このコンテストは受付を終了しました

三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第202回「運命のふたり」
 たくさんのアツい小説、とても面白かったです! 応募してくださった皆様、本当に本当にありがとうございました!!  私はあくまで読者なので、本当に読者目線の総評になってしまって恐縮なのですが。みなさんの小説を読んでいて、一番感じたのは、「読者を混乱させないこと」がすごく重要だ、ということです。  たとえば、登場人物の名前をシンプルなものにして、覚えやすくすること。  たとえば、改行の位置を気をつけて、読みやすくすること。  たとえば、舞台設定に読者が混乱しないように、できる限りいらない舞台の説明は削ること。  などなど、「混乱させない」ための技術は、面白さを提供するために必要なのだなあ、としみじみ感じました。  たしかに上手なお笑い芸人さんの漫才って、「どういうシチュエーションの漫才なのか」の説明がものすごく分かりやすいですよね。ミルクボーイさんの漫才の「おかんの好きな●●を忘れてもうて」という説明なんて、一瞬で頭に入ってきます。これがもし「うちの上司が好きなお菓子があるんやけど、それがな……」なんて言われたら「うん? 上司? 好きなお菓子? なんで?」と混乱していたかもしれません。  同様に、上手なプロの小説家の書いた小説って、とにかくキャラクターや舞台設定が、頭に入りやすいんです。『ハリー・ポッター』シリーズの、主人公がもし「ヴィット―リオ・エマヌエーレ二世」という名前だったら? いきなり「この世には闇の魔法使いが存在しており、ディメンターが跋扈していた」という書き出しから始まっていたら? ここまで人気シリーズじゃなかったかもしれません。あの覚えやすいキャラクター名に、覚えやすい魔法学校、そして読者を混乱させない展開だったからこそ、私たちはここまで『ハリー・ポッター』を楽しめている。  自分の書きたいものを、もしたくさんの方に楽しんでもらいたい、と思ったら。 「読者が混乱するとしたら、どこなんだろう?」と考えてみるのは、重要なのかもしれない。偉そうですが、そう感じました。  賞に選出させていただいた緒川さんの作品は、複雑な話ではあるのに混乱するところがなくて、上手いなあと思いました。ぜひ読んでみてください。  ちなみに私が「読者を混乱させない」技術において、ずば抜けてレベルが高いと思う日本の文豪は……太宰治です。太宰治の演出や説明の上手さについては、『名場面でわかる 刺さる小説の技術』(中央公論新社)でしっかり解説しました。また太宰治のほかにも、さまざまなプロの小説を紹介しながら、どうしたら名場面を書けるのか解説している本です。よければぜひお手に取ってみてもらえると、嬉しいです。  えらそうなことを書いてきましたが、どの作品も、「こういう世界観を書きたい!」という熱が伝わってきて、読むのがとても楽しかったです。これからも、あなたの書いた小説を読めることを、楽しみにしています! (三宅香帆)  人と人との関係性にフォーカスしたお題だけに、特に感情表現やエモさにおいてクオリティの高い作品が多く集まりました。  いかに登場人物に共感・感情移入させ、物語への没入度を高めるかが選考の分かれ目になったように思います。  また“運命の赤い糸”をテーマにした作品は予想通り多数ありましたが、それだけに設定や展開を工夫していないストレートな作品は印象に残りにくかったです。  ベタな設定は扱いやすさゆえに埋もれやすくもあるので、いかに個性を出すかを一考してみてください。 (エブリスタ)

三宅香帆賞

「運命のふたり」というお題に対して、そう来たか! という発想に一番心を掴まれました。そして最後まで設定やキャラクターに混乱することなく、さらにドキドキするような描写の演出も素晴らしく、賞に選定させていただきました。コックリさん、私も昔やったことあります。たしかにあの遊びは「誰かが十円玉を動かしているだけなのでは?」と感じることもあり、オカルトではあるけれど、同時に参加している人の思惑が出る遊びですよね。今回の小説も、オカルトの話なのか人間関係の話なのか、どちらの方向に転がるのか最後まで分からないところが、とても面白かったです。結果的にどんでん返しも用意されており、読者へのサービス精神も素晴らしいなと思いました。これは読者目線の話ですが、たとえば小野不由美先生や京極夏彦先生や恩田陸先生など、すぐれた「怖い小説」の書き手は、人間の心理描写がとても上手だと感じることが多いです。緒川さんがもしこれからも「怖い小説」を書き続けるとしたら、ぜひ緒川さん自身の優れた「ちょっと嫌らしい人間の心理描写」を極めてほしいな! そういうのも読みたいな! と思っています(今回の小説のリメイクですと、恋愛のところや女子の人間関係をもっとじっとり書き込んだものも読みたいです)。応援しています!! (三宅香帆)

大賞

異国に馴染めず、つらい日々を送っていた少年はチェスにのめり込み、インターネット上で同い年のライバルと出会う。しかしある日突然、連絡がとれなくなり……。孤独の中で出会ったチェスと、運命のライバル。顔も名前も知らぬ相手と夢中で戦い、絆を深める過程と、予期せぬ別れ、不安、決意……主人公に感情移入しながら読めるので、クライマックスには胸が熱くなり、泣きそうになりました。

準大賞

月の民と太陽の民は異なる時間に活動し、交流を禁じられている。しかし両族の若い男女が出会ってしまい――。禁断の恋の始まりにわくわくしていたところに突き付けられる、残酷でやるせない真実。少しでも彼らの想いに沿おうとしたことが察せられるラストが、せつなさを倍増させています。月の民、太陽の民という名にもしっかり意味があり、世界観が練り込まれた、完成度の高い作品でした。

