土に侵入したとの知らせが入り、アユタヤ王朝のシャム軍は敵を迎え撃つことを決める。王朝に傭兵として仕える日本人義勇軍にも召集がかけられ、伏兵として戦力を削る任務が与えられる。その一人として戦いに参加していた山田長政は、しんがりを務めた功績から日本人町の統領に任命される。更なるスペイン艦隊撃退の成果を上げた長政は、貴族階級のオークランに任じられ――。壮大なスケールで描かれる戦乱と交錯の物語。

平安

歴仁元年、春。歌人の藤原定家は、京よりはるばる流刑地の隠岐島を訪れた。齢77歳で喜寿を迎えた定家は余生を慮り、主君であった後鳥羽院にとある逸品を渡しに来たのだ。それは、定家が己の真を伝えるため選んだ百人一首であった。かつて歌で仲違いをした後鳥羽と、歌を通じて真意を伝えたいとの想いからであった。水無瀬離宮をあらわす並びで色紙は配置され――。百人一首を編んだ定家の想いが綴られた歴史小説。

江戸~明治

天下泰平の江戸。戦乱の世は過ぎ去り、町人が大手を振って闊歩する花のお江戸は八百八町。そんな活気溢れる江戸の中でも、鼻つまみ者ばかりが行き着く貧乏長屋が在った。藪医者の藪井蓄庵は、その一角に『畜生堂』を細々と営み、畜生相手に医者の真似事をして生きている。ある日、やり手の商人である越後屋茶吉の旦那と看板娘のおりょうが畜生堂にやって来る。彼らの頼みで、行方知れずの捨てられた忌み子を捕まえて診ることに――。江戸に生きた藪医者の人情譚。
明治二年、蝦夷箱館総攻撃の朝。土方歳三は腹を狙撃されて姿を消す。新選組の誇りの象徴は失われ、武士が特別な時代は終わった。彼の直属の部下であった大野右仲は、監察方の島田魁から耳を疑う話を聞く。土方の死因は流れ弾ではなく、味方から狙撃されたのではないかという情報である。島田が挙げた黒幕の候補七名は錚々たる顔ぶれだった。土方暗殺を企てた首謀者を探すべく、ふたりは闇の深淵へ手を伸ばす――。歴史ミステリー。
黒崎島の豊乃江では、毎日のように浜に女が上がっていた。心中か自殺か、身投げで海岸沿いに建てられた墓は五十を超えているだろう。島には質流れで女子供が大勢つれてこられ、遊女として相手をさせられている。部屋持ちで稼ぎ頭の女郎・瀬山は、親の艱難で身売りして以来、妓楼の籠の鳥であった。身体は黴の毒に侵され、心は擦り切れていく。遊女はこの世を捨てて逃れられるのだろうか――。女郎の切ない生き様を描く時代譚。
徳川による天下平定の裏で、人殺しを生業とする裏藤家には数え切れぬほど始末の依頼が舞い込んでおり、今の幕府にも裏藤家の事は黙認せよという令が敷かれていた。そんな家に生まれた廉二郎は、屋敷とその裏の森しか出歩いたことがなく、幼少期より死と隣り合わせの修行に明け暮れている。そして十六歳になり、殺しの仕事を請負い始めるが、大切な人を亡くしたことで家を出ることを決心。兼ねてからの夢であった花の江戸へ向かうことに――。刺客が家業の男の時代物語。

室町

時は室町中期、京の都が応仁の戦火に包まれていた乱世の時代。房総半島にある安房国の隣国・色沢国に、一人の流浪人が足を踏み入れた。彼の名は鴇羽蘇芳と言い、連歌を詠んで旅をする“連歌師”であった。その道中、数人の男に囲まれた少女の叫び声に駆けつけると、美しい瞳を持つ孤児の少女・琥珀と出会う。蘇芳の正体を隠密と睨み、監視していた正義感の強い若侍・真田佐紺が二人を追いかけ――。日常が戦の時代を生き抜く時代劇。

鎌倉

建久三年、大倉御所。第三代鎌倉殿・源実朝との間に第四子を懐妊した正妻・政子の着帯の義が行われていた。朝廷から頼朝が征夷大将軍に任じられてまもなく、元気な男児・千幡が誕生する。それから一年、嫡男の万寿を披露目も兼ねて連れて行った巻狩りで、万寿を次の後継者だと喧伝する。そして元服し、万寿は頼家という名を賜ると、問題だらけの状態で鎌倉殿を継ぐことに――。多くの者に慕われた実朝の生涯を描いた歴史譚。

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