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三行から参加できる 超・妄想コンテスト 第148回「暗闇の中で」
テーマにある「闇」の解釈が多種多様で、宇宙、夜、死後の世界、人の心など、バラエティに富んだ回でした。とことんまで闇を追求する作品がある一方で、闇の先に光を見出す希望に満ちた作品もあり、振れ幅が大きかったように思います。「闇」を描くために「光」を物語に取り込むことで、その対比が活きている作品も多かったです。そのような「人の心の二面性」の表現が、作品を面白く味付けする決め手になっていたように思います。

大賞(賞金3万円+選評)

母の入院のため、祖母の家に預けられた少年。田舎のため友達もおらず、つまらない日々を過ごしていた少年は、祖母が教えてくれた寝室の木目の向こう側にいる「月の子」と遊ぶことを夢見るようになる。童話のような語り口と、悲しくも美しい物語が心に響きます。「月の子」と遊ぶ幻想的なシーン、そしてラストでの、迎えに来た父親とのやり取りには、思わず涙があふれました。

準大賞(賞金2万円+選評)

ひとつの集合住宅に鳴り響く高級車の盗難防止ブザーの音。高級車のヘッドライトとテールランプの点滅をきっかけに集合住宅に住む様々な人々の人生が揺れ動くオムニバスドラマ。登場人物たちそれぞれの夜に起きている出来事や心境の描写が素晴らしかったです。人間同士のコミュニケーションの大切さを問うこの物語は、重たいエピソードもありながら心に響くものがあります。

入賞(賞金1万円+選評)

大学生の親友2人は、食費を浮かせるために深夜のイカ釣りに挑む。釣りシーンのリアルな描写、思うように釣れないことへの焦燥や葛藤、そして互いを思い合う友情と、読みどころ満載でした。状況説明がうまく、釣りの知識がなくてもなんとなく理解できてしまうのもポイントが高いです。イカを釣るために使う餌木の鮮やかさが暗闇に映えるように感じられました。

佳作

年上の美しい女性上司に焦がれる青年。しかし、彼女との間には埋めがたい距離があって……。主人公が想いを寄せる上司の、奔放さと繊細さを内包した女性らしさがとても魅力的に描かれています。社会的には許されないはずの関係ですが、2人のやりとりに思わずのめり込んでしまいました。儚いラストの表現も余韻が素晴らしいです。
好きな人と共通の話題で話がしたくて聞き始めたとあるラジオ番組。その内容にどんどんのめり込んでいく主人公は、ついにはがきを投稿するようになって……? 深夜ラジオ番組を通して好きな人との距離を縮めていくというシチュエーションに、なんだか憧れてしまいます。MCの2人もいい味を出しており、ラストのライブシーンは臨場感もあって涙が出ました。
強さこそが正義の国では、一番の殺戮者こそ英雄だった。暴虐の限りを尽くす彼に死をもたらしたのは……? 今まで殺戮を繰り返してきた英雄に拾われた少女の正体が暗喩されたときは、心からゾッとし因果応報を感じました。淡々としたラストシーンも独特の余韻があります。
お笑いに情熱を注ぐ青年たちの青春にスポットを当てた人間ドラマ。夜の公園でネタ合わせしていたコンビの2人が苦労を経ての成功、頂点からの没落。そして再起と、人生における闇と光のシーンが目まぐるしく変化していく。主人公の筋が通った行動が清々しく心に染み込んできました。
小学生だったある夏の日、一緒に遊んでいた友達が忽然と消えた。その原因を知る主人公は、同窓会の誘いをきっかけに友達が消えた理由に自分が関係していたことを思い出していく……。小学生時代のささやかないたずら心が、取り返しのつかない事件に発展するミステリーホラー。ラストの緊迫した展開に恐ろしさと悲しさが共存しており、読了後にしばらく脱力してしまうほどの深い余韻がありました。

超短編賞

午前3時40分。いつも同じ時間に同じ商品を買う人物が、なんだか様子がおかしくて……? 夜とも朝ともいえない時間にはじまる、人間同士のちょっとした交流が、不思議と心に染み渡りました。夜のコンビニの明かりをイメージすると、眠っている町の暗がりの風景が浮かんでくるようです。

続きが読みたい賞

依頼者が死なないように匿う、裏の業界では有名な「暗闇ホテル」。そこの従業員2人を軸に、闇に生きる人々のドラマが描かれています。語り口こそ軽いものの、バイオレンスな世界観は重厚で物語には緊張感があります。ルームネームなどの細かい設定にも感心させられました。2人のコンビがこの先どんなお客と出会うのか、その先も読んでみたいと思いました。

トンデモ賞

一昨日起こった出来事を思い出すために戦う「一昨日ダンジョン」に閉じ込められた主人公は、勇者となって戦うハメになります。昨日のことは思い出せても、一昨日のことまでは……という人間の盲点を突くアイデアが光ります。また、全編を通じてユーモアを感じさせます。結末も意外性があり、ラストまで楽しく読めました。

優秀作品

スケジュール
・応募期間:2021年4月14日(水) 12:00:00 ~ 2021年5月16日(日) 27: 59: 59 ・最終結果発表:2021年6月下旬頃予定
賞
大賞(賞金3万円+選評)1作品 準大賞(賞金2万円+選評)1作品 入賞(賞金1万円+選評)1作品 佳作(選評)数作品   超短編賞(選評)  続きが読みたい賞(選評)  トンデモ賞(選評) ※大賞、準大賞、入賞または佳作(以下、「受賞」という。)の作品はエブリスタの短編小説シリーズ「5分シリーズ」に収録される可能性があります。(収録を依頼する場合には、受賞者に別途、ご連絡させていただきます。) 短編小説シリーズ「5分シリーズ」 ※受賞作品はエブリスタ公式SNS等で配信・紹介等される可能性があります。  優秀作品(結果発表ページでご紹介)  ピックアップルーキー(結果発表ページでご紹介) ※大賞・準大賞・入賞作品を除く上位30作品を優秀作品として、結果発表ページでご紹介します。 ※上位30作品まであと一歩だった作品の中で応募期間終了日より3ヶ月以内に会員登録された新規作家の作品を、ピックアップルーキーとして数点、結果発表ページでご紹介させていただきます。
募集概要
新作限定!初心者大歓迎! たった100文字の妄想でも気軽に参加できちゃう短編コンテスト、第148弾です。 今回のテーマは、「暗闇の中で」です。 どこかに必ず「暗闇の中で」のシチュエーションが登場する妄想を投稿してください。
・彼と映画デート。上映中に手を握られドキッとしたけど、彼が座っているのは反対だと気付いて……。 ・突然の停電で、暗所恐怖症の私はパニック!咄嗟に抱き着いてしまった相手は……!? ・真っ暗な洞窟に夜光石一つで挑む、成人の儀式。実は村の秘密が隠されていて……。
人は視覚から多くの情報を得ます。だからこそ奪われた時には、不安を覚えてしまうもの。 そんな「暗闇の中で」にまつわるあなたの妄想をお待ちしています! 過去の妄想コンテストはこちら
応募要項
・本コンテストの応募期間内に新規投稿された作品。 ・文字数は100文字(三行程度)~8000文字 ※制限文字数未満又は制限文字数を超えた作品は選考対象外となります。 ※非公開設定している作品は、選考対象外となります。 ※連載中の作品の場合、応募期間終了時点での作品の完成度も含めて選考いたします。
注意事項
選評の送付や書籍化の打診は、エブリスタに登録されたメールアドレス宛にご連絡いたします。迷惑メール防止の為にドメイン指定受信の設定をされている場合、メールが正しく届かないことがございますので、「@estar.jp」を受信できるよう設定して下さい。

次回予告

次回、妄想コンテスト第149回のテーマは「お母さん」です。 本コンテストと平行する形で2021年4月28日(水)より開催予定です。 ※作品は次回の妄想コンテスト第149回の応募期間内に新規投稿してください。応募期間前に投稿した作品はご応募いただけませんので、ご注意ください。

コンテストの注意事項(必読)

超・妄想コンテスト