入賞

見ることすら恐れ多いとされる天の民の少年が、怪我をして動けなくなっているのを見つけたガジ。彼を助け見送ったものの、その姿が忘れられず――。偶然の出会いをきっかけに、少年が成長し、自らの生きる意味を見つけていく様が、コンパクトながらも壮大に描かれていました。世界観もしっかり作り上げられています。彼らが成してきたことが感じ取れるラストに、胸が熱くなりました。

佳作

危険な煙突掃除夫として働く少年の癒しは、街のお屋敷に住む少女と窓越しに手を振りあうこと。ある日、そのお屋敷で仕事をすることになるのだが? まさに運命と呼べる相手に出会えた二人のやりとりは微笑ましいのですが、同時に閉塞感のようなものが物語全体に暗い影を落としています。出会いから別れまで終始運命に翻弄される子供たちの姿に、胸が締め付けられる思いでした。
神に選ばれた男女が結婚し、神の世界へ行くことで、国は安寧を約束される。国中の人が祝福するその婚姻を、当馬は喜べなくて――。大勢の幸せのために自らを犠牲にする、という王道の設定でストーリーラインがわかりやすく、すんなり感情移入できます。クライマックスは疾走感やカタルシスが迸っていました。そこから一転して、静かで物悲しくも、美しいラストが強く印象に残りました。
SNSで意気投合した相手の顔は、自分と瓜二つだった。ともに親が離婚していることもあり、生き別れの姉妹だと確信した2人は、親を交えて会うことにするのだが……? SNSを介した感動の再会ストーリー……かと思いきや、まさかの展開にぞくりと背筋が粟立ちました。ビデオ通話をするまでに数年間のやりとりがあることや、会うタイミングなど、なまじ地に足の着いた周到さが感じられることが、怖さをより引き立てていました。
魂の色を視認できる凪は、自分と同じ珍しい赤色の魂を持つ美冬に惹かれていた。しかし美冬にはなぜか、魂の色が2つあって……。主人公の能力を活かしたミスリードなど、物語の構成が巧みに練られており、読み応えがありました。誰からも愛されないと嘆く主人公が、自身に向けられた愛に気付いた瞬間が、心に沁みます。
岩屋に籠り、孤独に人の運命を紡ぎ解す巫女のもとにある日、一人の少年が訪れ、亡くなった。しかし彼は何度生まれ変わっても、巫女に会いに来て――。孤独と自らの役割を受け入れていた巫女が、記憶はないのに何度でも会いに来る少年に惹かれていく様が、せつなく胸に響きます。自らの意思を取り戻した巫女と、彼女の未来を文字通り切り開いた彼の幸せを、願わずにはいられません。

超短編賞

テーマパークに導入された“運命の二人認定クラブ”。回答の合致率によって認定証を発行されるが、その難易度の高さで大きな話題となり……? “運命”を証明するための手段と目的が入れ替わってしまった結果が、皮肉たっぷりに描かれています。特にラスト一文には思わず苦笑いがこぼれ、短いながら強烈に印象に残る超短編でした。

続きが読みたい賞

帝国の捕虜となったものの、女騎士と捕虜の少年。女騎士の計らいで解放された少年。10年後、二人は異なる地で再会する。敵同士としての出会い、寿命の違う種族、それでも惹かれる心。ときめく設定の盛り合わせに胸が高鳴りました。しかしながらストーリーにはしっかりと重みがあり、完成度の高い作品です。彼らがこの後どんな選択をし、どんな運命を辿るのか、ぜひ読んでみたいです。

トンデモ賞

該当なし

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2023年7月12日(水) 12:00:00 ~ 2023年8月13日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2023年10月下旬頃予定
賞
三宅香帆賞(賞金3万円+三宅香帆氏による選評)1作品 大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※三宅香帆賞、大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※三宅香帆賞・大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第202弾です。 今回は5月24日に発売した書籍「刺さる小説の技術(中央公論新社)」と特別コラボ! 著者である三宅香帆氏にも選考にご参加いただき、「三宅香帆賞」に選ばれた作品には、氏より選評が贈られます! 三宅香帆 書評家、作家。1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院卒。著書に『人生を狂わす名著50』『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』他多数。編著に『私たちの金曜日』がある。
今回のテーマは、「運命のふたり」です。 どこかに必ず「運命のふたり」の要素が登場する妄想を投稿してください。 刺さる小説の技術」名場面編第1章は「運命のふたり?―さまざまな関係を書く―」がテーマですので、ぜひ参考にしてみてください!
・一度は将棋をやめた俺が、アマとして竜王戦に参加。かつてライバルと呼ばれた竜王に、きっと挑戦してみせる! ・当たると評判の占いで、私の運命の相手は大嫌いなあいつだと言われた。それ以来、変に意識してしまい……? ・村長宅に双子が産まれ、一人は忌み子として捨てられた。数十年後、村長となった青年の元に、同じ顔の男が現れ……。
恋人や友人、家族、あるいは動物。運命と呼べるような相手に、出会ったことはありますか? そんな「運命のふたり」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規公開された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。 ※エブリスタ内の公式コンテストや他社サービス等への重複応募が確認された場合、応募取消しになる場合があります。
メールアドレスの受信設定について
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。
応募の辞退について
応募期間中であれば、作品管理から応募の辞退が可能です。(操作手順はこちら) 締切後の応募辞退は原則として出来ませんので、ご応募の際はご注意ください。

次回予告

次回、妄想コンテスト第203回のテーマは「おくすり」です。 本コンテストと平行する形で2023年7月26日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第203回の応募期間内に新規公開してください。応募期間前に公開した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト